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特集 野菜の売りかた
日本の農業を元気に!それぞれのアプローチで農家と消費者双方の
メリット向上を目指す2社に迫った。


農家を支援し、農家とともに農業の未来を切り拓く。

「ファームドゥ株式会社」

 安倍政権のTPP交渉参加表明に揺れる日本の農業は、今後、どのように進展していくのか?ますます混迷が深まる一方で、既存の仕組みを打破する新しい波が湧き起こっている。その発生源のひとつがファームドゥ株式会社である。農家と手を取り合ってともに成長をめざす、新しいビジネスモデルに注目した。

 馬県前橋市を本拠とするファームドゥ株式会社の設立は1994年。当初は、農業資材の専門店としてスタートしたが、「野菜を作っても売るところがない」という農家の悩みに応えるカタチで、2001年、農産物直売所『農家の野菜』を前橋市内に出店した。すると、この店が評判となり、以降、同社は農産物直売所の展開を加速することになる。翌年の2002年には、東京都板橋区・杉並区に都内初となる農産物直売所『農家の野菜』を続けて出店。そして2004年の『食の駅ぐんま吉岡店』の出店を皮切りに、同社は大型直売所『食の駅』の展開とともに、レストラン・飲食事業への参入、さらに東京都内における小型店の展開『地産マルシェ』の出店も開始した。

 このように事業の急拡大を続ける同社であるが、新たな取り組みを始めるときには、常に原点に立ち返ることを忘れないようにしているという。同社の企業理念は「農業を支援し農家の所得向上に貢献する」というもの。迷った時は、必ずこの理念に照らし合わすようにしている。そうすれば、会社が間違った方向に進むことは決してないという。

 「なによりも農家のみなさんからの信頼が第一。当社がここまでやってこられたのも農家のみなさんと共に歩んできた実績。更に農家さんの所得向上に貢献できるよう、出店を続けてきたい。(経営推進室荒井室長)」

 すでに東京都内を中心に10店舗を展開する『地産マルシェ』は、大型SC内を中心にと号令をかけた。今後も出店していく計画だ。商品の供給に関しては、群馬県と埼玉県から毎日トラックを走らせて、新鮮で安全な野菜を届ける体制を整えている。

  ファームドゥが展開する直売所と他の直売所との一番の違いは、実はこの独自の配送システムにある。多くの直売所は、生産農家が近場の店舗に直接農産物を持ち込むことで、新鮮な農産物を消費者に届ける仕組みとなっている。しかし、ほとんどの生産地は中山間部の人口が少ない地域にあるため、店舗がある都市部までの配送が農家にとって大きな負担になっている。そこでファームドゥでは、群馬県内生産地に集荷場を設置し、自社配送便で本部配送センターに農産物を集める「巡回集荷システム」を構築した。これにより、いままで遠方のために直売所での販売をあきらめていた農家なども取り込むことに成功し、いまでは同社の直売所に登録している生産者は5000名にも達している。

  「私たちのこだわりは、とにかく作り手の顔の見える、鮮度の良い農作物を販売するということ。当然お客さんも産直品を期待されている。だから、どんなに遠くても産地から直接持ってくるというのが当社の基本方針です。(荒井室長)」

 卸売市場や仲卸を経由する従来の市場システムでは、中間コストや時間がかかりすぎており、生産者はもちろん消費者にもメリットは少ない。しかし、ファームドゥが構築したシステムであれば、より新鮮で安全な農産物を適切な価格で提供することが可能となり、コストと時間を削減した分、生産者にも利益を還元することができるというわけだ。いいものを安く買うことができるため、消費者にとってもメリットは大きい。これこそがソリューション、つまり社会の問題解決策であると同社は胸を張る。

 しかし、対面販売にはメリットばかりではなく非効率というデメリットもある。人員を配置しなくてはいけないし、清掃などの手間もかかり、売り場のメンテナンスも容易にはいかない。だからといって、効率を追求すればいいのかというと、そうではない。例えば、調理方法をあまり知らない若い主婦が鮮魚コーナーに来たときに、売り場に人がいなかったらどうなるか?どんな食べ方があるのか聞くこともできないし、調理を頼めるのかどうかも分からない。パック詰めの魚を並べただけの売り場では、鮮魚売り場に魅力がなくなってしまう。だからこそ、ユアーズ・バリューでは、コミュニケーションを大切にするのである。「作業場では効率を追求するが、売り場は非効率に」というのが同社のモットーなのである。

 現在、ファームドゥは3つの事業形態を展開している。創業当初から手掛けている農業資材販売の『農援’S』。産直農産物販売の『食の駅』『地産マルシェ』。農業生産法人『ファームクラブ』、太陽光発電事業『ファームランド』という3事業だ。同社は安心・健康に加えて、環境の分野にまで進出し、それぞれが互いに交流し、組織化を進めることで強固なブランドを確立していこうとしているのである。

 そしていま、同社が新たな取り組みとして力を注いでいるのは、「ミネラル野菜」の普及である。ミネラル野菜とは、ファームドゥと農家が連携し、安全な土づくりから開発した新鮮で栄養豊富な同社のオリジナルブランド野菜。手間を惜しまず、堆肥、有機肥料、ミネラル、米ヌカ、微生物等の力を活用してつくられる。

  「今年に入ってから各地で生産者を招いて『ミネラル野菜』の説明会を行っています。農作物は、説明をしたからといってすぐにできるものではないので、1年くらい前から準備をして農家さんにお願いをします。今年後半には都心部での出店を計画していますが、そういったエリアでは少々値段が高くても、品質や鮮度が高いものが求められるので、『ミネラル野菜』は打ってつけの商品になると考えています。(荒井室長)」

 なにを作るのかは、農家の主体性に任せるのが原則であるが、この先、ファームドゥのブランド強化という視点で見ると、ミネラル野菜の取組みのように、同社が主体となって農家全体のレベルアップをはかっていくことが重要となる。同社がめざすのは、あくまでも農家とともにさらなる飛躍を遂げるということ。そのために、肥料メーカーや資材メーカーの協力のもと、勉強会なども積極的に開催している。 

 それに加えて、同社は、店舗における社員の接客レベル向上も重要課題と位置づけ、さまざまな取組みを行っている。

  「今後、都心での出店が増えると、お客様への対応力がますます重要となってくるので、社員には資格取得を通して自己啓発を推奨しています。農薬や食関連の資格取得者が一目で分かるよう工夫し、お客様とのコミュニケーション手段の一つとして活用しています。(荒井室長)

  当面は首都圏での出店を強化するとのことだが、将来的には全国展開も見据えるファームドゥ株式会社。既存の市場システムに風穴を開け、農業の未来を切り拓く存在として、今後も快進撃を続けることを期待したい。

お客で賑わう店内。



新鮮な朝獲れ野菜が豊富に揃っている。



野菜の陳列と値札づけをする生産者。



プロの農家にも対応している
農業資材専門店が併設されている。



同社のオリジナルブランド「ミネラル野菜」は
協力農家がひろがっている。




生産者の顔は写真ではなくイラストで
紹介されている。




イベントやオススメ商品が
記されている室外の黒板。




精肉も県内産を中心とした品揃え。



産直素材を使ったできたて惣菜も人気。



手づくりの民芸品を販売するスペースも設置。





 
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