プロセスセンターとは
「プロセスセンター」とは、各店舗で行われる生鮮食品の仕入・加工・配送を一括して行う拠点を指します。スーパーマーケット業界で使われる用語で「パックセンター」や「PC」と呼ばれることもあります。
2021年のスーパーマーケット年次統計調査によると、調査対象の企業のうち半数近くが
畜産や総菜、水産などのカテゴリーでプロセスセンターを活用しているという報告があります。
プロセスセンターの役割
プロセスセンターは一挙集中した加工が可能なため、店舗での作成と比べて少ない人員で効率的な体制が作りやすいのが特長です。
加工・包装作業などを集約することで、店舗に掛かるコストを削減することができます。
また、商品の品質や見た目などの標準化が図りやすく、イメージの向上にも寄与できます。
さらに、衛生管理や不正表示の問題などを店舗別に任せるのではなく、プロセスセンターで一元管理することでリスクを最小限に留めることも可能です。
プロセスセンターが広がった背景
プロセスセンターは、1980年代から1990年代にかけて日本のスーパーマーケット業界の大手チェーンストアを中心に導入されました。
時代が進むことで、その形態は「プロセスセンター(アウトパック加工)」と「インストア加工」に分かれました。
最近では、自社のプロセスセンターを持たず一部の商品を外部の加工業者(アウトパック加工)に依頼し販売している企業も多くあります。このような形態を含めると、プロセスセンターを全く活用していない企業は少ないと言われています。
セントラルキッチン(CK)・インストア加工・アウトパック加工との違い
この章では、プロセスセンターについて触れる上で関わってくる言葉の「セントラルキッチン(CK)」「インストア加工」「アウトパック加工」について紹介していきます。
セントラルキッチン(CK)とは
セントラルキッチン(CK = Central Kitchen)とは、主に外食産業で使われる言葉で、意味はプロセスセンターと同じです。
調理工程を1ヶ所に集約することで、各店舗の人員と負担を抑え、作業の効率化を図ることができます。
インストア加工とは
インストア加工とは、スーパーなどの店舗内で食品を加工・包装(パッケージ)する販売形態のことです。精肉や鮮魚、野菜などの生鮮食品をインストア加工する場合は、仕入れた日に店舗内の調理場で小分け・包装し、商品棚に並べることができます。
インストア加工のメリット
- お客様の購入動機となる「鮮度」のなかでも、「できたて」「つくりたて」の訴求がしやすい。
- 店頭の売れ行きに応じて柔軟に生産(陳列)量を調整できる。
- エリア内のお客様のニーズに応じた商品の差別化、開発ができる。
インストア加工のデメリット
- スペース確保の難しさ、コスト増、品質のばらつきがある。
- 調理場に、加工する商品を保管するための冷蔵庫や各種加工・洗浄設備などの設置が必要。
店舗ごとに資材や消耗品を揃える必要がある。 - 調理技術など一定のスキルを持つ人員の確保が必要。
有資格者(食肉処理技能士など)の設置が必要になる場合もあるため、コストが割高になる。
最近では、二次加工までをプロセスセンター(アウトパック加工)で行い、インストア加工のコストを抑える店舗も増えてきています。
アウトパック加工とは
アウトパック加工とは、プロセスセンターなどで集中的に加工・包装し、各店舗に出荷する形態を指します。アウトパック加工(プロセスセンター)のメリット・デメリットは次の章で説明します。
プロセスセンターのメリット・デメリット
この章では、プロセスセンター導入のメリット・デメリットについて説明します。
メリット1. 少人数で効率の良い生産(人手不足対策と生産性の向上)
プロセスセンターでは主に機械を使用するため、少人数で効率よく商品が製造できます。
プロセスセンターの稼働によって店舗側で不要な作業を明確にし、人員を含めた作業を大幅に変更することで、スタッフの人数など店舗コストの削減につながります。
店舗作業の軽減や一括集中による効率的な生産を通じてコストダウンが図りやすいのです。
メリット2. 品質の均一化
各店舗間、または調理スタッフが変わると、商品の味や品質の差を感じる方もいらっしゃいます。
プロセスセンターを利用することで、同じ味を安定した品質でお客様に提供することができます。
デメリット1. 高額な初期投資
プロセスセンターの立ち上げには、食品工場の建設や機械、備品など、大きな費用が掛かります。
店舗数や加工する商品が少ない場合、メリットよりもコスト負担が大きくなる可能性があります。
デメリット2. 陳列販売までに掛かる時間の長さ
店舗とプロセスセンターの距離にもよりますが、大抵の場合、プロセスセンターで加工された商品は次の日に店舗に届けられます。
加工段階から売場に陳列されるまでの所要時間が長いため、品質や鮮度が落ちてしまいます。
立ち上げに必要な衛生設備の紹介
プロセスセンターでは、生鮮食品を取り扱うため、倉庫や配送時の温度管理や品質・衛生管理が重要です。この章では、食品工場に必要な衛生管理備品をカテゴリー別にご紹介します。
また、衛生管理備品を揃えた衛生総合カタログもご用意しておりますので、併せてご覧ください。
食品取扱者の衛生管理
食品を取り扱う従業員の衛生管理は基本であり、特に重要です。
以下のアイテムは最低限の衛生管理です。
- 衛生帽子
- 衛生白衣
- 作業靴
- 使い捨て手袋
- マスク
- エプロン・アームカバー
使用器具の衛生管理
器具から菌やウイルスが感染するケースは少なくありません。
しっかりと管理することで、感染を防ぐことができます。
- 洗浄剤
- 除菌剤
- 洗剤
- 自動洗浄機
- スポンジ
- ブラシ
- ワイパー・ダスター
施設・設備の衛生管理
施設設備を清潔に保つことは衛生レベル工場の第一歩です。
また、清掃時に点検を行うことで事故の防止にもつながります。
- 床洗浄(自動機、泡洗浄)
- グリストラップ清掃
- イレクター類
- カビ対策
- プラズマクラスター
- 掃除道具
食品等の衛生管理
食品の衛生管理は、菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」上での最重要ポイントです。
食中毒事故を起こさないために、備えを怠らないようにしましょう。
- 日付管理
- 計測ツール(温度管理)
- 微酸性電解水生成装置
- 検査ツール
- 厨房備品
異物混入対策
異物混入クレームが発生すると、会社の信頼を損なってしまいます。
対策を行い、クレームゼロを目指しましょう。
- 毛髪対策
- 防虫対策
- 衛生備品
- 衛生資材
- 異物探知機
ノロウイルス対策
同じ食中毒でも、細菌とウイルスとでは対策が変わってきます。
特に冬場はウイルス性の食中毒事故が増えるので、より注意が必要です。
- 手洗い洗剤
- アルコール
- 汚物処理
プロセスセンターの立ち上げ事例
食肉加工のプロセスセンターの立ち上げ事例をご紹介します。
※弊社が紹介した商品のみの紹介となります
棚、ラック類
工場内の棚として、使用用途や場所に合わせて2種類の棚を設置しました。
- グッシェルフ:安価だが耐荷重、防錆性が劣る中重ラック。
資材庫など水気の無い場所に設置。 - カムシェルビング:軽量で移動しやすく丈夫なラック。
水気が多く清掃頻度も高い現場に設置。
また、長靴ラックとして次のラックを設置しました。
- 底見せ長靴ラック:靴底の乾燥が早く衛生的に保つことができ、底の汚れを発見しやすい。
厨房内備品
- SUS430製のステンレス作業台:錆びにくく丈夫で、比較的安価な作業台を設置。
- まな板・包丁殺菌庫:包丁を衛生的に保管可能。
菌検査ツール
新工場立ち上げにあたり、今まで外部委託だった菌検査を内製化に変更のため、
品管室を一括でプロデュースしました。
- ペトリフィルム:培地は、作業が簡単で場所も取らないものを採用。
その他に、検体数や部屋の大きさに合った冷蔵庫、オートクレーブ、ホモジナイザー、資材棚、
作業机、機器、消耗品類などを選定しました。
洗剤類
- パワークリンキーパー高速すすぎ:メイン食材が食肉の為、タンパク汚れ、油汚れに強い
次亜入りでアルミ対応のアルカリ洗浄剤を採用。 - エアーコンプレッサー式クリーンエアフォーマー、水圧式フォームガン:
泡洗浄で広範囲を立体的に清掃。
その他に、中性洗剤、漂白剤、アルコールも導入し、衛生レベルを確保。
清掃ツール、ブラシ類
清掃区域ごとに色分けをし、カラーコントロールできるようにしました。
また、清掃対象ごとに最適なブラシを選定し、清掃が容易に、確実にできるようにしました。
- クリーンストレージ:清掃道具を吊るして保管することで、定位置管理が可能。
- クイックルワイパー:平滑面を清掃し、掃除の効率アップ。
手洗いツール
- オートディスペンサー:非接触で定量のハンドソープが出る。
- 薬用ハンドソープ:同時に殺菌・消毒。
- 非接触タイマー:十分な手洗い時間を確保。
衛生消耗品
- 耐切創手袋:カット工程における手袋。
- ウレタン打ち抜きエプロン:軽くて丈夫であり、作業性と衛生度を確保。
その他、マスク、カウンタークロス、ポリアームカバーなどを導入し、衛生レベルを確保。
プロセスセンターの立ち上げは折兼にご相談ください
プロセスセンターの意味や立ち上げについてご紹介しました。
働き方改革や手作業の自動化が進む中、各店舗の売れ行きやスタッフ数など調査して、プロセスセンターを活用することが重要です。
折兼には、衛生管理や食品機械の専門部隊が存在します。
これまでの長年蓄積した経験と豊富な仕入先から、食品の種類や現場の環境、会社の規模や業態など、お客様固有の状況に応じてご提案が可能です。
特に、機械の導入にはお求めする生産量や工場の搬入ルートなど、細かい条件があります。
プロセスセンターの立ち上げを考えられているお客様は、ぜひ折兼にご相談ください。