
注目される「モノマテリアル」
社会全体で環境問題への関心が高まり、モノマテリアルが注目される機会が増えました。
一方で、モノマテリアルがどんなものか分からない、どんな商品の代替となるのか判断が難しいと感じている声も多くあります。
そこで、本記事ではモノマテリアルの基本について解説するとともに、需要が高まる背景とリサイクル現場の実情、実際の使用事例などをご紹介します。
モノマテリアルとは?
近年、リサイクルをするうえでモノマテリアルが重宝されています。一方でモノマテリアルとは何なのか、認知度はあまり高くないのが現状です。
この章ではモノマテリアルとは何か、また、モノマテリアルが重宝される理由と他の素材との違いについて説明します。
モノマテリアルの基本
「モノマテリアル」とは、1種類の素材で構成されているもののことです。種類は様々ありますが、PETのみで作られているペットボトルやポリエチレンのみで構成されるフィルムを使用した袋などが該当します。
反対に、複数の異なる素材を組み合わせた構成のものを「マルチマテリアル」といいます。
容器や包装資材に使用される様々な素材
| ポリエチレン(PE) | プラスチックの素材の中でも使用量が多い。加工しやすく柔軟性があり、袋・フィルムなどに幅広く使用されている。 |
|---|---|
| ポリプロピレン(PP) | プラスチックの素材の中でも使用量が多い。変形しにくく、熱に強い。加工しやすく、食品容器などに幅広く使用されている。 |
| ポリエチレンテレフタレート(PET) | 透明性が高く、加工しやすい。飲料用ボトルや袋・フィルムなどに幅広く使用されている。 |
| 紙 | 環境への配慮が伝わりやすい一方、単一素材で使用する場合は耐油・耐水性が課題。 |
| アルミニウム | コストが高めだが、酸素や光を通しにくい高いバリア性を有している。飲料用缶や袋・フィルムなどに幅広く使用されている。 |
なぜ「単一」であることが求められるのか
モノマテリアルが注目される背景に、環境配慮に対する社会的要請の高まりがあげられます。
特に食品分野では廃プラスチック問題やリサイクル率への関心が高く、容器・包装資材にもリサイクルのしやすさが求められるようになっています。
リサイクルの工程では、素材ごとに分別や再生が行われております。異なる素材が複合されているマルチマテリアル製品の場合は分別が難しく、結果リサイクル不可となり焼却処分されてしまうケースも発生しています。そのため、リサイクルにおいて単一素材であることが求められているのです。
素材のリサイクルについて
環境への取り組みの一環としてリサイクルが有効であると考えられていますが、実際はリサイクル体制が完璧には整っておらず、リサイクル率が高くないのも現状です。
リサイクル現場で起きている現実
リサイクルに対する意識の高まりや体制の構築により、熱回収を含めると約80%のプラスチックがリサイクルされています。一方で廃プラスチック全体でのマテリアルリサイクル率は約20%で、大半がリサイクルされていない現状があります。
食品包装のリサイクル率が低い原因
食品容器・包装資材はリサイクル率が非常に低いことが問題視されています。
原因としては、食品容器・包装資材は油や水分で汚れやすく、分別・洗浄のコストが発生する傾向が高いことがあげられます。特に納豆やヨーグルトの容器は洗浄が難しく、リサイクルが困難です。PETボトルは全国的に回収ネットワークが確立されていますが、プラスチック容器包装は自治体ごとに分別回収ルールが異なり、一律のリサイクル体制が整っていないこともリサイクル率が低い一因と考えられています。
また、食品包装などに使用されているフィルムとして複数の素材が重なっている多層フィルムがあります。多層フィルムはバリア性や耐久性に優れている一方で、異なる素材が重なっていることでリサイクルが難しくなるという課題が発生しています。モノマテリアル化は、機能性とリサイクル性のバランスを見直すうえで有効であると考えられています。
モノマテリアル化に向けたチェックポイント
モノマテリアルの容器・包装資材をリサイクルすることは環境に優しい取り組みであると考えられています。一方、全ての容器・包装資材がモノマテリアル化に適しているわけではなく、内容物や現場オペレーションがモノマテリアル化の向き不向きに重要な判断基準となります。
内容物の特長
モノマテリアル化を検討する上で、包装する食材の特長は一番重要なポイントとなります。
特に水分や油分の多い食品はバリア性が欠かせず、モノマテリアルの包装資材では性能が不十分な場合もあります。
①内容物の水分量
②油脂の付着量
③漏れやにじみのリスク
これらをチェックポイントとしてしっかり確認しましょう。
現場オペレーション
環境配慮のためモノマテリアルの包装資材に切り替えた結果、充填スピードが落ちてしまったり、シーリング等の作業がしづらくなり生産性が下がってしまうと、企業や店舗にとって大きな損害となりかねません。また、輸送時など全ての工程で内容物をきちんと守ることができるか、陳列しやすいかも、安全に商品をお届けする上で重要なポイントとなります。
表示やリサイクル体制について
企業がモノマテリアルの素材に切り替えても、消費者がリサイクルできる素材と判断できず適切ではない処分をしてしまった場合、企業の環境配慮が無意味となってしまいます。また、リサイクルするには各自治体の回収・リサイクル体制がきちんと整っていることも重要です。
できることから環境への取り組みを行うことが大切
モノマテリアルはリサイクルのしやすさ、環境問題への取り組みとして有効な選択肢として考えられています。一方、包装する内容物によっては食品の品質保持に逆効果となり、食品ロスに繋がってしまう可能性もあります。自社の商品や現場に合った形で、無理のない範囲から取り組み始めることが大切です。
容器・包装資材の在り方を見直しする際、環境配慮と求める性能・作業性とのバランスを考えて選定をすることが求められます。
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