農林水産省が推進する「Go To Eatキャンペーン」が2020年10月1日からスタートし、感染拡大を受けて一時休止されていましたが、2021年の夏ごろから再開する自治体が増え、反響を呼びました。
この記事では、飲食店がGo To Eatキャンペーンに参加するために必要な感染症対策、衛生管理について解説していきます。
Go To Eat(ゴートゥーイート)キャンペーンとは?
Go To Eatキャンペーンとは、感染予防対策に取り組みながら営業している飲食店や、食材を供給する農林漁業者を支援するための、農林水産省が行うキャンペーンです。
Go To Eatキャンペーンの内容
Go To Eatキャンペーンは2つの取り組みから成っています。
- 登録飲食店で使えるプレミアム付食事券の発行
- オンライン飲食予約の利用によるポイント付与
販売期間、有効期限は地域ごとに設定されており、2022年11月時点では東京のみ行われています。
登録飲食店で使えるプレミアム付食事券の発行
プレミアム付食事券は、購入額の25%を上乗せした食事券で、都道府県ごとに発行されており、各都道府県の登録飲食店で使用できます。
例えば、東京都(Go To EatキャンペーンTokyo)の場合は、12,500円分の食事券(内訳:1,000円券×10枚+500円券×5枚)を10,000円で購入できます。
注意点としては、
- 支払いの際、おつりがでない
- 1回の購入金額上限は20,000円まで
- 第三者への交換または売買、譲渡、現金との引き換え、払い戻しは一切不可能
という事があるため、気を付けてください。
飲食店がGo To Eatキャンペーンに参加加盟したい場合は、各都道府県のGo To Eatキャンペーンサイトの加盟店募集のページより登録できます。
オンライン飲食予約の利用によるポイント付与
オンライン飲食予約サイト経由で、キャンペーン期間中に予約・来店すると、次回以降にキャンペーンに参加する飲食店で利用できるポイントが付与されます。
付与されるポイントは、昼食時間帯は500円分、夕食時間帯(15時以降)は1,000円分で、付与ポイント上限は1回の予約につき最大10人分までです。
オンライン飲食予約サイトに店舗情報を登録すると、予約ごとに送客手数料等が発生します。
サイトごとの送客手数料一覧が広報されているので、ご確認ください。
Go To Eatキャンペーンの対象飲食店
下記の条件を満たしている飲食店がGo To Eatキャンペーンの対象となります。
- 飲食店営業許可を得ている
- その場で飲食させる事業形態
- 一定の感染症対策を行っている
ただし、店内飲食をメインとしないもの(宅配ピザ屋などのデリバリー専門店、持ち帰り専門店、移動販売店舗(キッチンカー)、カラオケなど他のサービスの提供をメインとする店舗など)は対象外となります。
また、飲食店であっても、客への接待・遊興などを伴う飲食店(風営法で規定される「接待飲食等営業」、「特定遊興飲食店営業」の許可を得た営業を行う飲食店など)も対象外となります。
守るべき感染症対策
Go To Eatキャンペーンに参加するためには、農林水産省が公表した感染症対策を実施することが、参加条件です。
飲食店が実施する対策に加え、利用者に周知しなくてはならない事項もあります。
飲食店側が守ること
キャンペーン参加の条件は次の3つです。
- ガイドラインにもとづいて感染予防対策に取り組んでいること
- 農林水産省が発表した7項目の対策を実施すること
- 各都道府県が設定した独自の条件を実施すること
1. ガイドラインにもとづいて感染予防対策に取り組んでいること
日本フードサービス協会が、飲食店の事業継続のためのガイドラインを公表しています。
お客様や従業員、店舗の衛生管理など、飲食店の業務内容に基づいた対策のガイドラインとなっており、これにもとづくいた感染予防対策が必要です。
2. 農林水産省が発表した7項目の対策を実施すること
- 「換気」、「声量」、「三密」を常に意識し、上図の内容を実施、掲示する。
- 対象飲食店のうち、カラオケ設備を設置している事業所は、キャンペーン期間中はカラオケ設備を使用しない。
- 大量の飲酒は控えるよう利用者に周知する。
- 営業時間の短縮等、国又は地方公共団体からの要請に従う。
- 農水省が事前通告なしに行う訪問調査に協力する。
- ガイドラインを遵守していない旨の指摘には適切に対応し、対応しない場合は、事業者により登録が取り消される。また、利用者からの指摘を受ける相談窓口を設置する。
- 登録飲食店の利用者が着席した際に目につく場所で、接触アプリの紹介をする(メニュー表上にシールを貼る、レシートに印字する等)。
各都道府県が設定した独自の条件を実施すること
主なものとして、新型コロナウイルス接触確認アプリの導入や、店頭へのステッカー掲示などが、条件としてあげられています。
利用者側が守ること
キャンペーンに参加する飲食店は、以下の事項を利用者に周知させる必要があります。
- 発熱や咳など異常が認められる場合は来店しない
- できる限り混雑する時間帯を避ける
- 大人数での会食や飲み会を避ける
- デリバリーやテイクアウトも活用する
- 店が、席の配置や食事の提供方法を制限することに協力する
- 食事の前に手洗い・消毒をする
- 咳エチケットを守る。会話の声は控えめにし、大声に繋がりやすい大量の飲酒を避ける
- 食事中以外はマスクをする
飲食店向け感染症対策ツール
Go To Eatキャンペーンに参加するにあたって、役立つツールを紹介します。
手指消毒用アルコール
店舗入口や手洗い場所には、手指消毒用に消毒液を用意する必要があります。
国が推奨している濃度60%以上のものが安心です。
合わせてアルコールスタンドを設置しておくと消毒がしやすくなります。手を触れずに使用できる足踏み式のスタンドは衛生的に使用できるのでおすすめです。
パーテーション
席同士の間隔が空けられない場合や、向かい合って座るテーブル席では、パーテーションを設置しましょう。
見栄えを損なわない透明のアクリル製や、非常に低コストで導入できる段ボール製をご紹介します。
除菌剤
アノブや取っ手、椅子、机など、人がよく触れるところは定期的に除菌剤で拭き上げましょう。
現在厚生労働省より発表されている、コロナウイルスに効果があるといわれているものは、アルコール(60%以上)、次亜塩素酸ナトリウム(0.05%以上)、洗剤(有効な界面活性剤を含むもの)、次亜塩素酸水(有効塩素濃度80ppm以上)があります。
食品に触れても大丈夫な「食品添加物適合アルコール」が安全性が高く、おすすめです。
また、食品に触れない場所の消毒作業を行う場合は中性の除菌剤の使用をおすすめします。対ウイルスに特化した中性の除菌剤は、対象物を痛めにくく、二度拭きもいらないため非常に便利です。アルコールの使えないアクリル板の清掃にも使用できます。
手洗いツール
ウイルス対策はの多くは、ハンドソープを用いた手洗いが非常に有効です。
その際、殺菌・消毒も同時にできる薬用せっけんを使えば、さらに効果が高まります。
ハンドドライヤーの使用はウイルスをまき散らす恐れがあるため、手を乾かすときはペーパータオルの使用が好ましいです。
マスク
飛沫感染を防ぐために、マスクはマストアイテムです。従業員だけでなく、お客様の来店時にもマスクの着用を促す必要があります。また、厨房は気温が高く、マスクをすると体温が上がりやすいため、透明マスクのような通気性の良いものを使うことをおすすめします。
食事時に外したマスクの置き場所がなく、困っているお客様に対して、マスクケースがあると店の好感度が高まります。Go To Eatキャンペーンの参加条件にマスクケースはありませんが、店の感染対策のアピールとして有用です。
マスクケースとして使った後にナプキンとしても使える一石二鳥な商品もあります。
非接触温度計
店内にウイルスを持ち込まないために、従業員の出社時に検温し、熱がある場合は従事させないようにしましょう。
非接触タイプの温度計を使えば、温度計を介しての接触感染を防げます。
据置き型は、お客様にセルフで検温していただくことができ、おすすめです。
ビュッフェ形式での対策
ビュッフェ・バイキング形式で料理の提供を行う場合は、飛沫がかからないようにパーテーションやフードケースで料理を保護するようにしましょう。
また、トングなどは定期的に消毒し、接触感染防止のため、お客様に使い捨て手袋の着用を促しましょう。
レジ周り
レジでは、従業員とお客様が会話をすることが多く、飛沫感染のリスクが高いため、ビニールカーテンを設置するなどの対策が大いに有効です。
金銭を受け渡すときも、接触感染を防ぐために手袋を着用したり、トレー上で金銭のやり取りをする、キャッシュレス決済を利用する、などの対策をするとよいです。
感染防止対策を実施し、Go To Eatキャンペーンに参加しよう
Go To Eatキャンペーンには、プレミアム付食事券の販売とオンライン飲食予約の利用によるポイント付与の2本柱で成っていますが、どちらに参加するにしても、感染症対策を実施していることが条件です。
現在キャンペーンが行われているのは東京のみですが、記事内で紹介したツールをうまく活用し、Go To Eatキャンペーンに参加しましょう。