冷凍(凍結)の方法やパターンについて紹介
食品を冷凍(凍結)する方法は大きく分けて緩慢冷凍と急速冷凍の2つがあります。
さらに急速冷凍には冷風、液体、窒素を用いた3つの冷凍パターンがあります。
この記事では緩慢冷凍と急速冷凍の違いや、急速冷凍の冷凍パターンについて紹介していきます。
冷凍(凍結)とは?
食品の中の水分は冷凍することで-1℃あたりから凍り始め、-5℃あたりになるとでほぼ凍結して氷結晶になります。この温度帯を最大氷結晶生成温度帯と言い、この間を通過する時間が長いと氷結晶が大きくなり、食品の組織細胞を破ってしまいます。
その結果、食品の味や品質、旨みなどが低下してしまいます。
また、下記4つの条件を満たすものを冷凍食品(=食品を冷凍したもの)と言います。
1.前処理している
新鮮な原料を選び、これをきれいに洗浄したうえで、魚でいえば頭・内臓・骨・ひれなどの不可食部分を取り除いたり、三枚おろしや切身にしたり、その切身にパン粉をつけて油で揚げるだけで魚フライができるように調理するなど、利用者に代わってあらかじめ前処理をしています。
2.急速冷凍(急速凍結)している
凍結するときに、食品の組織が壊れて品質が変わってしまわないように、非常に低い温度で急速凍結しています。
3.適切に包装している
冷凍食品が利用者の手元に届くまでの間に、汚れたり、形くずれしたりするのを防ぐため、包装しています。包装には利用者に必要な取扱い、調理方法等のほか法律で決められている項目も含めて様々な情報が表示されています。
4.品温を-18℃以下で保管している
食品の温度(品温)を生産・貯蔵・輸送・配送
冷凍(凍結)するメリット
食品を冷凍することで下記のメリットを得ることができます。
1.限られた時期にしか出回ることがない食品を年間通して提供すること可能。
特定の時期でしか収穫できない食べ物などを収穫して、これを冷凍保存することで、採れたての変わらない味と風味を一年中提供することができます。
2.一番美味しい時期の食品を、別の時期で提供することが可能。
魚介類は脂の乗った美味しい時期に収穫して冷凍することで、一番需要が高まる時期に高品質な状態で提供することができます。
3.季節によって需要が高まる食品を、計画的に生産することが可能。
ハムやソーセージなどの加工品を冷凍することで、お中元やお歳暮など需要が高まる時期に備えることができます。
4.計画的生産ができるため、作業の平準化が可能。
食品を冷凍保存することで、繁忙期の人員増強を抑え人件費の削減をすることができます。
緩慢冷凍(緩慢凍結)とは
食品を冷凍する際、食品の中心温度が最大氷結晶生成温度帯(-1℃~-5℃) を通過する際に30分以上とどまって冷凍することを緩慢冷凍と言います。
家電量販店で売っている一般的な冷凍庫(庫内温度約-20℃)は緩慢冷凍に対応のため、この冷凍庫で冷凍すると、中心温度はゆっくり下がって冷凍されるため、30分以内に最大氷結晶生成温度帯を通過できません。
急速冷凍(急速凍結)とは
食品を冷凍する際、食品の中心温度が最大氷結晶生成温度帯(-1℃~-5℃)を30分以内に通過して凍結することを急速冷凍と言います。
急速冷凍ができる機械は風や液体の流れを利用して急速に食品内の温度を下げることができるため、30分以内に最大氷結晶生成帯を通過し、氷結晶を小さく抑えることができます。
急速冷凍(急速凍結)の種類
急速冷凍をする方法は、大きく分けて冷風・液体・窒素の3種類あります。
更に冷凍する方法によって分類が変わり、冷風のみを使って冷凍(凍結)する方法を「急速冷凍(凍結)」
液体や窒素を使って凍結する方法を「特殊冷凍(凍結)」と分けられます。
この章ではそれぞれの違いについて簡単に説明をします。
冷風を用いた冷凍方法(急速冷凍)
食品に対し、一定方向から冷風を吹きかけて凍らせる方法です。
この方法は緩慢冷凍(一般的な冷凍庫)でも使われていますが、急速冷凍の場合、-30℃~-40℃近くの強い冷風になります。
液体を用いた冷凍方法(特殊冷凍)
食品を-35℃近くに冷やされたアルコール浴槽の中に漬け込んで凍らせる方法です。
液体は空気よりも約20倍熱伝導率が高いため、速いスピードで凍らせることができます。
液体の場合、食品がまんべんなく冷やされるので凍結ムラが起こりにくいです。
液体窒素を用いた冷凍方法(特殊冷凍)
食品を断熱処理された冷凍室の中で、-196℃の液体窒素ガスを直接吹きかけて瞬間的に凍らせる方法です。大量の食品を一度に冷凍加工する場合に有効です。
液体窒素を管理する設備とコストが必要なので、大型工場などで使われることが多いです。
このように冷凍する方法も3種類に渡り、機械も変わってきます。
次の章では、食品の冷凍によく使われる冷風・液体を用いた冷凍機について紹介していきます。
冷風を用いた急速冷凍(凍結)機
この章では、冷却した風を食品に送り、凍らせることができるエアブラスト冷凍(凍結)機を紹介します。
エアブラスト冷凍(凍結)機
エアブラスト冷凍機は大きく分けて「バッチ式」と「トンネル式」の2種類があります。
ブラストチラーやショックフリーザーはエアブラスト冷凍機に分類されます。
バッチ式フリーザー
食品を乗せたカートをトレーに移して棚に入れる、または台車ごと冷凍室に入れて、冷却した空気を送り冷凍室内の食品を冷凍する方法を用いた機械です。構造がシンプルなため扱いやすく、大小さまざまなサイズがあります。商品を冷凍する工程で出し入れの作業があるため、連続生産や大量生産には適していません。
トンネル式フリーザー
※画像はタカハシガリレイ製トンネルフリーザー
食品をベルトコンベアが走るトンネルの中に搬送して、トンネルを通過する間に冷却した空気を送る方法を用いた機械です。ベルトコンベアを使うため、扱いや洗浄がやや複雑で、スペースも必要ですが、大量に食品を冷凍することができるため省人化に向いています。
冷凍する際は形を崩してはいけないケーキなど、強い風が悪影響を与える食品は注意が必要です。
液体を用いた特殊冷凍(凍結)機
この章では、食品を液体に浸すことで凍らせることができるブライン凍結を紹介します。
ブライン凍結(液体凍結)とは、液体を使った冷却方法で、リキッドフリーザーとも呼ばれます。
低温にしても凍らない液体であるブライン液(濃厚な塩溶液・アルコール液類など)を冷やし、袋に密着した食品を液体が入った機械に漬け込んで冷凍します。
液体は空気に比べ約20倍の熱伝導率があるため、エアブラスト冷凍よりも冷凍効率が良いと言われており、形状や大きさも関係なく冷凍することができるメリットもあります。
凍結の速さは、冷凍による食品へのダメージを最小限にするため解凍後の品質を守ります。
食品を凍結させる際、食品内の水分が氷になることで体積が膨張し、細胞膜が壊れます。
解凍する時に壊れた細胞膜から栄養や旨みが、液体として流れ出てしまいます(=ドリップ)。
ブライン凍結(リキッドフリーザー)は、凍結の際に最大氷結晶生成温度帯(-1℃~-5℃)を素早く通過するため、細胞破壊を抑えることができるため、ドリップの量を抑え、旨みや栄養の流出を防ぐことができます。また、液体が食品全体にまんべんなく当たるので、凍結ムラが起こりません。
急速液体凍結機 ラピッドフリーザー
ラピッドフリーザーは、野菜や果物から肉・魚などから、惣菜などの食品まで、効率よく凍結できる-30℃の不凍液に、パッキングした食材を浸漬して凍結する液体急速凍結機です。
解凍方法も一般の冷凍品と同じように常温や低温、流水、湯せんでできます。
冷凍の比較図
上:緩慢冷凍後に解凍(ドリップが出ている) 下:急速冷凍後に解凍(ドリップが出ていない)
食材の細胞を傷めない高品質な凍結のため、一般的な緩慢凍結では劣化してしまう食材でも、凍結前の変わらない鮮度・味・見栄えを保ちます。
ラピッドフリーザーの凍結技術を活用することで、商品の品質を長く保持し廃棄ロスを防いだり、新鮮なまま長距離輸送により新たな販路を創造することも可能になります。
超高速凍結機 ZERO-03
ZERO-03は、超低温の液体に商品を漬け込む事により瞬間で凍結する液体凍結機になります。
商品の熱を取り去る吸熱と排熱に、振動を与える新しい技術を導入する事により、従来の液冷タイプに比べて熱交換効率飛躍的に高くなりました。
ブライン液温度も制限をしなけれあばマイナス60度まで液体温度を下げることができます。
また、今まで冷凍が難しかった「豆腐・米飯・牛乳・駅弁・ホルモン・根菜」などの食品が冷凍可能になりました。
ブライン凍結機が適しているか判断する方法
ブライン凍結機が適しているかを判断する方法は、冷凍したい食品が真空包装や脱気包装に向いているかどうかです。
袋に詰めて密閉しただけでは、食品と袋の間に空気が入ってしまい、冷凍効率が悪くなってしまうので、ブライン凍結機を使う場合には、必ず真空包装や脱気処理を行うことが必要です。
ただし、食品が液体に漬かっても問題ない場合は、袋がなくても冷凍できます。
また、ブライン凍結機に投入する濃厚な塩溶液・アルコール液類などの不凍液は、食品の出し入れや蒸発により少しずつ減っていきますので、定期的な補充が必要です。
急速冷凍機の導入方法
急速冷凍機の導入は大きな投資となるため、機種の選定には慎重になることが多いです。
折兼では、機械の専門スタッフがいますのでお客様が取り扱う食品にあった最適な急速冷凍機をご提案致します。急速冷凍機以外の機械も取り扱いしておりますので、機械導入をお考えの方は是非一度ご相談ください。
急速冷凍機はフードロスの削減と業務効率アップに繋がる!
冷凍のことや急速冷凍機に関するご紹介をしましたが、いかがでしたでしょうか。
急速冷凍機を使うことで食品の消費期限を延ばすことができるのでフードロス削減に繋がります。
また、冷凍保管することで、ピークタイムに合わせて解凍して使うことができるなど、業務効率もアップします。
最後に今回ご紹介した急速冷凍の比較図を記載しますので、急速冷凍機をご検討の方はご参照ください。
エアブラスト冷凍(急速冷凍) | ブライン凍結(特殊冷凍) | |
---|---|---|
凍結方法 | 冷風を吹きかける | 不凍液の液体に漬け込む |
凍結方式 | 冷風循環式 | ブライン浸漬式 |
凍結時間 | 早い | 条件によっては非常に早い |
ドリップ | やや多い | 少ない |
食品への影響 | 食品の表面が乾燥するなどの劣化が起こる、水分蒸散が多い | 食品劣化が起こりにくい |
食品の形状 | 形状は問わない | 形状が限定される |