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食品包装・食品容器の歴史について紹介

2022.10.14

食品包装や容器の歴史について紹介

食品包装や容器は、歴史とともに発展していきました。これらは、流通・陳列・食卓で必要不可欠な資材です。今回は、どのように食品包装や容器が発展していったのかを紹介していきます。

人類最初の食品包装・容器の誕生

人類が最初に使用した食品容器・包装は、木の葉や竹の皮、獣の皮と言われています。

木の葉

柿の葉寿司

木の葉は、現代でもお菓子やお寿司に使用されている食品包装の1つです。
現代でも木の葉を使用されている理由は、「適度な保湿性がある」「抗菌性がある」からです。現代では、適度な保湿性・抗菌性がある包装を用意するのは簡単ですが、自然にやさしく簡単に包装できるため、今でもなお木の葉が使われています。

青笹

竹の皮

竹の皮とおにぎり

竹の皮は、現代でもおにぎりやお肉の包装に使用されている食品包装の1つです。
竹の皮の特性として、下記の5点が挙げられます。

①   抗菌・防腐作用
②   通気性
③   保水性
④   消臭効果
⑤   丈夫

また、竹の皮は食材の余分な水分を放出する一方、乾燥しすぎないように湿度を調整してくれます。そして、竹の皮は食品の包装だけではなく、「焼く」「蒸す」「煮る」などの調理にも使用することができます。

竹皮

獣の皮

獣の皮

獣の皮は現在、食品包装に使用されることはあまりありません。
しかし、スペインではボタバッグと言われる動物の皮で作られたワインを入れる水筒が使用されています。 現在ではプラスチック製のライナーとノズルで加工され、外側は動物の皮を使用していますが、伝統的にはヤギの膀胱で裏打ちをし、液体の浸透を防ぐために樹液が使用されていた歴史がありました。

食品包装・食品容器の発達

約1万5000年前~1万年前に、人類の生活様式が狩猟採集して食料を獲得する「獲得生活」から、牧畜農耕で食料を生産する「生産生活」へ移り変わりました。
 
生産生活では、天候の影響で食料の生産量が左右されるため、生産した食料を保存する必要がありました。虫やネズミから食料を守るため、より保存期間を伸ばすことができる土器や甕(かめ)、壺、木箱や行李(こうり)が使用されるようになりました。
土器や甕、壺は、肉や魚などを燻製にしたり、塩漬けにしたり、煮る・炊くなどの調理の際にも使用されていました。

壺と甕

壺と甕は形状が似ていますが、口の大きさ(口径部分の大きさ)によって呼び方が異なります。
壺は口が小さく、甕は口が大きいことが特徴です。
そのため、口径が小さく容量が小さいものを壺、口径が大きく容量の大きいものを甕と呼びます。
 
壺は、口が狭いため外気が中の食料に触れにくく、食料の長期保存に使用されていました。
甕は、口が広いため大量の食料を入れることができ、調理器具としても使用されていました。

壺と甕

木箱

木箱

木箱は、現代でも使用されている食品容器の1つです。
特に日本では、薄い木の皮を折り曲げて作られた「折箱」という固有の食品容器があります。
日本の高温多湿な気候でも食品が腐敗しにくく、抗菌性のある杉や檜(ヒノキ)、エゾ松が使用されています。現代でも、お寿司やお弁当、お菓子向きの容器として使われています。
 
また、プラスチックで作成された折箱風容器もあります。本物の木で作られた折箱に比べて軽く、安価でカビの心配がありません。

折箱 中央化学 CWH-302浅 黒-たもん杉(ボ)

行李(こうり)

茶摘み

行李(こうり)とは、竹や柳、藤などを編んでつくられた葛籠(つづらかご)の一種です。
壺や甕、木箱などに比べて軽いため、持ち運び用の食品保存容器として使用されていました

ビン(ガラス)普及

吹きガラス

紀元前1550年頃に、エジプトで最初のガラスの器が作られるようになり、その製法が西アジアに伝わりました。ガラス製品は食品容器、水差し、香油(現在のアロマオイルのようなもの)などに使用されていました。当時は「コア・テクニック」と呼ばれる複雑な製法で作られており、ガラス製品少数しか製造できなかったため、とても高価なものでした。
 
ローマ時代には「吹きガラス技法」という技術が発明され、ガラス製品の大量生産が可能となりました。そのため、ガラス製品は庶民にも手が届く存在となりました。

1890年に、アメリカのウィリアム・ペインターがガラス瓶のクラウンコルクを開発し、特許を取得しました。貴族が被る王冠と形状が似ていることから、その名が付けられました。クラウンコルクは、安価で大量生産でき、瓶詰めビールの量産を加速させました。

1905年になると、アメリカ合衆国で自動製びん機が開発され、ガラス瓶の大量生産が可能になり、近代産業としてスタートしました。

クラウンコルク

ガラス瓶の特徴

ガラス瓶

現在のガラス瓶は、「ワンウェイ瓶」と「リターナブル瓶」の2種類に分けられます。
 
「ワンウェイ瓶」は、一度で使い切るガラス瓶で、使用後はガラス原料としてリサイクルされます。清涼飲料水や栄養ドリンク剤などに使用されています。
 
「リターナブル瓶」は、使用後瓶を回収し、瓶の選別・殺菌洗浄を行い、再度中身を入れて商品を提供します。一升瓶やビール瓶、牛乳便などに使用されています。

発明によって食品の長期保存が可能に

缶

フランスの宰相ナポレオン・ボナパルトは、1万フランの懸賞金をかけて、外国遠征のための軍用食品の長期保存技術を募集しました。
そして、1804年にニコラ・アペールがガラス瓶に食品を入れて加熱殺菌する方法を発明しました。
1810年には、イギリス人のピーター・デュランドが、割れやすいガラス瓶に代わるブリキ缶を発明しました。缶はガラス瓶と比較して、高い密封性や耐久性、軽さ、生産の容易さがありました。
食品の煮沸技術と缶の発明によって、食品包装の歴史は大きく変化しました。

缶の特徴

缶の特徴として、金属の高い密封性が挙げられます。密封性があることで、酸素、水分、微生物などから遮断することができます。また、密封後に加熱殺菌をすることで高い保全性が得られます。缶はその高い密封性から、石油製品・化学薬品など食品以外にも使用されています。

「使い捨て容器」の始まり

紙プレート

1900年代のアメリカでは、駅や学校の水飲み場で共同のひしゃくやコップが使われていました。その頃流行していた結核の患者も同じものを使用していたため、感染拡大の原因とされました。
そこで、1908年ローレンス・ルエレンとヒュームーアは「ヘルスカップ」と呼ばれる使い捨ての紙コップを開発しました。これが、清潔で安全な「使い捨て」包装の始まりです。
 
 
日本では、最初に紙コップが作られたのは1930年と言われています。初めはアイスクリーム用の紙カップが作られ、1954年頃から飲料用の紙コップが使われるようになりました。
そして、東京オリンピックや大阪万博の開催、コンビニエンスストアの普及により、さまざまな食品を入れることができる多機能な紙容器へと進化していきました。

近代の食品包装技術の変遷

■1940年代

戦後の日本は何もない状態から始まりました。豆腐や醤油などを購入する際には、瓶や鍋を持参して食品を入れてもらう時代でした。

台車

■1950年代

戦後の日本人の栄養不足を補うため、ポリ塩化ビニリデンケーシングで包装された魚肉ハム・ソーセージが開発されました。 1958年には、日清食品の創業者・安藤百福によって世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」が開発されました。

乾麺

■1960年代

日本では肉や魚のトレー、非耐熱弁当容器、透明容器などが誕生。好景気に入り、加工食品が急増してプラスチック包装も進展しました。特に、レトルト食品はアメリカのアポロ計画で宇宙食に採用されたことで、多くの食品メーカーに注目されました。

レトルト袋

■1970年代

小売業の規模拡大化が進み、使い捨て食品容器の市場も拡大。生鮮食品の広域流通が実現し、コンビニエンスストアが誕生。1974年に、ペプシコーラ社がペットボトルを飲料容器に採用し、世界初の飲料ペットボトルとなりました。

ペットボトル

■1980年代

コンビニエンスストアが弁当の販売を開始し、 1988年にセブンイレブンで初めてレンジでチンできる弁当容器が使用されました。 1985年に男女雇用機会均等法が制定され、働く女性が増えたことにより、中食が増えました。

コンビニ弁当

■1990年代

バブル経済が崩壊し、自らの生活を見直し、食の安全、環境への配慮を重視する時代になりました。1990年には、使用済みトレーの自主的回収リサイクルが始まりました。翌年には「再生資源利用促進法」の成立、1994年に「製造物責任法」、1995年に「容器包装リサイクル法」が成立し、環境に配慮した循環型社会への転換が進みました。

回収ボックス

■2000年代

地球温暖化対策として、CO₂削減に対応した100%植物由来プラスチック食品容器や、一部に植物原料を使用した容器等が開発されました。 2020年の新型コロナウイルス感染症拡大により、世界中で外出の自粛、移動制限措置がとられました。日本でも緊急事態宣言が発出され、家で過ごす時間が長くなり、テイクアウトや宅配が急増しました。プラスチック食品容器の基本的な役割である衛生面、利便性や運搬性が改めて見直されました。

容器集合

プラスチック容器の特徴

シーン別のメリットを紹介

プラスチック容器は、使うシーンによってさまざまなメリットがあります。

輸送時

軽くて丈夫なので、容器を重ねて置いてもつぶれにくく、一度に大量の容器を運ぶことができます。

輸送時

陳列時

売場では、容器の形状や色を工夫して、商品をアピールできます。 蓋の開け閉めが容易で、寿司がずれないように仕切りが付くなどの工夫もあります。

陳列時

食事

弁当容器や惣菜容器をそのまま食卓に並べることができるように、きれいな彩りや形状が施されています。 また、電子レンジに対応している容器もあります。

食事

プラスチック容器のデメリット

大量のゴミ

プラスチックは自然に還らないため、使用後に大量のゴミが発生し、そのまま残ってしまう問題があります。家庭から出るゴミの中で包装容器が占める割合は、容量の約6割、重量で約2~3割といわれており、ほぼ毎日使って捨てられています。

環境に配慮したエコ容器の紹介

容器

プラスチックによる問題が世界的に広がり、使い捨て食品容器には環境配慮の対応化が求められ始めました。そこで、折兼が取り扱っている環境配慮型の容器を5点ご紹介します。

■バガス容器

バガスとは、サトウキビを圧縮したあとの絞りカスのことです。 バガス容器は、従来では廃棄物として処理されていたサトウキビの絞りカスを、容器として有効利用するために開発されたもので、100%植物由来のため生分解性があり、環境にやさしい容器です。 電子レンジや冷凍に対応し、耐油・耐水性もあるため、「環境にやさしく使いやすい容器」として注目されています。

バガス容器

■紙容器

紙容器は、古紙の利用率が50%以上とリサイクル率が高いため、環境にやさしい容器として注目されています。さらに、比較的安価に生産が可能です。しかし、一部の商品には耐水性・耐油性や耐熱性がないデメリットもあります。そのため、折兼では耐水性・耐油性や耐熱性のために加工した商品もご用意しております。

紙容器

■タルファー容器

プラスチック素材を50%削減し、代わりにタルクという素材を使用しています。 タルクとは、ケイ酸マグネシウムを主成分とする天然素材・無機鉱物です。陶磁器だけでなく、化粧品やベビーパウダー、食品などにも利用されている安全な素材です。強度や感触はプラスチック容器とほぼ一緒のため、タルファー容器に変更するだけで環境配慮ができる商品です。

タルファー容器

■PLA(ポリ乳酸)容器

PLA(ポリ乳酸)とは、トウモロコシやジャガイモなどに含まれるデンプンなどの植物由来のプラスチック素材です。PLA容器は、適切な処理で最終的に水と二酸化炭素に分解され、ゴミの削減に貢献します。現在では、サラダやフルーツ、デザートなどの容器として使用され、コンビニや大手スーパーなどに浸透しつつあります。

PLA(ポリ乳酸)容器

■リサイクル容器

リサイクル容器とは、回収した使用済みトレーを原料にした循環型のリサイクル容器です。 材質ごとに選別された容器は再ペレット化され、容器メーカーによって再度容器として生まれ変わります。

リサイクル容器

食品包装・食品容器の購入について

 今回紹介した竹の皮やバガス容器などは、折兼が運営する通販サイトの「容器スタイル」または実店舗の「プロステーション」で購入することができます。
 
容器スタイルでは、20,000点以上の食品容器を取り扱っております。
1回のご購入が3,850円(税込)以上なら、一部の地域を除き全国どこでも送料が無料です。

包装容器の今後について

食品包装や食品容器は、人類の発展に合わせて変化していきました。
現在多く使われているプラスチック容器は、環境問題の関係により削減する流れになっています。
そのため、自然に還るバガス容器や紙容器、リサイクル容器など、環境に優しい容器・包装が次の時代の主流になっていくと考えられます。
 
一部からは「包装無用論」などの声も出ているようですが、食品包装・食品容器は私たちが生活をしていくうえで、食品を安全・衛生的に消費者へお届けするためになくてはならない存在です。

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