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包装資材に付いているマークを紙マークにする方法とは?

2022.11.11

最近よく見かける紙で包装されたお菓子

キットカット

最近、コンビニやスーパーに行くと、紙で包装されたお菓子などを見かける機会が増えてきていませんか?
かつては、プラスチックを主原料とした包材をよく目にされていたかと思います。
近年の環境に配慮する取り組みの増加で、プラスチックを脱する動きや、使用量を削減する動き、バイオマス資源を活用する動きが増えてきている傾向にあります。
今回は、このような取り組みの一部である「紙を使用した包装」について紹介していきます。

企業の環境意識について

近年では、SDGs(持続可能な開発目標)が世間で注目を浴びています。
SDGsとは、国連が2015 年に採択し、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すために、
17のゴールと169のターゲットで構成された環境・経済・社会についての目標です。
SDGsは、ビジネスの世界では「共通言語」になりつつあり、経営リスクの回避や新たなビジネスチャンスの獲得、事業の持続可能性追求のためのツールとして注⽬を集めています。

企業がSDGsに取り組むひとつに、「フィルム使用量削減」があります。
食品包装業界では、これまで石油由来の包装資材が使用されてきましたが、SDGsの目標に向かい、バイオマス資源を原料としたフィルムの使用や、紙構成をメインに使用した包材を活用するなど、環境に配慮した資材を取り入れる企業が増加しています。

そこで今回は、環境配慮資材のひとつである「紙マーク」について着目していきます。

紙マークとは?

紙マーク

紙マークとは、「資源の有効な利用の促進に関する法律(以下「資源有効利用促進法」)」に基づき、紙製容器包装であることを識別するためのマークです。
この紙マークは、資源有効利用促進法の改正に伴い、2001年4月より、家庭から排出される紙製容器包装に付けることが義務化されました。
 
また、この紙マークは「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(以下「容器包装リサイクル法」)」に基づき、リサイクルが円滑に行われること、消費者が容易に分別できることを目的として生まれました。

資源有効利用促進法について

な3R(リデュース・リユース・リサイクル)

資源有効利用促進法は、循環型社会を形成していくために必要な3Rの取り組みを総合的に推進するための法律です。
3Rとは、循環型社会を形成するために必要な取り組みであるリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の頭文字がそれぞれRであることから名付けられた名称です。
 
リデュース(廃棄物の発生抑制)
 省資源化や長寿命化といった取り組みを通じて、製品の製造、流通、使用などに係る資源利用効率を高め、廃棄物となってしまう資源の利用を極力少なくします。
 
リユース(再使用)
 一旦使用された製品を回収し、必要に応じ適切な処置のあと製品として再使用したり、再使用可能な部品を利用します。
 
リサイクル(再資源化)
 一旦使用された製品や、製品の製造時に発生した副産物を回収し、原材料としての利用または焼却熱のエネルギーとして利用します。

容器包装リサイクル法について

家庭ごみ

容器包装リサイクル法とは、家庭から排出されるごみの重量の約2~3割、容積で約6割を占める容器包装廃棄物について、リサイクルを促進することで廃棄物の減量化と資源の有効利用を図るための法律です。

従来は、市町村のみ容器包装廃棄物の処理に対する責任を全面的に担っていましたが、この法律は消費者、市町村、事業者(容器の製造事業者・容器包装を用いて中身の商品を販売する事業者)の3者が役割を分担し、一体となって容器包装廃棄物の削減に取り組むことを義務付けました。
その3者の役割をご紹介します。
 
消費者
市町村が定める分別ルールに従い、ごみを排出します。それにより、リサイクルしやすく
資源として再利用できる質の良い廃棄物が得られます。
 
市町村
家庭から排出される容器包装廃棄物を分別収集し、リサイクルを行う事業者に引き渡します。
その他、市民、事業者との連携により、地域における容器包装廃棄物の排出抑制の促進の役割も担っています。
 
事業者
事業で用いたり、製造・輸入した量の容器包装についてリサイクルを行う義務があります。
実際には、容器包装リサイクル法に基づく指定法人にリサイクルを委託し、費用を負担することで、義務を果たしていることが多いです。その他にも、容器包装の薄肉化・軽量化、レジ袋の有料化等により容器包装廃棄物の排出抑制に努める必要があります。

紙マークを使用することのメリット

紙マークが使用できる資材へ変更することで、次のようなメリットが考えられます。

①消費者がリサイクルする時、分別排出をしやすくなる
②環境への配慮につながる
③企業のイメージアップへつながる

 
①消費者がリサイクルする時、分別排出をしやすくなる
紙マークは、容器包装リサイクル法に基づきリサイクルが円滑に行われ、消費者の分別排出を容易にすることを目的として生まれました。そのため、リサイクルの促進が期待されます。

②環境への配慮につながる
食品包装の業界でも、脱プラスチックの動きがあります。従来はプラスチック製が主流でしたが、紙を使用した資材へ変更することで環境への配慮につながります。自然資源枯渇の抑制や、地球温暖化防止、水質汚染の防止につながることが期待されます。

③企業のイメージアップへつながる
テレビ番組やネットニュースで、環境問題について取り上げられることが増え、消費者にとって身近な話題になり、以前に比べ関心が高まっています。そのため、紙製資材の利用により環境問題に取り組むことで消費者からの信頼を獲得し、企業のイメージアップにつながると考えられます。
一方、紙製資材は現状では割高であり、プラスチック製の資材が未だ多く使われています。
しかし、そのような時こそ紙製資材を含めたエコな取り組みを発信していくことで大きな宣伝効果となることもあります。

リサイクルマークをプラから紙への変更について

消費者がリサイクルを行う際に着目しているのが、リサイクルマークです。
リサイクルマークには様々な種類があり、紙マークもそのうちのひとつです。
紙マークが表示されている資材は、原料のすべてが紙から成るものだと思われますが、一部には紙とプラスチックの複合素材からできている資材もあり、分離不可能な場合があります。

資源有効利用促進法では、「重量比の大きい素材の識別マークを表示すること」と決められており、プラスチックの重量比が50%を超える場合はプラマークを、紙の重量比が50%を超える場合は紙マークを表示します。
 なお、異なる素材であっても容易に分離できる場合には、各素材についての識別マークが必要であり、資材の紙の重量比が50%を少しでも越えていれば、紙マークになります。

紙構成の実例

実際にどのようなフィルムの構成で紙マークの表示ができるのでしょうか。
事例としての構成は、下記のようなものがあります。

ハンバーガー

薄葉紙20/PE15μ(ハンバーガーの包装紙など)

薄葉紙20(紙):PE15μ(プラ)=紙の方が割合が大きいので、紙マークの表示がつけられます。

レーヨン30g/DL*/ヒートシールOP#30(内容物:米菓、練り製品など)
クラフト50g/DL*/透明蒸着PET#12/DL/LL#30(内容物:和菓子、洋菓子、バリア性が必要な商品など)

このように、バリア性が必要な内容物でも、3層構成の中間層にバリア機能のあるフィルムを用い、表面にクラフト素材を用いることで、紙マークとして表示することができるようになります。

その他にも、紙の重量を他の素材が越えなければ、基本的に紙マークとして表示することができます。

*DL・・・ドライラミネート接着剤

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紙マークを使用することで環境配慮につながります

プラスチックが主流だった食品包装業界でも、環境へ配慮する取り組みが増えてきています。
今回ご紹介した紙マーク表示の資材は、環境配慮への取り組みのほんの一部ですが、このマークを活用することで、消費者が分別しやすくなるなどのメリットがあると考えられます。

また、企業としても資材に紙マークを用いることで、消費者が手に取りたくなるような商品開発にもつながるのではないでしょうか。
今後、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、フィルムの包材でも紙マークの活用にますます注目が集まると思われます。

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