冷凍に対応しているフィルム(袋)を紹介
食品によって保存や管理に適した温度帯は異なります。
例えば、常温や低温では腐敗や変色などが起きてしまう食品も、冷凍することで保存期間を延ばし、品質の低下を防げます。
食品を冷凍するには、冷凍に適したフィルムを選ぶことが重要です。
本記事では、食品の保存や管理に適した温度とともに食品を冷凍するメリット、フィルム選びのポイントや、実際に冷凍食品の保管や配送時に起こってしまう問題と解決策も紹介します。
常温・チルド・冷凍についての概要
食品は配送・保管する際に適切な温度管理を行う必要があります。
配送・保管時の温度指定として使われているのが「3温度帯」です。
一般的に「常温」「冷蔵」「冷凍」の3つで、次のような温度帯区分がされています。
温度帯 | 温度区分 | 該当する食品 |
---|---|---|
常温 | 10~15℃、または20℃ | ナッツ類、チョコレート、液状油脂(マヨネーズ、ドレッシングなど) |
冷蔵(チルド) | -5~5℃ | ・生鮮魚介類、加工魚介類(魚肉ソーセージ、ゆでがに、ゆでだこなど)食肉製品、生鮮果実、野菜など ・氷温食品として認定されたもの(氷温熟成ステーキ、氷温熟成みそなど) ・生鮮食品(肉類、魚類) |
冷凍 | -15℃ | ・乳製品、練り製品、野菜、畜肉など ・アイスクリーム、魚介、冷凍食品、パン生地など ・鮮度が重視される食品(冷凍マグロなど) |
フィルムを使用した食品冷凍のメリットとは?
常温や冷蔵で保存・管理できる食品でも、冷凍することでさまざまなメリットを得られます。
その際に重要なのが「フィルム」選びです。
この章では、フィルムを使用して食品を冷凍するメリットを解説します。
食品の長期保存が可能
常温や冷蔵で保存可能な食品でも、フィルムを使って食品を冷凍することで、長期保存できます。
保存できる期間は食品によって異なりますが、冷凍食品の賞味期限は一般的に数ヶ月~1年間です。
食品を長期保存することで以下のようなメリットが得られます。
・特定の時期にしか出回らない食材を1年間提供できる
・旬の食材を質の高い状態で別の時期に提供できる
・食品の計画生産に必要なコストや人件費を削減できる 等
細菌の繁殖を防ぐことができる
食品を常温で保管すると、細菌が繁殖し、品質の低下や食中毒のリスクが高まります。
正しいフィルムを選ぶことで、食品の腐敗や変色を防ぎ品質を保つことができます。
冷凍食品の包装に求められる機能
冷凍食品は、低温下で長期保存する前提で製造されるものです。
そのため、冷凍食品を包装する際、低温での保存・管理、さらに販売までを考えた機能性が求められます。ここからは、冷凍食品の包装に求められる具体的な機能について解説します。
耐寒性
冷凍食品は冷凍庫で長期保存するため、パッケージに耐寒性が求められます。
食品により適切な温度は異なり、アイスクリームは-20~30℃、冷凍マグロは一般的には-60℃です。
食品ごとに求められる温度に対応した耐寒性を持つ包装を選ぶようにしましょう。
耐衝撃性
冷凍食品は、さまざまな場所で衝撃を受けます。
工場から店舗への輸送・搬入、店舗での陳列、消費者が持ち帰る間などで「他の商品とぶつかる」「落とす」などのリスクがあります。
そのため、冷凍食品のパッケージには衝撃を受けても包装が破損しない耐衝撃性が必要です。
密閉性
冷凍食品のパッケージは、以下の3つの理由から、密封性が求められています。
①内容物を衛生的に保つ
中に入っている食品を清潔で衛生的な状態に保つためには密閉性が欠かせません。
密閉性を高めることで、外部から異物が混入することを防ぎます。
②外気との接触を避ける
冷凍食品は外気に触れないようにする必要があります。
密閉性が低い場合、内容物が外気に触れ解凍が始まることがあるためです。
食品の腐食や変形、品質の低下を防ぐ上で、パッケージの密閉性が非常に重要と言えます。
③ある程度の重みに耐える
冷凍食品は保管や配送時に積み重ねられることが多いことから、それらの重みにも耐える必要があります。密封性が低いと、積み重ねた際の重みに耐えられません。
パッケージが破れて中身が出てしまったり、異物が混入してしまう恐れがあります。
特にパッケージの中に空気が入っているときは注意が必要です。
耐水性
冷凍食品のパッケージには耐水性も求められます。
冷凍食品を保管する冷凍庫の中には、霜や氷が発生することが多いです。
冷凍食品のパッケージも水分にさらされることが多い傾向にありますので、内部への浸水を防ぐ上で耐水性は必要です。
印刷適正
冷凍食品のパッケージには、商品名や特徴、調理方法などを印刷します。
消費者へ正確な情報を伝え、陳列時に商品の魅力をアピールするためにも、 印刷適性は重要です。
なお冷凍食品のパッケージを廃棄する際には常温になります。
常温でも印刷が落ちないインクを使用すれば、破棄する際に印刷が手や服に付くことを防げます。
冷凍食品フィルム改善例
冷凍食品のパッケージフィルムは、輸送時や保管時にピンホール(針で開けた程度の小さな穴)ができたり、破れたりすることがあります。
冷凍食品のフィルム構成を理解して、ピンホールや破れを防ぐことが重要です。
「ピンホール(突き刺し)」「ピンホール(擦れ)」「衝撃による破損」といった問題を解決する際に役立つフィルムの特性を生かした具体例を紹介します。
ピンホール(突き刺し)の解決策
冷凍した食品の骨や殻など鋭利な部分や、冷凍された商品の立って硬くなった角、トレイのエッジやバリはピンホール発生の原因となります。
破れやすくピンホールが起きやすいポリ袋ではなく、突き刺しによるピンホールに強いNY(ナイロン)を袋の外側に使用すると防ぎやすくなるでしょう。
ピンホール(擦れ)の解決策
食品を冷凍すると、フィルムが内容物に合わせた形状で固まります。
すると、運送する際の振動などでフィルム同士が擦れてしまい、摩擦でピンホールが発生し、破袋してしまいます。
擦れによるピンホールを防ぐには、突き刺しよりも高い耐久性を持つフィルムが必要です。
強度のあるNYや耐寒性のあるPETを使用することで、破袋を防ぐことができます。
衝撃による破損の解決策
運送中や保管中に冷凍食品を落とした、何かに衝突した、など何らかの強い衝撃がフィルムにかかると破損してしまいます。
このような場合、冷凍食品のフィルムの厚みを増すことで、耐衝撃性を高められます。
例えば、フィルムの構成を「NY#15//LLDPE#60」からより厚みのある「NY#25//LLDPE#80」に変更する、あるいは「NY#15//NY#15//LLDPE#80」のようにフィルムの構成を二重にするといった工夫ができます。万が一衝撃が加わった際にも破袋しにくい袋にするようにしましょう。
冷凍に対応したオススメの袋
冷凍食品は、ピンホールや衝撃、擦れ等で破袋する可能性がありますので、食品に合わせて選定することが重要です。そこで、破袋が起こりにくい袋をご紹介します。
ナイロンポリ 新Lタイプシリーズ
-40℃の冷凍食品包装から100℃・30分のボイル殺菌まで広く対応できます。
衝撃強度・突刺強度にも優れ、破袋を防ぐ作りになっています。
切れ目があり、開けやすいのも特徴です。
冷凍食品(餃子、たこ焼き、コロッケ)などにオススメです。
高機能五層 シグマチューブシリーズ
-40℃の冷凍食品包装から100℃・30分のボイル殺菌まで広く対応可能です。
透明性と光沢感に優れており、商品を美しく魅せることができます。
また、三方シールを取り除いている為、省コストで済みます。
低カールであるのも特徴です。
真空袋 VGタイプ
-40℃の冷凍食品包装から95℃・30分のボイル殺菌まで広く対応可能です。
ピンホールや衝撃、擦れにも強く、真空包装適正があります。
片面透明で背景のゴールドが高級感のある印象をつくります。
フィルムのことなら折兼まで
冷凍食品の包装には、輸送中や保管中のリスクや環境を考慮し、耐衝撃性や耐水性、密封性などの機能を持つフィルムを選ぶ必要があります。
現在使用している冷凍食品のフィルムで「積み重ねて保管していると封が開いているものがある」「内部の突き刺しや摩擦でピンホールができてしまう」などのお悩みをお持ちでしたら、折兼にご相談ください。
折兼では、紹介した冷凍食品のフィルム改善例以外にも、さまざまな改善方法のご提案が可能です。
冷凍食品の包装の破損が多く発生してしまう場合も、破損の状況や場面に応じたフィルムの材質構成や形状を提案いたします。
冷凍に適したフィルムの選び方と取り扱い方法のポイント
冷凍食品のメリットやフィルムに求められる機能性、冷凍食品のフィルムによくある問題の解決策をご紹介しました。食品を冷凍することで保存期間が長くなる、鮮度を保てるなどの多くのメリットがあります。
しかし、冷凍食品は管理や配送、陳列時などに何らかの原因でフィルムが破損し、異物混入や解凍など品質劣化や変形の原因となってしまう問題が発生する場合があります。
冷凍食品の変形や内部への異物混入を防ぎ、消費者へ安心安全な食品を届けるためには、冷凍食品のフィルム選びおよび適切な取り扱いが重要です。
提供する冷凍食品や取り扱い方法に適したフィルムを選ぶことで、輸送や保管時に発生する問題を解決することができます。