食品加工に関わる工程
食品のカットは、食品加工の「前処理」に含まれる重要な工程です。
原材料を所定の大きさや形状に切り分けることで食品の見た目や調理・加熱の時間を均一化させ、品質と味に一貫性を与えることを目的としています。
本記事では、食品のカットで使用する機械やカットの必要性、課題などについて詳しく解説します。
食品のカットをするスライサー
スライサーとは、肉類・魚類・野菜などの固形状の食材を薄切りや短冊切り、おろし、ダイス状などの形状に加工する機械のことです。スライサーを使用することで食品の形状が均一化されたり、かさが減ったりすることで、火の通りがよくなり味の浸透性が高まります。
スライサーには、食肉加工向け、魚加工向け、野菜加工向けなどがあります。
スライサーを選ぶ際は、対応している食品の種類やサイズ、原材料の厚さを調節する機能の有無、手入れのしやすさなどに注目しましょう。
食品のカットのメリットや必要性
この章では、消費者や事業者におけるカット済み食品を使用するメリットや、食品カットの必要性について解説します。
消費者のメリット
- 価格が安い
- 調理時間を短縮できる
- 使い切りやすい
消費者視点として、カット済み食品はカットしていないものと比べて価格が安い傾向があります。また、カット済み食品はそのまま食器に移し替えたり料理に使ったりできるため、調理時間を短縮できます。さらに、少量で売られていることが多いため、使い切りやすくロスが出る心配がほとんどありません。
事業者のメリット
- 下処理にかかる人件費を削減できる
- 効率的な作業が可能になり省力化が図れる
- 必要な分だけ仕入れるため、コストを削減できる
- 保管・作業スペースを削減できる
事業者視点としては、カット済み食品は下処理の手間が省けるため、調理時間の短縮によって人件費が削減できるとともに、お客様へ早く食事を提供できることもメリットとなります。
また、カット済み食品は必要な分だけ仕入れることができ、廃棄部分が出ないため、食品ロスやゴミの削減につながるのと、食品を保管しておくスペースも削減できます。
前述の通り、カット済み食品は、消費者・事業者問わず、様々なメリットがあります。
カット済み食品の需要の増加に伴い、業務用のスライサーやカッターなどを導入して大量の食材を効率的に加工したいと考える食品加工事業者の方も増えています。
食品のカットによる課題点
食品のカットにおける課題のひとつに、刃物による怪我が挙げられます。
特にスライサーは構造上、使用時に指先を削ぎ落としたり、切断したりするリスクがあります。
また、洗浄時にスライサーの刃を動かした際に指先を切ってしまうケースもあります。
スライサーによる怪我は、包丁による怪我と比べて重症で治癒が難しい傾向があるため、安全性を高めるための対策が必要です。
業務用のスライサーやカッターを選ぶ際は、スライス刃に安全性も考慮して選びましょう。
スライサー・ダイサー選定にあたって
スライサーは、その種類からメーカーまで多種多様です。
スライサー・ダイサーを選ぶ際は、次のポイントを押さえましょう。
- 処理能力はどれだけあれば十分か
スライサーのカットする方法で処理能力はほぼ決まります。
求める処理能力を明確にしておきます。 - 加工する原材料の種類や形状に適しているか
スライスする食材によってスライサーの仕様は大きく変わります。
野菜の中でも様々な硬さやカット方法がありますので食材が明確になっていることが重要です。 - 作業者を問わない安全性能か
スライスを行う機械であるため、刃物を使用します。
製品や異物を取り除くといった際に、労働災害の発生リスクは常にあります。
安全カバーなど必要な安全対策に注目して、機械選定を行うことが重要です。 - サニタリー性は容易か
スライスする食材は基本的に生ものが多いため、熱湯洗浄や除菌、殺菌可能な仕様であるかは確認が必要です。また、装置の分解が容易であるかもサニタリー性に大きく関わります。
スライサー・ダイサーの特徴を食材別で紹介
スライサー・ダイサーは、食肉や野菜など様々な食材・食品をカットできます。
この章では、食材別でスライサーの特徴について紹介します。
食肉加工用スライサー
チルド肉用、冷凍肉用、鶏肉用などがあります。
例えば、冷凍肉用は固い冷凍肉をスライスできます。冷凍肉をしっかりと押さえながら、強固な刃物とパワフルなモーターを使って均一にスライスします。
魚加工向けスライサー
シャケやブリ、タラなどを同じ大きさの切り身や刺身にカットします。その他にも、二枚おろしや三枚おろしにする機械などがあります。
野菜用スライサー
葉菜類から根菜類まで幅広い野菜の加工に対応しています。効率的に大量に野菜を加工できるため、食品加工工場や飲食店などで重宝されています。
その他、様々な形状のケーキを分割できるケーキカッターや、食パンを均等にスライスするパンスライサーなどもあります。
カットに用いる機械 ①スライサー
食品加工センターでは、食品に合わせてさまざまなカット方法が用いられています。
スライスの方法には、薄切りや厚切り、斜め切りなどがあります。
どのような切り方も可能な万能のスライサーは存在しません。
そのため、切り方や加工後の処理に応じて、適したスライサーを選ぶ必要があります。
例えば、厚切りや薄切りには定量スライサーや水平スライサーなどを使用します。
この章では、各食材に適したスライサーを取り扱っている主要メーカーと機械を紹介します。
食肉加工向けスライサー
株式会社なんつね
ヘルメスER NAS-330ER
プロセスセンター、大型スーパー等での大量生産に適しています。
スライサーは清掃のしにくさが課題となっていましたが、隅々の部品の取り外しがしやすい構造となっており、より衛生的に使用することができます。
ゼウス
丸刃に「はがし機構」を搭載することで、美しいスライスができます。
そのため、トレー盛付用の肉スライスに適しています。
ワタナベフーマック株式会社
ミニデラックス WMD-150
主にハム・ソーセージ・焼豚などといった加工品のスライスに適しています。
主に焼き肉店、ラーメン店などの飲食店で使用されることが多いタイプです。
また、外装は特殊アルマイト加工とステンレスを使用していることにより、サビや汚れが付きにくく衛生的であることが特徴です。
ギャラクシー WPN-G321
食品加工工場向けで生産効率重視を徹底して開発されたスライサーです。
また、スライスの厚みやスライス速度など、生産アイテムごとに推奨値が入力されているため、初心者の方でも質の良いスライスを行うことが可能です。
アサヒ産業株式会社
ミニマルチスライサー MK-Aタイプ
丸刃の多層刃のメーカーとして、操作性やメンテナンスの容易さなどに優れたミニマルチスライサーを取り扱っています。半解凍や冷凍をせずに、生のまま加工できます。
また、カバーを開けると自動停止する安全設計や狭い場所にも設置できるコンパクトなサイズなどが特徴です。
魚加工向けスライサー
吉泉産業株式会社
切り身定貫スライサー YS-3100X
主にスーパーのPCセンター向けに開発された機種です。
内部に付属されている高性能カメラにより、魚の断面積を瞬時に計算し、設定重量に揃えてカットすることができます。
また、刃物以外は工具なしで分解することができるため、清掃しやすい構造になっています。
野菜加工向けスライサー
株式会社ドリマックス
マルチスライサー DX-1000
惣菜等野菜を使用している食品工場で幅広く使用されており、キュウリやネギ、レモンなどの輪切りスライス、大根やニンジンの千切りなどを効率的に行うことができます。
また、作業台の上で使用可能なため、必要に応じて機械を動かすこともできます。
株式会社エムラ販売
デジスラ-シリーズ ECD-703
使いやすさと安全性を追求したデザインの食品加工工場向けのフードスライサーを取り扱っています。デジタル画面で簡単に操作できるほか、5種類までスライス方法を記憶させることができます。また、コンベアや口金、ロールなどを取り外して個別に徹底洗浄できるのもメリットです。
カットに用いる機械 ②ダイサー
スライサーは、一方通行で食品を流して一定方向からカットします。
それに対して、ダイサーはさいの目切やダイスカットが可能な機械です。
サイコロステーキ用の加工肉やカット野菜などの製造を検討されている方は、ダイサーがおすすめです。
この章では、ダイサーを取り扱っている主要メーカーと機械を紹介します。
株式会社エムラ販売
一度に大量の食品を効率的に処理できます。
刃物類を取り外して内部を簡単に洗浄できるため、メンテナンスが容易です。
さらに、安心設計で各種保護装置を搭載しているため、事故のリスクを軽減できます。
吉泉産業株式会社
ダイサー YS-8000
吉大型ドラムの3次元ダイサーは、大型ドラムと幅広の投入コンベアを採用しているため、1時間あたり最大1トンの加工が可能です。
各アタッチメントを交換するだけで、カット幅を変更できます。
また、投入口から手を伸ばしてもドラム内に手が届かないため、事故のリスクがほとんどありません。
スライサー・ダイサーの選定は折兼へお任せください
食材に適したスライサー・ダイサーを使用することで、作業効率、食品のクオリティが大きく向上します。また、作業者の負担を軽減してくれるなど、スライサーの導入は多くのメリットをもたらしてくれます。
折兼では、ヒアリングを行い、メーカーや機械の選定をいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。
スライサー・ダイサーは業務の効率化・均一化に最適
本記事ではスライサー・ダイサーの種類や用途、選定方法について解説しました。
スライサー・ダイサーを活用することで、作業時間の短縮、製品の均一化など、多くのメリットを受けることができます。
また、近年では安全性について特化された機種も多く販売されており、初心者の方でも扱いやすくなっています。
人手不足が深刻化しつつある今、これらに対応するためにも業務効率化や製造工程の見直しを行い、安心安全な生産現場を作り上げていきましょう。