
店舗照明とは
店舗照明とは、飲食店や物販店などの店舗で使用する照明で、上手に使うことで商品の魅力を高められ、売上アップにつながります。
一方で、どのような店舗照明を使えばよいのか悩む方も多いかと思います。
この記事では、店舗照明の基礎知識や、おすすめ理由、蛍光灯や白熱電球からLEDへ切り替える際のポイントなどについて詳しく解説します。
照明の基礎知識 用語
照明の基礎知識として、次の2つの用語がよく使われます。
- 光色
自然光に近い「昼白色」、さわやかな青みのある「昼光色」、黄色っぽい「電球色」など、光の色を指す言葉です。「K(ケルビン)」という単位で表されます。 - 演色性
光が物の色に与える影響のことです。光に照らされた物の見え方が、自然光に照らされたときと近いほど「演色性が高い」といいます。
食材に合わせた色味の照明

生鮮食料品の魅力を引き出したい場合は、食料品の色味を鮮やかに見せる生鮮食品専用のLED照明がおすすめです。
3500Kタイプは、野菜のフレッシュさや鮮魚の生き生きとしたツヤを引き立ててくれます。
2700Kタイプなら精肉の赤身や刺身の色味をより強調して美味しそうに見せてくれます。
高演色の2700Kタイプは温かみのある光であり、惣菜やパンのできたて感も演出できるでしょう。
照明器具の種類
店舗照明器具の種類は複数あり、付ける場所や魅せ方によって選択が変わります。
この章では、店舗で使える照明器具の種類をご紹介します。
ダウンライト

天井に埋め込んで設置する照明器具です。
天井をスッキリさせ、照明器具を目立たせたくない場合に使用します。
スポットライト

光を1箇所に集められる照明器具です。
目立たせたい商品やスペースをピンポイントで照らすのに適しています。
ブラケットライト

壁面に取り付けて店舗の雰囲気を演出する照明器具です。
店舗のイメージを向上し、高級感を演出するためによく使用されます。
ペンダントライト

天井から吊るす照明器具です。光の強さを調節して店舗の雰囲気を演出します。
デザインが豊富にあります。
シーリングライト

天井に貼り付ける照明器具です。
主にメイン照明として、店舗全体を均一に照らす目的で使われます。
LED照明を検討する際に押さえておきたい情報
蛍光灯が手に入らなくなる「照明の2020年問題」とは?
2020年は照明の分野で大きな転換点となる年で、経済産業省が提唱した「新成長戦略※1」と
「エネルギー基本計画※2」に基づき、蛍光灯器具や水銀灯の生産を終了し、LED照明や有機EL照明に切り替えることを目指しています。
これは、環境への配慮やエネルギー戦略、国際的な水銀規制である「水俣条約」の影響を受けたもので、水銀の利用削減と環境保護が背景にあります。
※1 サスティナブルな資本主義を確立すべく、2030年までに実現したい未来像を5つに分類し、策定したもの
※2 国や地域のエネルギー政策を方向付ける計画のことで、エネルギー供給、利用、環境への影響などを総合的に検討したもの
蛍光灯・白熱電球からLED照明へ変更するメリット
LED照明の最大のメリットは、寿命の長さです。
蛍光灯や白熱電球と比べてLED照明の寿命は非常に長く、一般的なLED照明でおよそ4万時間も持ちます。これは蛍光灯の寿命と比較して、ほぼ倍の数値です。
蛍光灯と同じく従来の照明として一般的な白熱電球も寿命が短く、1,000~2,000時間程度しか持ちません。そのため交換頻度が高くなる傾向にあります。
長寿命なLED照明に交換すれば、交換の頻度や手間が大幅に減少するでしょう。
LED照明へ切り替える際に押さえておきたい注意点
長寿命というメリットがある一方、LED照明はイニシャルコストが高い点に注意しましょう。
白熱電球が100円程度で手に入るのに対し、LED電球は1,000円以上かかる場合もあります。
しかし、LED電球の価格は徐々に下がってきてるので、手頃な価格で入手しやすくなっています。
店舗やオフィスの照明を入れ替える際の流れ
店舗やオフィスの照明をLEDに切り替える際の流れは次の通りです。
- 予算の相談と見積もりの取得
- 現場調査と設計
- 照明の色温度や配光の調整
- 電源と配線の確認
- 天井の改装の検討
- 施工と設置
- メンテナンスとアフターケア
これらは個人で完結するには、なかなかハードルが高いものです。
店舗やオフィスの照明に詳しい業者に相談しながら進めていくことが大切です。
LEDのメリット
ここからはLEDのメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。
省電力なので、電気代削減に繋がる
LED照明は省電力で、電気代を節約できます。
白熱電球からLEDに切り替えると電力消費が約9割も削減でき、蛍光灯からLEDに切り替える場合も約7.5割の電力削減が可能です。
年間で数万円~数十万円のコスト削減が見込めます。
長寿命なので、交換の手間やコストがかからない
LED照明は長寿命で、従来の白熱電球や蛍光灯に比べてはるかに長持ちします。
例えば、LEDは約4万時間も点灯が可能で、白熱電球や蛍光灯の寿命と比較すると数倍です。
交換の手間やコストを大幅に削減できます。
紫外線フリーなので、夜でも虫が集まらない
夜に虫が照明へ集まるのは、紫外線が関係しています。虫は波長の長い紫外線を頼りに飛行しますが、一般的な蛍光灯は微量な紫外線を出していることから虫が寄ってきてしまうのです。
LED照明は紫外線量が蛍光灯の約200分の1しかないため、虫が寄りづらく、夜でも虫が集まりにくいとされています。
発熱量が少ないので安全
LED照明は発熱量が少なく、37℃程度のため、手で直接触っても熱くありません。
この特性は、夏場に稼働させる空調の電力削減や、ショーケースの鮮度維持などにも役立ちます。
なお、一般的に蛍光灯は約70℃、白熱球やハロゲンランプは約350℃とされています。
応答速度が速いので、すぐに点灯する
LED照明は応答速度が非常に速く、スイッチをONにしてから点灯までのタイムラグがほとんどありません。そのため、すぐに明るくなります。
蛍光灯や白熱電球は点灯までに時間がかかり、特に古いものだと2〜3秒もかかることもあります。
様々な色味を表現できる
LED照明の素材は半導体材料であり、小型かつ軽量でデザインの自由度が高いことが特徴です。
狭いスペースや特殊な形状での照明設計が可能であり、空間演出の幅も広がるでしょう。
LEDは種類も豊富で、電球色から昼光色まで、幅広いカラーバリエーションがあります。
プラスチック製なので、衝撃に強い
LED照明はプラスチック製のため、振動や衝撃に強い特徴があります。
ガラス管がないため、大規模な地震などの自然災害時に照明器具が落下しても、割れて危険な破片が発生する心配がありません。
有害物質を使っていないので、環境に優しい
LED照明は素材に水銀、鉛、カドミウムなどの有害物質を含んでいません。廃棄処理も簡単であり、熱戦・紫外線といった有害光線の放出も少なく、人体にも安全とされています。
また、CO2の削減にも効果的です。
40型直管蛍光灯をLED照明に切り替えることで、約70%もCO2排出量を減らせます。
4万時間当たり、1096kgのCO2削減効果があるのです。
LEDのデメリット
次に、LEDのデメリットについて見ていきましょう。
イニシャルコスト(初期費用)が高い
LEDは材料の1つであるガリウムが高価な上に製造方法が特殊なため、イニシャルコストが高いことがデメリットです。
しかし、近年ではメーカーの努力によってコストが低下しつつあります。
このまま普及が進めば「需要と供給」の原理によってさらなる低価格化も期待できるでしょう。
光の照射角度が狭いので、広がりが少ない
LEDは光が直線的で、従来の照明と比較して光が広がりにくいとされてきました。
しかし、メーカーの努力によって、全般配光系や全方向タイプのLED製品が開発されるなど、少しずつ改善しつつあります。現在では最大で配光角が350度にまで向上した製品も出てきており、光量も改善されてきました。
熱に弱い
LED自体は発光による熱を持ちませんが、熱に弱い特性には注意しましょう。
LEDは赤外線をほとんど出さないため、発光部以外の熱をヒートシンクなどで放熱しなければなりません。不適切なヒートシンク設計や放熱不足は、LEDの電子回路を劣化させてしまいます。
メリットである寿命を短縮させる恐れがあるので、注意しましょう。
おすすめのLED照明の紹介

この章では、店舗照明に使えるおすすめの照明を2つご紹介します。
おすすめのLED照明①「ZenMiniシリーズ」

来店率・リピート率を高めるスタイリッシュな北欧デザイン。
世界的なブランドストアに選ばれ続ける北欧デザインのシルエットが、オフィスや店舗設計に洗練された統一感をもたらします。
- スタイリッシュなデザイン
筒端形状で設置場所が低い所でも、存在感をあまり出さないシルエットとなっています。 - 忠実な色表現ができる高演色性
お店の雰囲気は照明から作られていると言っても過言ではありません。
照らすものの忠実な色味を表現できます。 - 高効率
独自の反射リフレクターによってlm/Wが100を超える器具もある高効率照明。
同クラスのスポットライトより約1.5倍の明るさを実現しました。
スタイリッシュでハイパワー。
おすすめのLED照明②「Zylinderシリーズ」

北欧デザインの美しさあふれる一体成形ボディのミニマルなスポットです。
- 一体成形の可動ヘッド構造
照射方向を自由に調整でき、店舗やオフィスなど多様なシーンに対応。 - 上質な空間を実現する高演色性
高演色LEDの搭載により、店舗内装や商品、サインなどの本来の色合いを正確に再現します。
店舗備品グループの紹介
折兼では、お客様の売り場に関するお悩み解決をサポートする店舗備品グループがあります。
店舗備品グループでは、幅広いメーカーの売り場備品の中から、予算に応じたお客様のイメージ通りの売り場を提案することが可能です。
店頭の売り場はもちろん、在庫管理を行うバックヤードや工場、厨房備品の提案も得意としております。商品を魅力的・効果的に見せるほか、現場の作業効率化などの付加価値も実現できます。
多くの店舗装飾を手掛けた豊富な知識と経験で、食品を取り扱う多様な売り場作りに貢献します。
将来的にメリットが大きくなるのはLED照明
LED照明は、早めに切り替えて使用することで、コスト面のメリットがより大きくなります。
導入する際には、国や自治体が公募する補助金・助成金・税制優遇を受けられる場合があるため、積極的に確認してみましょう。
また、LED照明を店舗照明に利用することで、空間演出の幅も広がり、食品をより魅力的に見せることにもつながるでしょう。
蛍光灯とLEDの違いについて
蛍光灯 | LED | |
---|---|---|
寿命 | 約6,000~12,000時間 | 約40,000時間 |
コスト | 400~800円程度 | 400~2,000円程度 |
メリット | ・1個あたりのコストが低い ・広い範囲を明るく照らせる |
・寿命が長い ・消費電力が小さい ・コーナーに合わせて適切な色味の電球を選べる ・即時点灯する ・発熱量が少なく商品を傷めない |
デメリット | ・消費電力が大きい ・発熱量が大きい ・虫が寄る ・点灯に時間がかかる |
・1個あたりのコストが高い ・熱に弱い ・重量がある |