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ユニバーサルデザインとは?(前編)|視認性を高めるデザインの作り方を紹介

2025.07.25

ユニバーサルデザインの基本とは

ユニバーサルデザイン-アイコンイメージ

ユニバーサルデザインは「すべての人のためのデザイン」を指し、その名のとおり年齢や能力差、障がいの有無などに左右されず、できるだけ多くの人が使いやすいデザインする手法のことです。
 
本記事ではユニバーサルデザインの基本や重要性、ポイント、テクニックなどについて詳しく解説します。

ユニバーサルデザインの概念とは

車椅子とキッチンのイメージ

ユニバーサルデザインは、1980年代にアメリカのロナルド・メイスが提唱しました。
ユニバーサルデザインには、以下7つの原則があります。

公平性

スロープイメージ

誰もが公平に利用できる状態です。
例えば、公共の建物や交通機関の入口に段差のないスロープを設けることで、車椅子利用者やベビーカーを押す人など、あらゆる人が公平にアクセスできるようになります。

柔軟性

車椅子とテーブルイメージ

あらゆる人に応じた使い方が選択でき、多様なニーズに対応できるものです。
例えば、高低さまざまな設計の机やカウンターがあり、車椅子利用者や身長の異なる利用者が快適に利用できる工夫がなされているといったことです。

単純性

カード挿入イメージ

使い方が直感的に理解でき、簡単であることです。
例えば、操作が簡単でわかりやすいATMや自動販売機などは利用者が迷わずにサービスを利用できます。

わかりやすさ

観光案内所-看板イメージ

必要な情報が容易に理解でき、明確なサインや案内により利用者が迷わないものです。
例えば、標識や案内板が適切に配置され、視覚的にも理解しやすい環境が整備されていることを指します。

安全性

トイレのユニバーサルデザインイメージ

利用者に危険がなく、安心して利用できる状態です。
例えば、バリアフリーのトイレに手すりが備えられており、身体的な制約がある人でもトイレを安全に利用できるように配慮されているなどです。

省体力

自動ドアの押しボタン部分イメージ

無理な姿勢をとることなく、楽に利用できるものです。
例えば、自動ドアやエレベーター、エスカレーターの設置により、身体的な負担を軽減し、利用者が楽に移動できるようになります。
また、ドアの開閉時に軽い力で操作できる仕組みもこれに該当します。

スペース確保

車椅子使用者用駐車スペースのイメージ

利用するのに適切な広さと幅が確保されているものです。 例えば、身障者用駐車スペースやトイレは十分な広さが確保されており、利用者が安全に利用できます。

これらの原則に基づいてデザインされた環境や製品は、年齢や能力、障がいの有無などを問わず、快適に無理なく利用できます。

ユニバーサルデザインの重要性とは?

ユニバーサルデザイン-看板アイコンイメージ

ユニバーサルデザインは、さまざまな分野で重要視されています。

高齢化の影響で、小さな文字や複雑な構造の文字を読みづらい人が増えています。
これは、ユニバーサルデザインを適用したフォントの利用で解決できる可能性があります。
例えば、数字の「6」は下部の丸の部分と上部のすき間が狭いと、「8」に見えてしまいます。
ユニバーサルデザインのフォントは、すき間や文字の幅を工夫しているため、6と8の速やかな判別が可能です。

なお、ユニバーサルデザイン(UD)に対応したフォントには定義がありません。
メーカーのユニバーサルデザインに対する考え方が反映されています。
例えば、モリサワUD書体は文字の形状がわかりやすく読み取りやすい、読み間違えにくいといったことをコンセプトとしています。

また、ピクトグラムもユニバーサルデザインの1つです。
ピクトグラムは、視覚的に情報を伝えるデザインのことで、文字の読み書きができなくても意味を理解できます。

日本の生産年齢人口の減少を踏まえ、すべての人が能力を発揮しやすい環境や制度の整備が重要視されています。これは、働く意欲を高め、新たな雇用を生み出すためにも重要なことです。
AI技術の進化とともに利便性が高まる中で相手の視点に立つ意識が必要とされており、企業や自治体でもユニバーサルデザインを推進する人材育成プログラムを導入することころが増えています。

視認性を高めるデザインのポイント

レイアウトによる視線誘導イメージ

視認性は、「見やすさ・わかりやすさ」を指します。
どれだけおしゃれなデザインでも、視認性が悪ければ伝えたい事柄が伝わりません。
WEBデザインを例にすると、レイアウトや文字の配置、画像、フォントの種類・サイズ、ヘッダーやフッターの幅などが関係します。

視認性を高めるデザインのポイントは以下のとおりです。

  • 色を統一する
  • ボタンデザインを統一する
  • 一目で意味やコンセプトがわかるデザインにする
  • ユーザーの年代に合わせてデザインを変える
  • 伝えたい情報に基づいて目立たせる文字の配置を決める

申し込みボタンの色が統一されていなかったり、メニューの色やレイアウトがページごとに変わっていたりするWEBサイトは視認性が悪く、ユーザーにストレスを与えます。
その結果、ユーザーがページを閉じてしまい、機会損失につながりかねません。

視認性を高めるには、配色やボタンなどのルールを統一し、ユーザーが混乱しないようにすることが重要です。標識や看板においても、一目で意味やコンセプトなどがわかるデザインでなければなりません。

また、利用者の年代に合わせて視認性を考慮することも大切です。
例えば、視力が低下してきている年配のユーザーを対象とする場合は、見やすい色づかいやフォントサイズなどが求められます。

そのほか、情報を明確にし、それに基づいて目立たせるべき文字の配置を決めることも大切です。

視認性を高めるテクニック

配色を考えるデザインのイメージ

ユニバーサルデザインにおいて視認性を高めるためのテクニックは多岐にわたります。
まず、色覚多様性への対応が不可欠です。

例えば、信号の3色や警告色など、色に頼るデザインはC型色覚(虹色を7色で認識できる人)以外の人にとって認識しづらいことがあります。
感覚過敏を持つ人には、発色の強い色やコントラストが強すぎる色の組み合わせが刺激となり、不快感を引き起こす場合も考えられます。

プレゼンテーションや印刷技術の進化により、微妙な色の違いに頼ることが増えていますが、見え方の多様性に対応しない配色はユニバーサルデザインとは言えません。
情報を正確かつ平等に伝えるためには、配色に関するバリアフリー化が必要です。

また、文字をはっきりと見せるテクニックとして、シャドウをつける方法があります。
読みやすさを損なわずに洗練された印象を与えることができます。
文字に馴染む彩度の低い色のシャドウを配置し、透明度を調整して適度な浮き出し感を演出しましょう。

また、透過背景を設定すると、背景写真の主張を抑えつつ、文字を際立たせることが可能です。
透明度30〜50%の背景を配置し、写真の色味に調和するよう工夫しましょう。

アクセシビリティを意識したデザイン

アクセシビリティとは、「利用しやすさ」を指します。
ユニバーサルデザインを目指すうえで、アクセシビリティを追求することが重要です。
文字のコントラスト比は最低でも4.5:1以上確保し、文字の視認性を向上させましょう。
 
また、色付けや太字だけでなく複数の手法を使用して、重要な情報を際立たせます。さらにテキスト拡大時のデザインも考慮し、文字が重ならないようなレイアウトを構築しましょう。
 
音声読み上げソフトに対応するには正しく理解してもらえるよう情報の順序に注意が必要です。
動きのあるコンテンツではユーザーが自由に操作できる機能を導入し、ナビゲーションや機能に一貫性を持たせましょう。

ユニバーサルデザインは今後の生活で必須に

ユニバーサルデザインを追求することで、ユーザーが利用しやすい物や環境を実現できます。
誰もが公平に情報にアクセスすることが求められる現代では、ユニバーサルデザインであることが必須条件になりつつあります。
 
今回ご紹介したポイントを押さえてユニバーサルデザインに優れたプロダクトを制作しましょう。

ユニバーサルデザインの重要性を理解する

ユニバーサルデザインは、すべての人々に対して公平かつ包括的なアクセスを提供するデザインアプローチです。読みやすいフォント、すべての人が能力を発揮できる環境整備など、さまざまな場面で用いられています。

視認性を高めるデザインのポイントを押さえる

視認性向上のためには、WEBデザインにおいて色彩やボタンの統一、フォントの適切なサイズと配置が重要です。ユーザーが迷わず情報を理解できるよう、標識や看板なども一目で理解できるデザインを心がけましょう。

アクセシビリティを意識したデザインを心掛ける

最低でも4.5:1のコントラスト比や文字拡大時のレイアウト設計が必要です。
音声読み上げに対応するためにもリンク名や情報の順序に注意し、動きのあるコンテンツにはユーザーが操作できる機能を組み込みましょう。

デザインの評価と改善を欠かさず行う

視認性やアクセシビリティにフォーカスし、ユーザーフィードバックを積極的に取り入れつつ、デザインの品質向上を追求しましょう。

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