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解凍機とは?目的にあわせた解凍方法を紹介

2024.06.21

急速解凍機は何故必要なのか

急速凍結機が注目を浴びる中、せっかく高品質な凍結を行ったものの、適切な解凍方法でないために解凍が上手くいかず、食材の価値を発揮できていないケースが多くみられます。

これは解凍時に急激な温度変化が起きて食品の細胞が破壊され、酵素反応やタンパク質変性が引き起こされるためです。そのため、食品の色が変わる、ドリップが発生するなどの問題が生じます。
このような問題を防ぐため、調理現場では食材に合った温度帯で急速に解凍することが重要です。 
急速解凍機を使用すると、食品を素早く解凍し品質の低下を最小限に抑えられます。

本記事では、食品の解凍方法や急速解凍機の種類などについて詳しく解説します。

解凍方法の種類について

解凍方法の種類によって、メリットとデメリットが異なります。
それぞれの解凍方法の特徴について詳しく解説します。

自然解凍

冷凍枝豆イメージ

自然解凍は、食材や食品を室温でそのまま解凍する方法です。

加熱済みで、なおかつ常温保存でも短時間なら品質が劣化しない食品に適しています。
例えば、未開封のソースや調理済みの総菜、下処理済みの野菜などが該当します。
ただし、例外として塩辛やニンニク、ショウガなど未加熱製品でも自然解凍が推奨されているものもあります。

冷蔵解凍

鶏肉の解凍シーン

冷蔵解凍は、食材や食品を冷蔵庫内で時間をかけて解凍する方法です。

緩慢冷凍(一般的な家庭用、業務用冷凍庫での冷凍)の場合、食品の細胞が壊れている可能性が高いため、それ以上の品質劣化を防ぐために低温で解凍する冷蔵解凍が適しています。
肉類や魚介類といった生ものなどの食品の解凍に向いています。

流水解凍

えびの解凍イメージ

流水解凍は、食材をそのまま、または真空袋やポリ袋に入れ、水を浸すことにより短時間で解凍する方法です。大量の食品や大きな食品の解凍に適しています。
中でも、急速凍結された味付け済の肉や魚、製造過程でドリップ量を気にしない食材に適しています。

加熱解凍

ブロッコリー解凍イメージ

加熱解凍は、電子レンジや加熱調理をしたりしながら食材を解凍する手法です。

加工野菜は凍ったまま炒めたり煮たりすることで解凍と調理を同時に進められます。
調理済みの食品も蒸す、炒める、揚げるなどの手法で解凍します。
主に、あらかじめ調理された冷凍食品に適しており、効率的かつ手軽に調理が可能です。

それぞれの解凍方法のメリットとデメリット

各解凍方法のメリットとデメリットは次のとおりです。

自然解凍

メリット
・冷蔵庫での解凍と比較すると短時間で解凍できる
・すでに加熱調理された食品だと品質劣化の心配が少ない
・コストがかからない

デメリット
・適切な温度管理が行われないと食品の解凍中に微生物の繁殖や酵素の活性化が進み品質が劣化する可能性がある

冷蔵解凍

メリット
・ドリップが少なく、衛生的で品質を保ちやすい

デメリット
・他の方法よりも解凍に時間がかかる
・解凍機等機械の設備投資が必要

流水解凍

メリット
・短時間で解凍できる

デメリット
・解凍時にうまみや栄養が流出しやすい
・水道料金がかかる

加熱解凍

メリット
・解凍と調理を同時に行える

デメリット
・解凍ムラが生じやすい
・栄養が損失しやすい

解凍機を選ぶにあたって

この章では、解凍機を選ぶ際の選定方法と導入の注意点について紹介します。

選定時の4つのポイント

  1. 解凍する食材
    食材の特性に合った機械を選べば、品質の劣化や損失を最小限に抑えられます。
  2. 解凍する量
    分量に合わせた機械を選ぶことで、一度の運転で必要な量を解凍でき、生産性が向上します。
  3. ランニングコスト
    イニシャル(導入)コストとランニングコストを比較することで、最適な解凍機を選択できます。
  4. 半解凍か、完全解凍か
    解凍の最終着地点が半解凍か完全解凍かによって、解凍機のスペックや選ぶ機械が異なります。

解凍機導入の注意点

解凍機を導入する際は、次の2つのポイントを押さえましょう。

  1. 解凍機の温度や解凍状態などを具体的に定める
    解凍時間や温度、解凍の状態など調整内容が具体的に定められていない場合、原料のロット毎による解凍状態のバラつきが生じる恐れがあります。
  2. 適切な解凍方法を選ぶ
    解凍方法の選定を誤ると、食品の品質を低下させてしまう事態に陥るケースが多々あります。
    また、実際に解凍機を使用する人への教育も必要です。

各食材の推奨解凍方法(一例)

冷凍カニの箱詰め

食材、食品の性質によって適した解凍方法が異なります。
以下の推奨される解凍方法をもとに解凍機を選びましょう。
 
【推奨される解凍方法】

  • 肉類
    肉の表面と中心の温度差を最小限に抑えるため、業務用解凍機は蒸気や高電圧、高周波を利用したものが適しています。
    また、速さにこだわるのであれば流水解凍を、ドリップ量の抑制にこだわりたい場合は低温での業務用解凍機の使用が適しています。
  • 魚介類
    常温では品質劣化や雑菌繁殖が起こるため冷蔵解凍が推奨されます。
    さらにドリップ量や臭み、色味にこだわりたい場合は蒸気や高電圧、高周波を利用した業務用解凍庫が適しています。
    一方、解凍時間をより短縮させる場合、低温でのウォーターバブリング解凍が推奨されます。
    また、魚介類は海水等水分が多く付着しているため、雑菌の繁殖を防ぐためにも、低温下または、除菌効果が付帯した機械が推奨されます。
  • 麺類
    急速凍結をかけた冷凍麺は強めの熱で素早く加熱させることが重要なため、加熱解凍が推奨されます。解凍機では、主にマイクロ波を利用した解凍機が推奨されます。
  • 菓子類
    菓子は本来の食感を残しやすくするためにも、低温でゆっくり解凍することがポイントです。
    食材、使用材料により、適切な解凍方法、時間、温度帯を探し出す必要があり、冷蔵解凍と常温解凍を切り替えて解凍します。
  • 果物・青果類
    果物や青果類は完全解凍することが難しいため、半解凍状態として加工品での使用が推奨されます。食材に応じ、適切な解凍機を用いれば、食感や色味の維持など品質の劣化を抑えることができます。

急速解凍機の代表的なメーカー

急速解凍機には、次のような種類があります。

冷蔵解凍

高電圧を用いた解凍機

庫内に高電圧を発生させることで食材に通電し、食材の中心と表面の両方から解凍が進むため、厚みのある食品も均一に解凍できます。

DEPAK解凍機-ウォークインタイプ (株式会社サンテツ技研)
DEPAK解凍機-ウォークインタイプ

食品工場向けに独自開発した高電圧静電誘導発生装置DEPAK(デパック)と庫内温度のコントロールと食材に均一に風を当てる技術により、低温下で解凍を行います。
通常の冷蔵解凍と比較し、DEPAK解凍のメリットは以下の通りです。

  1. ドリップ発生を抑制し、歩留まりを向上
  2. 食材の変色や劣化を抑制
  3. 低温環境により菌の増殖を抑制

そのため、冷凍食材をムラなく高品質に解凍できます。

高電圧解凍機 WP-Z120 (ワタナベフードソリューション株式会社)
高電圧解凍機 WP-Z120

解凍スピードが速い場合に起こりやすいドリップ量の問題を解消したスピード解凍機です。独自開発のヒーターシステムによって原料へのダメージを最小限に抑えつつ、厚み4㎝、2kgの鶏塊肉を約4時間で解凍できます。加工しやすいマイナス温度に解凍するため、作業効率も向上します。

また、原料の厚みに関係なく、内部と外部の同時解凍が可能なうえに、表面温度と中心温度の温度差は1℃以内を実現できることも特徴です
さらに、高電圧電子エネルギーを水分子に与えることにより、食品からの蒸散を抑制させることが可能なため、食品の乾燥を防ぎ、水分を保ったままの状態を維持できます。

高周波解凍機

高周波解凍は、高周波の電波を駆使して食品を解凍する方法です。
メリットは、食品の奥深くまで電波が浸透し、内部を均一に解凍できる点にあります。
これにより、大きなブロック肉なども均一に解凍可能です。

高周波解凍機 テンパトロン (山本ビニター株式会社)
高周波解凍装置テンパトロン 小型バッチ式(TEMPERTRON-V)

マイクロ波とは異なり、数倍から10数倍という加熱深達性を持つ高周波を発生させることで冷凍品の内部に強い分子運動を生じさせ、内部から均一に解凍します。特徴は以下の通りです。

  1. 5分から30分とスピーディーに解凍できる
  2. 連続式によりライン化することで人件費を削減できる
  3. ダンボール箱や真空パックのまま解凍できる
  4. 解凍に水を一切使用しないため菌汚染の心配がなく、排水コストもかからない

低温高湿解凍機

低温高湿解凍は、水蒸気の熱エネルギーによって食品を解凍する手法です。
低温の蒸気を用いることで、鮮度を保ちながら迅速に解凍できます。
生鮮食品のように、品質がより重要視される食品の解凍に適しています。

解凍マイスター (フジ技研工業株式会社)

連結式:中型解凍機 FH-A1000

中型解凍機FH-A1000

部屋式:大型解凍機 FH-5Z

解凍マイスター 大型解凍機 FH-5Z

低温高湿ミストシステムによって、食材へのダメージを抑えながらムラなく均一に解凍できる解凍機です。食品の劣化とそれに伴うドリップの流出を抑えて、品質を維持します。

また、超高出力の紫外線殺菌ランプによって、細菌やウイルス、カビなどの対策やにおいの軽減もできます。連結式・部屋式ともに解凍した食材をそのまま保管するチルド庫としての利用も可能です。
 
設置スペースや予算などに応じて、連結式と部屋式を選ぶことができます。

流水解凍

ウォーターバブリング解凍機 WBD-30MTA1 (フクシマガリレイ株式会社)
WBD-30MTA1

ウォーターバブリング解凍機は、小売業や外食産業向けに開発されたもので、食材解凍時の細胞破壊や品質損失を最小限に抑えるほか、年中一定の水温下で解凍を行えることが特徴です。

対応できる重量は1~30kgで、重量に関係なく同一の時間・品質での解凍が可能です。解凍後も品質を維持するための鮮度保持運転機能を搭載しているため、時間経過による食品劣化を抑えることができます。
解凍する食材をパネルから選び、スタートボタンを押すだけのため、誰でも簡単に、同条件で解凍させることが可能です。

加熱解凍

マイクロウェーブ解凍器 NE-DF32 (パナソニック産機システムズ株式会社)
NE-DF32

パナソニック産機システムズ株式会社のマイクロウェーブ解凍器はセンサー制御で未解凍や過解凍をふせぐハイクオリティな解凍を実現。
また、オーダーに合わせてスピーディーにその場で解凍も可能なため、「チャンスロス」「廃棄ロス」削減に貢献します。
メニュー、重量を合わせるだけで誰でも簡単に解凍ができ、素材からデザートまで幅広いメニュー(33通り)をあらかじめ記憶しています。
開始温度やお好みの仕上がりにあわせて、5段階の仕上がり調整も可能です。
1800W業務用電子レンジとしても使用することができます。

急速解凍機の購入を検討するなら折兼へ

急速解凍においては食材ごとの特性を踏まえた解凍機の選定が必要です。
折兼では、急速解凍機を選定する際の重要な注意点を考慮し、適切な機械を導入できるようサポートいたします。
機械と設置箇所の寸法や、生産量に応じた最適な機種の選定も、折兼の専門チームにおまかせください。

解凍機は食品に合わせた解凍方法を選ぶ必要がある

方法 スピード 品質 代表的な食品例
自然解凍 品質が劣化しやすい 未開封のソースや調理済みの惣菜、下処理済みの野菜など
冷蔵解凍 品質を維持しやすい 肉や魚等の生もの、スポンジケーキなど
流水解凍 うまみや栄養が流出しやすい 肉や魚、ドリップの流出を気にしない食材(加工用途での食材)
加熱解凍 解凍ムラが生じやすい あらかじめ調理された食品(冷凍食品など)

解凍方法によって品質の劣化度が異なるため、食品に合わせた解凍方法を選ぶ必要があります。
今回紹介した解凍機は、冷蔵解凍と同様の温度下でより早く解凍も行えることから、スピードと品質をより高めることができます。

解凍機の選定においては食材との相性、解凍可能量、メンテナンス性等に注目し、複数の機械を比較検討することが大切です。

日々の業務効率化を図り、お客様により高品質な製品をお届けできるよう、最適な解凍機を選んでいきましょう!

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