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SDGsにつながる業務用生ごみ処理機の紹介

2024.11.08

世界・我が国の食品廃棄物の現状と背景

食品廃棄物イメージ

生ごみ処理機は、事業系食品ロスを中心とした環境問題に対応した製品です。
本記事では、生ごみ処理機の役割や種類、メリット・デメリットなどについて解説します。

まずは、世界と日本における食品廃棄物の現状と背景から詳しく見ていきましょう。

世界の廃棄量の現状について

WWF(世界自然保護基金)と英国の小売り大手のテスコが発表した「Driven to Waste」によると、世界の食品廃棄量は年間25億トンにもおよびます。
これは、生産した食品全体の40%相当で、食べるために生産したはずの食品の半分程度が廃棄されている状況です。
この発表により、世界が直面している食品廃棄の深刻な問題が浮き彫りになりました。

我が国の廃棄量の現状について

日本では、令和3年度の推計値で年間約523万トンの食品が廃棄されています。
この中で、事業によって発生した食品ロスは約279万トンと約半数を占めます。
そこで日本は、2030年まで事業系食品ロスを273万トンへ削減する目標を定めました。
 
廃棄量は少しずつ減少傾向ではあるものの、目標達成には継続的な努力が必要です。
食品廃棄削減の取り組みの一環として、「生ごみ処理機」の導入が進んでいます。
生ごみ処理機は廃棄物の発生源である事業者や飲食店、スーパーマーケットなどでの導入が進められており、これによって生ごみをリサイクルし、新たな資源としての活用が可能となります。

業務用生ごみ処理機とは?

業務用生ごみ処理機とは、生ごみを環境への影響が小さい、あるいは全くない成分や物質へと分解する機械のことです。
生ごみをその場で処理できるため、廃棄コストの削減や、環境負荷の軽減にも貢献できます。
次の章では、業務用生ごみ処理機の種類や選び方、メリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。

業務用生ごみ処理機の種類は大きく分けて3種類

業務用生ごみ処理機は、大きく分けると「バイオ式」「乾燥式」「炭化式」の3つです。
それぞれの特徴と代表的な製品について紹介します。

「バイオ式:消滅型」

微生物が水やガスで生ごみを分解し、ほとんど残渣を出さない方式です。
ただし、微生物の生育環境を整えて維持するためにメンテナンスが必要になります。仕組み上、品質に大きく関わるため、メンテナンスを欠かさないよう注意しましょう。

業務用生ごみ処理機SINKPIA-GJ-50 (SINKPIA・JAPAN株式会社)

業務用生ごみ処理機SINKPIA-GJ-50

コンパクトで室内設置が可能でありながら、大量の生ごみを処理できる業務用生ごみ処理機です。SINKPIAの処理方式は、微生物が生ごみを約24時間で液状に生分解するため、残渣を取り出す必要がありません。
また、新技術の導入により、脱臭機・排気ダクトが不要で室内設置が可能(換気扇は必要)となり、省スペースコンパクトかつ省電力設計により環境への配慮も実現しました。全国対応の充実したメンテナンス体制により、アフターフォローも万全です。

「バイオ式:堆肥型」

微生物が生ごみを分解し、その際に生成される堆肥は畑の肥料として再利用されます。
この方式は地域内で堆肥の再利用先を確保する必要があります。

生ごみ処理機-NGS-20C (シー・ティ・マシン株式会社)

生ごみ処理機-NGS-20C

白金のハニカム触媒と高温処理で異臭を発生させず、屋内でも安全に使用できる生ごみ処理機です。
バイオ式と乾燥式のメリットを組み合わせることで、約85%の減質量率を実現しています。
ヒーターで悪臭成分を水と炭酸ガスに分解し、クリーンな空気を排出するため、屋内でも安心して使用できます。お手入れは簡単で、メンテナンスコストが低い点も特長です。

「乾燥式」

温風や熱を使って生ごみから水分を蒸発させることで、生ごみの量を減らします。衛生的ですが、処理後に出る残渣が比較的多いため、適切な後処理が必要になります。

全自動乾燥式生ごみ処理機-パーフェクZシリーズPZ-50 (シー・エム・イー株式会社)

全自動乾燥式生ごみ処理機-パーフェクZシリーズPZ-50

全自動化により、生ごみの乾燥処理から残渣の排出まで短時間で対応できる生ごみ処理機です。
省エネでCO2排出量も削減できており、環境負荷の軽減にも貢献できます。
間接加熱することによる焦げを防ぐ二重構造や全自動運転中の乾燥残渣の自動排出、省スペースなど、多くのメリットがあります。
設置に制約がなく、手軽な操作と簡単なメンテナンスでストレスがありません。さらに、処理過程で生じる乾燥残渣は再生利用可能なため、環境にも優しい仕様となっています。

炭化式

生ゴミを高温で炭化させる高温炭化処理は、乾燥式に比べて減容率が高く、生成物は燃料や土壌改良材として有効利用が可能です。ただし、高い消費電力と燃料費、法的な規制への対応が必要で、現状では焼却炉とみなされることがデメリットとなっています。

生ごみ処理機の選定にあたって

生ごみ処理機は、導入目的に応じて選ぶことが大切です。選ぶ際の目安やチェックしたいポイントをご紹介します。

①処理方式

  • 「バイオ式:消滅型、堆肥型」
    消滅型は微生物により生ごみをほぼ残さず分解するため、手軽な処理が可能です。
    堆肥型は堆肥として再利用できますが、二次処理が必要で堆肥を処理する手間が生じる可能性があります。
    生ごみ処理の手間を大きくカットしたい場合は消滅型、より環境に配慮したい場合は堆肥型を選びましょう。
  • 「乾燥式」
    高温で処理し雑菌を不活性化できますが、手間やエネルギーコストが課題になりやすい方式です。
    手間やコストがかかっても衛生面を追求したい場合に選びましょう。
  • 「炭化式」
    生成される炭は燃料として有効利用でき、残渣は土壌改良材として再生可能です。
    環境への影響も減少し、温室効果ガスの排出を抑える利点があります。
    ただし、運用コストや法的な規制への対応が課題となり、慎重な導入が求められます。

②導入にあたり確認する項目

  • 「減容率」
    「減容率」とは、生ごみの容積をどれくらい削減できるかを示すものです。減容率が高いものは処理後の残渣が少なく手間を大幅に軽減できます。できるだけ手間を減らしたい場合は減容率を優先しましょう。
  • 「メンテナンス頻度」
    業務用生ごみ処理機を選ぶ際は、耐久年数を調べて検討しましょう。メンテナンスの頻度が低いほどコストや手間を節約できます。手間とコストを削減したい場合はメンテナンス頻度を優先しましょう。
  • 「導入実績」
    信頼できる製品かどうかを確認するために調べておきたい重要なポイントです。実績豊富なメーカーはトラブルにも迅速に対応し、安心して相談できます。トラブル事例に応じて改良が加えられているため、なるべくトラブルなく使いたい場合は導入実績を優先しましょう。

導入のメリット

業務用生ごみ処理機の導入には大きく分けて3つのメリットがあります。

  1. SDGs達成に貢献
    生ごみ処理機の導入により廃棄物のリサイクルをすることは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に直結し地球環境に大きく貢献できます。
  2. 衛生環境の改善
    生ごみ処理機は微生物による分解などを通じて、生ごみから発生する臭気や有害物質を大幅に削減します。これにより、周囲の衛生環境を改善し、快適な環境を実現できます。
  3. 処理コスト量の削減
    生ごみ処理機を効率的に利用して生ごみをリサイクルし、再利用可能な形に変えることで、廃棄物の処理コストを最小限に抑えられます。

また、「バイオ式:堆肥型」であれば食品残渣を堆肥として再利用できるため、飼料や肥料のコストを削減することも可能です。次に堆肥(コンポスト)について解説します。

生ごみを堆肥に変えるコンポストとは

生ごみを堆肥に変えるコンポストについて、その意味や生ごみ処理機との違いを解説します。

「コンポストとは」

コンポスト

コンポストとは、生ごみや葉っぱ、下水汚泥といった有機物を微生物の働きによってリサイクルする仕組みや容器のことを指します。
稲作が発達した当初から用いられていましたが、都市化と人口増加によって効率重視の農業が普及したことで行われなくなりました。2000年頃に市町村で再びコンポスト事業が始まり、日本各地に広がってきています。

生ごみ処理機とコンポストの違い

コンポストは、微生物の働きで生ごみを分解して肥料にします。
手間が掛かりにおいが発生しますが、減容率が高いのが特徴です。

コンポスト導入のメリット・デメリット

コンポストのメリットとデメリットは次のとおりです。

●メリット

  • 食品のごみをコンポストに入れることで、生ごみの量を減少させ、ごみ処理の回数や袋の使用を削減できる
  • 焼却による二酸化炭素排出の削減により、環境への負荷を軽減できる
  • 堆肥を再利用することで、持続可能な食の循環を実現できる

●デメリット

  • 堆肥の生成に手間と時間がかかる
  • 微生物が分解できない材料は使えない
  • 生ごみや水分が多い場合、虫や悪臭が発生する可能性がある

堆肥に変わるメカニズムについて

コンポストに生ごみを入れると、微生物が有機物を分解し、そのエネルギーで温度が変動します。四季ごとに異なる微生物が働き、速やかに堆肥化が進みます。 
自然のサイクルでは時間がかかりますが、コンポストを使えば効率的に堆肥化できます。

生ごみ処理機導入の注意点

生ごみ処理機の導入時は、以下3つの注意点をおさえましょう。

  1. 使いやすさ
    簡単で直感的な操作ができるかどうかを確認しましょう。
    マイコン制御や自動停止機能など、使い勝手を向上させる機能があるかも重要です。
  2. 品質
    製品の品質に注意を払いましょう。
    信頼性があり、長期間にわたり安定した動作が期待できる製品を選ぶことが重要です。
  3. 処理量
    処理したい生ごみの量に合った処理量を持つ機種を選ぶことが必要です。
    処理量が不足していると、処理作業が滞りやすくなります。

生ごみ処理機、コンポストなら折兼へ

生ごみ処理機は、処理方式や品質、コストなどさまざまな観点からベストな機器を選ぶことが大切です。生ごみ処理機の選定、設置個所の寸法、廃棄物処理量の調査などでお悩みの方は折兼にご相談ください。

折兼では、機械の知識に長けた専門チームがいます。
ヒアリングを行い、メーカーや機械の選定をいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

生ごみ処理機の比較まとめ

特徴 主なメーカー メリット デメリット
バイオ式:消滅型 生物が水やガスで生ごみを分解する SINKPIA・JAPAN株式会社 微生物による効率的な分解でほとんど残渣がない 品質を維持するためのメンテナンスが必須のため、より適切な管理が求められる
バイオ式:堆肥型 微生物が生ごみを分解する シー・ティ・マシン株式会社 微生物により生成される堆肥として畑で再利用できる 堆肥の再利用先の確保が必要になる
乾燥式 温風や熱を使って生ごみから水分を蒸発させる シー・エム・イー株式会社 衛生的で水分蒸発により生ごみの減容が実現できる 残渣が比較的多く、適切な後処理が必要になる
炭化式 高温で生ごみを炭化させる なし 減容率が高く、生成物は燃料や土壌改良材として再利用可能 消費電力が大きく燃料費が高い

生ごみ処理機の種類によってメリット・デメリットが異なります。
機械を比較し、用途や求めることなどを踏まえて選ぶことが大切です。
今回ご紹介した内容を参考に、使いやすさや品質、処理量なども確認したうえで、最適な生ごみ処理機を選びましょう。

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