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レジ袋有料化とは?開始時期や対応手順などについて解説

2020.07.15

レジ袋有料化とは?

現在、プラスチックが短期間で経済生活になじみ、私たちの生活を豊かにしてきましが、それと同時に資源や廃棄物の制約、海洋ごみ問題、地球温暖化などの問題が出てくるようになりました。
問題解決のひとつとして、プラスチック使用量を減らすためにレジ袋有料化が運用されるようになりました。レジ袋有料化とは、一部を除き取っ手の付いた持ち帰り袋が有料化になるという制度です。有料化にすることによりプラスチック製買い物袋(以降:レジ袋)の排出抑制をすすめていくことができます。
本記事はレジ袋有料化が運用される背景やレジ袋の制度の詳細について解説していきます。

レジ袋有料化が運用される背景

現在、プラスチックが短期間で経済生活になじみ、私たちの生活を豊かにしてきました。食品容器からレジ袋、携帯電話、車と幅広く使われ、私たちの生活とプラスチック製品は密接に関わっています。一方、それと同時に海洋プラスチックゴミの増加、地球温暖化、使い捨てプラスチック問題などの問題が大きくなってきています。
そこで解決につながるポイントとして3つのお話をしていきます。

海洋プラスチックゴミの増加

海洋プラスチックゴミ問題とは正しく処理されなかったプラスチックゴミが陸上から海へ全世界で年間800万トン以上も流れてしまい海洋環境に影響を与える問題のことです。このままでは海のプラスチックは2050年までに魚の量を上回るという驚くべき計算結果が出ています。海洋環境に特に影響を与えているのが、マイクロプラスチック(5mm以下の微細なプラスチックゴミ)です。
マイクロプラスチックを魚が食べ、その魚を人間を含む他の生物が食べることで吸着する化学物質が生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。
海洋プラスチック問題は今や全世界で解決すべき問題となっています。

SDGsによる目標

sdgs_logo

出典:国際連合広報センター

SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。「貧困をなくす」、「気候変動に具体的な対策を」、「産業と技術革新の基盤をつくる」といった17の項目と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。
2030年を年限とする全世界で広く取り組まれていて、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある実現を目指す取り組みです。
その中でも特に、レジ袋有料化に関わる目標を3つ紹介します。

13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう


すべて地球環境保護に対する目標です。
SDGsに取り組んでいることは企業アピールにもなります。

使い捨てプラスチックごみの問題

現在、日本では一人当たりのワンウェイの容器包装廃棄量が世界でアメリカについで2番目に多いと指摘されています。
日本はリサイクルの仕組みが世界の中でもしっかりできており、再利用もされていますが、多くの使い捨てプラスチックゴミは燃料として燃やしたり中国に資源として輸出されていました。
しかし最近ではアジアでの輸出規制が拡大しており、今まで通りの輸出ができず国内で処理しなければいけない廃プラスチックが増えたため、日本では2030年までに、ワンウェイのプラスチックをこれまでの努力も含めて累積で25%排出削減するように目標を策定しました。

レジ袋有料化の制度について

レジ袋有料化の制度とは、正しくは「レジ袋有料化義務化(無料配布の禁止)」のことです。この制度では小売事業者は商品の販売をするとき、消費者がその商品の持ち運びに用いるためのプラスチック製の買物袋を有料で提供することにより、プラスチック製の買物袋の排出の抑制を促進するものとし、2020年7月1日から全国で開始されました。
これは「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」で規定されている事項です。(容器包装リサイクル法関連法令)
ここでは、レジ袋有料化の開始時期、罰則規定、対象となる袋など、制度の細かい内容について具体例を挙げて説明していきます。

レジ袋有料化が始まるのはいつ?

レジ袋の有料は令和2年7月1日から全国一律で始まりました。ただし政府からは前倒しでの有料化を推奨しており、実際に一部コンビニエンスストアやスーパーマーケット、ドラッグストアでは前倒しで有料化が開始されました。

対象となる買い物袋

対象となる買い物袋は消費者が購入した商品を持ち運ぶために用いる、持ち手のついたプラスチック製の買物袋となります。しかし、有料化の対象外となる条件が3つあります。

  1. プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの
  2. 海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
  3. バイオマス素材の配合率が25%以上のもの

以上の3つの条件のいずれかを満たし、袋本体にその旨の表記をすることで、無料配布を行うことができます。

1.プラスチックフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの

繰り返し使用が可能であることから、プラスチック製買物袋の過剰な使用抑制につながります。無償配布するためには、フィルムの厚さが50マイクロメートル以上であり、繰り返し使用を推奨する旨の記載または記号の明記が必要となります。
しかし、こちらは従来のレジ袋と比べ10倍近くのコストがかかることからスーパーや飲食店で配布することは現実的では難しく、主にアパレルなど食品業界以外を対象とした例外項目といえます。

2.海洋性分解性プラスチックの配合率が100%のもの

微生物によって海洋で分解されるプラスチック製買物袋は、海洋プラスチックゴミ問題対策につながります。海洋生分解性プラスチックの配合率が100%であることが第三者により認定又は認証されたことを示す記載又は記号の明記が必要となります。
しかし、海洋生分解性プラスチック自体がまだ市場に普及しておらず、コストや量的に採用するのは難しいため、現時点では現実的ではない例外項目と言えます。

3.バイオマス素材の配合率が25%以上のもの

植物由来がCO₂総量を変えない素材であり、地球温暖化対策につながります。
バイオマス素材の配合率が25%以上であることが第三者により認定又は認証されたことを示す記載又は記号の明記が必要です。
スーパーや飲食店でレジ袋の無料配布を考えている場合、現時点ではコストや量的な面からもバイオマス素材の配合率25%以上のものを採用するのが現実的といえます。

PSバイオマスレジ袋

対象の事業者

レジ袋を扱う小売業のすべてが対象となります。他業種(製造業やサービス業)であっても、事業の一部として小売業を行っている場合は有料化の対象となります。

例)居酒屋で、テイクアウト弁当を販売する場合
例)製造事業者や卸売業者が、製品をショッピングモールや百貨店で販売する場合
例)美容サロンで、美容グッズを販売する場合 等

有料化の価格ルール

有料化の価格設定は各事業者が消費者のライフスタイル変革を促すという本制度の趣旨・目的を踏まえつつ、自ら設定することとされています。ただし、注意事項があります。

  1. レジ袋一枚当たりの価格が1円未満になるような価格設定は不可。
  2. レジ袋一枚ごとに価格設定が必要。複数枚のプラスチック製買物袋を提供する際に、一定枚数を有料で提供しつつ、その他の袋は無料で配布するという価格設定方法は不可。

尚、一般的な価格設定は一枚2~5円の場合が多いです。

自治体によっては提供禁止の場合も…

自治体によってはレジ袋の提供禁止の場合もあります。
実際、京都府亀岡市では令和3年1月から有償無償問わずレジ袋の提供自体が禁止となっています。

紙袋や生分解性(微生物によって分解される)袋も無償配布は禁止となり、令和3年6月1日からは、これらに違反した事業者が市の立ち入り調査や是正勧告に従わない場合、事業者名を公表することとしています。

亀岡市以外でも自治体によって個別で政策を施行する可能性があるため事前に確認しておくとよいでしょう。

罰則規定の有無

分別収集の対象となる容器包装(ガラスびん・PETボトル・紙製・段ボール・プラスチック製容器包装及びその他の容器包装)の合計量が50トンを超える容器包装多量使用事業者に対しては罰則規定があります。容器包装多量使用事業者はプラスチック製のレジ袋の排出抑制のための取り組みや実績を定期報告義務があり、そこで排出抑制の状況が著しく不十分と認められた場合に勧告・公表・命令を受けることになり、その上で命令に違反した場合は罰則の対象となります。

現状、上記以外の事業者に対しての罰則規則はありませんが、今後検査など実施される可能性もあるため、必ず有料化のルールを守るようにしましょう。

レジ袋削減における海外の事例

海外では日本にさきがけて、レジ袋の有料化や禁止の措置を実施しており、国によってもレジ袋の使用量に大きな違いがありますが、現在国際社会の中でレジ袋の廃止や制限が常識になりつつあります。特にプラスチックごみが及ぼす問題の深刻さにいち早く対処を行ってきた国々では、法整備が進み、民間での施策も多くみられます。
ここでは、海外の事例について紹介していきます。

イギリスの場合

イギリスではすでにレジ袋の有料化が導入されています。
ウェールズでは2011年、北アイルランドでは2013年、スコットランドでは2014年、イングランドでは2015年に施行されています。イギリスの7大スーパー(テスコ、ASDA、セインズベリー、ウエイトローズ、マークス&スペンサー、モリソンズ、Co-op)のプラスチックレジ袋の消費量は、2014年度の年間76億枚から2018年にはなんと86%も削減することができました。また、イギリスでは最近無人レジが多く導入されていて、レジ袋を手に入れるためには店員に声をかける必要がありレジ袋削減の要因になっているそうです。

フランスの場合

フランスでは2016年か7月から厚さ50マイクロメートル未満の使い捨てレジ袋の使用が禁止になっています。使用が許されているのは厚さ50マイクロメートル以上の頑丈で再使用可能な、その店のロゴが大きく入った大型ショッピングバッグまたは茶色の紙袋のみです。罰則も厳しく、違反した店には最高で罰金10万ユーロ(約1,200万円)が科せられます。フランスは日本よりもエコバッグが手軽に手に入る環境で、通販サイトでは、1枚あたり2ユーロ程度で販売されています。

アメリカの場合

アメリカでは全州共通の指針や法律は設けていませんが、130以上の市・郡でレジ袋禁止の法令が制定されています。実例を3つ紹介します。

ホールフーズ

アメリカチェーン店の「ホールフーズ」では2008年にシングルユース(短期間に一回しか使わないこと)のプラ製レジ袋の提供が停止となっています。

クローガー

全米最大手スーパーである「クローガー」では、2025年までに国内全店でシングルユースのプラ製レジ袋を廃止すると宣言しました。

ブリストル市

ロードアイランド州のブリストル市では、2020年1月より、スーパーやドラッグストアからシングルユースのプラ製レジ袋が消え、代わりにハンドルなしの紙袋が無料で提供されています。

中国の場合

中国では北京オリンピックを機に、25マイクロメートル未満のレジ袋については生産、販売、使用を一律に禁止しました。それに加えて北京や上海など大都市では、25マイクロメートル未満に限らず、スーパーで使われているすべてのレジ袋の使用を禁止することになっています。またレジ袋以外にも中国ではプラスチックストローの使用禁止、都市部での料理の出前に使われるプラスチック容器の使用を30%減らす政策が打ち出されています。

ドイツの場合

ドイツでは2016年7月に施行された「2018年までにプラスチック製袋の80%を有料化する」という法律が施行されています。また、2014年ベルリンでドイツ初の「包装ゼロ」のスーパーがオープンしました。包装ゼロのスーパーは好評を得て、国内外からの問い合わせも多く、現在では取扱商品数が当初の350点から750点に増えました。包装ゼロの量り売りをするシステムの店がドイツ各地に広まっています。このような対策の結果、ドイツでは大きな効果が出て2015年には年間プラスチック袋使用枚数が一人あたり68枚から、2017年には29枚と減らすことができました。

レジ袋有料化によるメリット・デメリット

レジ袋有料化によるメリット、デメリットは様々あります。
そのなかでも一般的な事例を紹介します。

メリット

  • 海洋汚染や地球温暖化問題などの環境汚染の抑制
  • 限られた石油資源の節約
  • 環境活動参加により企業のブランディング向上

デメリット

  • マイバッグの増加により万引きの危険性が高くなる。
  • マイバッグに入るだけの商品購入しかできなくなるため客単価が落ち込む可能性がある。
  • レジ袋がいるかいらないかの聞き取り作業が店員にとっての負担になる。
  • マイバッグやレジ袋を購入する必要があるため消費者の負担になる可能性がある。

バイオマス素材25%以上配合のレジ袋であれば、有料化の対象から外れるため、必要に応じて検討してみてください。

まとめ:環境に配慮した店舗運営を

レジ袋有料化の政策はレジ袋を有料化することによって、消費者にその袋が本当に必要であるかどうかを考えさせ、レジ袋の使用を抑えることが目的です。

世界各国でも同様の取り組みをすでに行っており、一定以上の成果を上げています。特にヨーロッパなどでは微生物の働きによって水と土に分解される生分解性レジ袋や紙袋などが主流になり環境への取り組みが進んでいます。

そういった流れの中、日本でもレジ袋の有料化がスタートしました。
今回説明してきたレジ袋有料化のルールをしっかりと理解したうえで対策を行い、環境に優しい店舗運営を行っていきましょう。

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