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食品の香りを維持させるフィルムとは|保香性について紹介

2024.07.19

食品の香りを保つ「保香性」について紹介

コーヒーや茶葉など香りが大きな魅力である食品を取り扱うにあたって、いかに包装内に香りを閉じ込めておくかは重要なポイントです。
中に入っている食品の香りを保つ性質のことを、包装フィルムの機能性で「保香性」と呼びます。
保香性の高いフィルムで包装するほど香りが外に逃げるのを防げるため、長い間、食品本来の豊かな香りを楽しめるようになります。

しかし、素材によって保香性は異なり、気体を通しにくいフィルムを使っているからといって、必ずしも保香性が高いとは限らないというのが難しいところです。

この記事では、香りが強い食品の例を紹介した上で、そうした食品に適したフィルムの種類や保香性のあるフィルムの実例を解説します。

香りが漏れやすい食品とは

コーヒー豆と茶葉

香りが強い食品の多くは、その香り自体が大きな魅力であることがほとんどです。
香りが強い食品=香りが漏れやすい食品ともいえ、長く香りを楽しめるよう包装に工夫が求められます。香りが漏れやすい食品としては、具体的には次のようなものが挙げられます。

コーヒー豆

香りが漏れやすい食品の代表格といえるのがコーヒーです。
コーヒー豆は生豆の状態だと青臭い香りがしますが、焙煎することでコーヒー特有の芳しい香りに変化します。

しかし、コーヒー豆の香りは揮発性であり、常に空気中に放出されています。
香気成分の種類によって失われるスピードは異なる為、時間が経つと『いい香り』ではなくなります。
加えて、コーヒー豆をミルで挽いた瞬間に香りが空気中に飛び散るので、粉状になるといっそう香りの失われるスピードが速くなります。

コーヒー本来の豊かな香りを長く楽しむには、保香性の高いフィルム使って包装することが重要です。豆を挽いて粉にした状態で販売するとなれば、なおさら保香性が求められるでしょう。

茶葉

茶葉もコーヒー豆と同様、香りが漏れやすい食品の一つです。
日本茶を淹れたときに感じる「お茶のいい香り」は、茶葉に含まれる数百種の香気成分によるものです。紅茶も香りを楽しむのがメインといっても過言ではありません。

茶葉に含まれる香気成分は、青葉のような香りを醸し出すものや海苔に似た香りを醸し出すもの、ジャスミンのような香りを醸し出すもの、香ばしさを感じさせるものまで色々あります。
いずれも時間が経過すると空気中に逃げてしまい、開封した直後の豊かな香りは時間の経過とともに失われてしまいます。
酸素に触れると茶葉が変質し、茶葉としては好ましくない香りに変化してしまうこともあり、保管方法には注意が必要です。

こうしたことから、茶葉も保香性を有するフィルムでの包装が求められます。

粉末調味料

粉末調味料も香りが外に漏れやすい食品です。
粉末調味料とは、醤油や味噌など通常は液体や固体で使用する調味料を粉末にしたものや、パウダー状になったドレッシングなどを指します。
粉末にすることで液体や個体に比べて保管しやすく、風味を長く保ちやすくなるため、近年さまざまな商品が発売されています。
 
粉末調味料の魅力を長い間保ち続けるには、豊かな香りや風味を容器内に閉じ込めておくことが欠かせません。
特に、調味料はストックして比較的長い期間にわたって使い続けるケースが多いため、保香性の高い包装でのパッケージングが求められるでしょう。

香りが強い食品に適しているフィルムとは

コーヒー豆などが入ったフィルム包装

前章で紹介したコーヒー豆・茶葉・粉末調味料のような、香りが強く逃げやすい食品の包装には、どのようなフィルムが適しているのでしょうか。
この章では、保香性をもつ「PETフィルム」「透明蒸着フィルム」「アルミ蒸着フィルム」「アルミ」の4種類を紹介します。

PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)

PETはポリエステルの一種で、ペットボトルの材料として広く知られる素材です。
高い保香性を誇り、コーヒーの包装などでよく用いられます。
日本茶や香辛料の香りに対しても高い保香性を持っていますが、オレンジの香りに対する保香性は高くありません。
加えて、耐熱性にも優れていることから、レトルト食品の包装にも使用されます。

ただし、PETフィルム単体ではガスバリア性がほぼなく、酸素や湿気が容器内に入るのを防ぐ効果は期待できません。
バリア性を持たせるには、このあと紹介する蒸着やコートなどの加工が必要になります。

透明蒸着

蒸着とは、真空状態の装置内部で特定の材料を加熱して蒸発させ、基板となる物質に薄い膜を作りだす加工技術のことです。工程で真空される装置を使うことから「真空蒸着」ともいいます。

蒸着加工では、気体分子となった材料が基板物質に安定して付着することが不可欠なため、ほかの気体分子に邪魔されない真空状態で加工が行われる必要があります。

ベースとなるフィルムの表面にアルミナ(酸化アルミ)やシリカ(酸化珪素)などの物質を蒸着したものが透明蒸着フィルムです。
ベースとなるのは基本的にPETフィルムが多いですが、OPP(延伸ポリプロピレン)、ONY(延伸ナイロン)など、ほかのフィルムをベースとする応用も進んできています。

透明蒸着の加工をすれば、PETフィルムにガスバリア性や防湿性を付加できます。
フィルムが透明で光を通し、なおかつ電子レンジで使えるのもメリットです。
金属を蒸着させているわけではないため、包装後に食品への異物混入を避けるために行われる金属探知にも対応できます。

アルミ蒸着フィルムと共通する点があるものの、環境配慮の観点では透明蒸着フィルムのほうが優れるといわれています。

アルミ蒸着

上で紹介したPET、OPP、ONYなどのフィルム表面に、真空状態で加熱・蒸発させて気化したアルミニウムを付着させたものがアルミ蒸着フィルムです。
アルミ箔をそのまま使用するのに比べてアルミの使用量を削減できるうえ、フィルムならではの柔軟性による曲げや変形にも強いのが特徴です。

表面にアルミニウム特有の金属光沢があり、紫外線や赤外線を通さない点が透明蒸着フィルムと大きく異なります。
キラキラとした光沢が見た目にも美しく、中身を見せたくないノベルティや菓子類の包装に使われることも多いフィルムです。

アルミ蒸着フィルムも保香性、ガスバリア性、防湿性に優れ、特にPETにアルミ蒸着を施したフィルムのバリア性が優秀です。
日本茶やスナック菓子の包装などに広く用いられています。
加えて、PP(ポリプロピレン)を材料にしたアルミ蒸着フィルムは、チャック付きの食品包装でもよく使われています。

アルミ

アルミ箔に包まれたバター

アルミ蒸着フィルムとは異なり、アルミ箔を紙やフィルムに貼りつけたものを食品包装に用いる場合もあります。
こうしたフィルムはアルミラミネートフィルムと呼ばれます。

アルミは数あるフィルム素材の中でもバリア性が高く、光や湿気、酸素などから食品を守ることができるのが特徴です。保香性もアルミ蒸着フィルム以上に優れています。
そこに別の性質をもった紙やフィルムを組み合わせることで、組み合わせた2つの物質それぞれの強みを発揮できます。

一方で、アルミは柔軟性に乏しく、形を変えにくいのが弱みです。
曲げたり変形したりする可能性が高い食品に関しては、アルミ蒸着フィルムのほうが向いています。

アルミ包装が使われている代表例としてバターの銀紙が挙げられます。
バターに用いられるのは、硫酸紙にアルミをコーティングした包装紙です。
酸素や光に弱いバターには、バリア性に優れたアルミを使った包装が最適なのです。

保香性のあるフィルムのご紹介

この章では、保香性に優れたフィルムを具体的にご紹介します。
PET蒸着・アルミ蒸着を用いた商品、アルミを使用した商品をそれぞれご紹介するので、包装したい食品の特徴に合うものがあれば、ぜひご検討ください。

PET・アルミ蒸着使用

明和産商 BJタイプ

明和産商 BJタイプはアルミ蒸着フィルムを使用した商品で、高い保香性とガスバリア性を誇ります。
防湿性にも優れており、中に入っている食品の水分を逃さず、容器外の水分を吸湿しない効果もあります。乾燥剤をあわせて使えば、さらに保存性をアップできます。

香りが外に漏れやすく、湿気に弱い、スナック菓子のような食品の包装に適しています。

アルミ使用

明和産業 CALHタイプ

明和産業 CALHタイプは内側にアルミを使用しているため、保香性に優れています。
アルミなので、ガスバリア性や遮光性、防湿性が高いことも特徴です。
香りが強く、光・水分・酸素で変質しやすい茶葉、コーヒー豆、ドライフルーツなどの食品の包装用にも適しています。
こちらも脱酸素剤を中に入れて併用することで、さらに保存性を高めることが可能です。
 
クラフト紙がナチュラルな雰囲気を演出してくれるため、オーガニックや手作り感を売りにしたい商品に使うとよいでしょう。

フィルムのことなら折兼まで

株式会社折兼では、今回紹介したPETフィルム、透明蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム・アルミなど、優れた保香性をもつフィルムを多く取り扱っています。
コーヒー豆や茶葉、スパイス類など、魅力的な香りをしっかり届けられるよう、知識豊富な折兼のスタッフが最適なフィルムを提案いたします。

また、折兼では、ほかにもさまざまな特性をもったフィルムを取り扱っており、販売する食品の特性に適したフィルムのご提案が可能です。大切な商品をより良く届けられるフィルムをお探しの方は、お気軽に折兼までご相談ください。

香りを維持するには保香性が大事

コーヒー豆、茶葉、粉末調味料など香りが魅力の一つである食品は、香りをいかに外へ逃さずに保存できるかが重要なポイントです。
長く香りを楽しめるようにするには、保香性の高いPETフィルムや透明蒸着フィルム、アルミ蒸着フィルム、アルミなどを使った資材で包装することが大切です。

加えて、フィルムによっては保香性以外にも、ガスバリア性、遮光性、防湿性など優れた性質をもつものがあります。
販売する食品の性質に適したフィルムを選べば、自慢の商品をより良い状態でお客様にお届けできるようになるでしょう。

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