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自主細菌(微生物)検査の内製化に取り組むメリットとスタートガイド

2025.05.02

食品衛生の確保は、食品製造業界における最重要課題の一つです。
特に近年、グローバル化の進展や消費者の衛生意識の高まりに伴い、製品の安全に関する信頼性がますます求められています。
その中で役割があらためて注目されているのが「微生物検査」です。
 
本記事では特に自社内で微生物検査を行う「検査の内製化」に焦点を当て、そのメリットや課題、さらに導入に向けた具体的な取り組み方法をご紹介します。

HACCP制度化が促す食品衛生管理の変革

HACCP制度化が促す食品衛生管理の変革

食品業界における衛生管理の意識が大きく変わるきっかけとなったのは、2020年6月に施行されたHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析重要管理点)制度化です。

日本国内の食品製造業者は、製造工程における危害要因を特定・分析し、それを管理する体制の構築が義務付けられました。これにより、食品製造現場では安全性を科学的に証明し、消費者に信頼を提供する取り組みが一段と強化されることとなりました。

農林水産省が行った調査では、HACCPを導入した食品事業者の61.9%が全工場または一部の製造ラインで衛生管理を実施していると回答しています。また、78.5%の事業者がその効果として「品質と安全性の向上」を挙げており、さらに従業員の意識向上にも寄与しているとの報告もあります。
HACCPの導入は単なる義務化に留まらず、製造現場の管理水準を一段と高める契機となっているのです。

微生物検査の必要性と外部委託の課題

微生物検査のようす

HACCPの導入により食品製造業者が取り組むべき衛生管理の一環として注目されるのが「微生物検査」です。微生物検査は製品や製造設備、環境に存在する微生物の存在を科学的に確認し、衛生安全性を担保するための不可欠な手段といえます。
 
現在、多くの食品製造事業者が外部検査機関に依頼することで微生物検査を実施しています。
しかし外部委託には以下のような課題があります。

1. 検査結果が戻るまでの時間がかかる

外部検査では検体を発送してから検査結果が手元に届くまでに5~10日程度かかることが一般的です。検査結果が出るまで改善活動ができず、生産活動や製品の出荷を止めざるを得ません。

2. 輸送中の検体劣化リスク

検体を外部に送付する際、輸送時の温度管理や時間経過による影響で劣化するリスクがあります。この結果、本来の製品状態に基づいた正確な検査結果が得られない可能性が生じます。

3. コストと手間がかかる

外部検査を繰り返すことで長期的に高い費用が発生するだけでなく、検体の発送準備や管理に多くの手間がかかる点も課題となります。

これらの課題を解決する方法として注目されるのが「検査の内製化」です。

自主検査(内製化)のメリット

自主検査(内製化)

自社内で微生物検査を行う「内製化」は外部委託の課題を解消し、食品製造現場の衛生管理をさらに強化するための効果的な手段です。
具体的なメリットとして、以下の点が挙げられます。

1. 迅速な対応が可能

自主検査を行うことで検体があれば即座に検査を開始し、結果を確認することができます。これによりリスクが発覚した際にタイムリーな対応が可能となり、製品の安全性を確保するスピードが向上します。

2. 検体の正確性を保証

自社内で検査を行うことで、検体の輸送中に発生する劣化リスクを防ぐことができます。製品や設備の本来の状態に基づいた検査結果を得ることで、より正確な衛生評価が可能となります。

3. 詳細な情報をその場で確認

自社検査では検査結果だけでなく、培地の状態や雑菌の状況など検査プロセスから得られる付随情報をその場で確認できます。これにより製造工程や環境における衛生課題をより綿密に把握し、改善策を講じることができます。

4. コスト削減

長期的に見れば外部検査にかかる費用を削減できるだけでなく、製品の出荷停止期間を短縮することでコスト効率を高めることも可能です。

自主検査を簡単に実現する「BACcT(バクット)」

BACcT

微生物検査の内製化には設備の導入や専門知識の必要性といったハードルがあると考えられがちです。しかし日本細菌検査株式会社が開発した食品衛生検査器「BACcT(バクット)」は、初心者でも簡単に導入できるソリューションとして多くの食品製造事業者から支持を得ています。

BACcT(バクット)の特長

1. 誰でも簡単に扱える操作性

BACcTは検査に必要な機材がセット化されており、検査の準備から結果確認までシンプルな手順で行えます。検査工程は検体の前処理を含めても20分程度で完了し、培養後は菌数を簡単な計算で算出できる手軽さが特長です。

2. 高精度な検査結果

BACcTは、際的な第三者認証を受けたフィルム培地を採用しています。この培地は食品衛生検査指針にも記載されており、信頼性の高い結果を提供します。大手食品メーカーでも採用されるなど、その精度と実績は確かなものです。

3. 省スペース設計

従来の検査機器に比べコンパクトな設計で事務机1つ分のスペースがあれば設置可能です。これにより小規模な工場や限られたスペースでの導入も容易です。

4. 低コストで導入可能

BACcTの導入費用は30万円から100万円程度で従来の公定法機器の1/5程度と大幅に削減されています。ランニングコストも低く抑えられるためコストパフォーマンスの高さが評価されています。

5. サポート体制の充実

日本細菌検査株式会社は導入時の勉強会や定期的な訪問サポートを提供し、初めての方でも安心して運用をスタートできる体制を整えています。
さらに専用の相談窓口を設け、運用中の疑問や課題にも迅速に対応しています。

自主検査の成功に向けたポイント

検査のようす

微生物検査の内製化を成功させるためには検査結果の信頼性を確保し、継続的に精度を向上させる取り組みが重要です。
その一環として検査技能の定期的な検証が推奨されます。
 
日本細菌検査株式会社が提供する「食品微生物検査技能試験」は検査データの妥当性を第三者視点で評価し、その結果を基に改善策を進めるための取り組みです。
この試験に定期的に参加することで検査員の技能向上を図り、検査データの信頼性を維持することができます。
 
また自主検査を効果的に運用するためには、検査対象や検査頻度を明確にする計画が必要です。
製造工程のどの段階でどのような種類の微生物検査を実施するのか、またどの程度の頻度で検査を行うのかを事前に決定することで、効率的な衛生管理を実現できます。
 
さらに検査結果に基づいた適切な対応も重要です。基準値を超えた場合はその原因を究明し、再発防止策を講じる必要があります。
必要に応じて製造工程の見直しや衛生教育の実施など、具体的な対策を迅速に実行することが重要です。

BACcTを活用した衛生管理事例

BACcTを活用した衛生管理

実際にBACcTを導入した企業では、以下のような効果が報告されています。 

迅速な対応による顧客満足度の向上

導入前はクレームが発生した場合は外部検査機関に依頼していましたが、検査結果が出るまでに時間がかかり、顧客からの問い合わせに迅速に対応できないケースがありました。
BACcT導入後は顧客からのクレームに即座に対応できるようになり、顧客満足度の向上にもつながっています。

検査データに基づいた品質改善

検査結果を製造工程にフィードバックすることで、製品の品質改善に役立てています。
例えば特定の工程で菌数が増加する傾向が明らかになった場合、その工程の衛生管理方法を見直すことで、製品の安全性を向上させることができます。

従業員の衛生意識の向上

検査を自社内で行うことで従業員の衛生管理に対する意識が向上しました。
検査結果を共有することで従業員一人ひとりが衛生管理の重要性を再認識し、日々の業務における衛生管理の徹底につながっています。

食品衛生管理の未来を創造する

HACCPの完全義務化を目前に控え食品衛生管理の重要性はますます高まっています。
微生物検査の内製化は、食品製造事業者が安全で高品質な製品を提供し、消費者からの信頼を獲得するための重要な取り組みです。

BACcTはその取り組みをサポートする強力なツールとなります。
簡単な操作性、高精度な検査結果、そして充実したサポート体制により、誰でも簡単に微生物検査を始めることができます。
まずはデモンストレーションを通じてBACcTの使いやすさや効果を実感してみてください。

食品衛生に関するお問い合わせやBACcTの導入に関するご相談はこちらまでお気軽にお問い合わせください。

微生物検査に関するQ&A

質問とその回答

自主検査の導入を検討している方からよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。

Q1. 微生物検査は難しそうで、専門知識がないとできないのでは?

A1. BACcTは専門知識がなくても簡単に操作できるよう設計されています。
検査に必要な機材はすべてセットになっており、マニュアルに沿って操作すれば誰でも簡単に検査を行うことができます。
また導入後のサポート体制も充実しており、操作方法や微生物検査の基礎知識についても丁寧に指導いたしますのでご安心ください。

Q2. 検査に必要なスペースはどのくらい?

A2. BACcTはコンパクトな設計で事務机1つ分のスペースがあれば設置可能です。
大掛かりな設備投資や専用検査室の設置は不要です。

Q3. 導入費用はどのくらいかかる?

A3. BACcTの導入費用は30万円から100万円程度です。
従来の公定法検査機器と比較して大幅にコストを抑えることができます。

Q4. どのような種類の微生物検査ができる?

A4. BACcTでは一般生菌数、大腸菌群、黄色ブドウ球菌など、食品衛生上重要な指標となる様々な微生物の検査が可能です。
またふき取り検査や落下菌検査など製造環境の衛生状態を評価するための検査にも活用できます。

Q5. 検査結果の信頼性は?

A5. BACcTは国際的な第三者認証を受けた高精度なフィルム培地を採用しており、信頼性の高い検査結果を提供します。
また定期的な技能試験への参加を推奨しており検査データの精度管理を徹底することで、信頼性をさらに高めることができます。
 

正確な衛生管理を実現するために

食品の安全・安心は、食品製造に携わるすべての人の使命です。
微生物検査はその使命を果たすための重要なツールです。
BACcTを導入し自主検査を始めることでより迅速で正確な衛生管理を実現できます。
自社内において食品衛生体制構築し、消費者の信頼を勝ち取り、食品業界の未来をより明るいものにしていきましょう。
 

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