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飲食店で食中毒が発生する原因と対策と動画によるHACCPの導入まで解説

2020.07.30

飲食店経営において食中毒の発生有無はお客様からの信頼に繋がる

飲食店を運営する上で、避けて通れないのが食中毒対策です。実際に、食中毒事故の約60%は飲食店で発生しています。

一度でも食中毒事故を起こしてしまえば、営業停止処分や、最悪の場合、営業許可取り消しの可能性もあります。また、食中毒事故によってお客様からの信頼を無くしてしまうと、落ちた信頼を取り戻すのは難しいです。食中毒対策をすれば、食中毒のリスクを減らせるだけでなく、万が一事故が起きてしまった場合も、店舗として対策を講じていたと主張ができます。必ず食中毒対策を行い、防止に努めましょう。

飲食店で食中毒が発生しやすい7つのタイミング

飲食店における食中毒は、「食中毒菌」と「ウイルス」が原因になることが多いです。食中毒菌による食中毒は、菌が食品に「付着」し、「増殖」することによって起こります。一方、ウイルスは食品中で増殖することは無く、一定数「付着」することで起こります。そのため、食中毒予防の三原則(菌を「つけない」「増やさない」「なくす」)が守られなかったときに、事故は起こります。
具体的に食中毒が発生しやすいタイミングとしては、以下の7つがあります。

  • 原材料の受け入れ時
  • 冷蔵庫、冷凍庫の温度が適切でない
  • 保管や調理の仕方が適切でない
  • 器具の洗浄が不十分
  • トイレの汚染からの感染
  • 体調不良者が調理に従事する
  • 手洗いが不十分

タイミング1|原材料の受け入れ時

飲食店では、ほとんど毎日食材の受け入れがあり、取り扱う食材の種類も多いので、たくさんの業者が出入りします。そのため、ひとつひとつの納品にしっかりと立ち合うのが難しくなりがちです。しかし、どれだけ店内での食中毒対策を徹底しても、原材料が汚染されていると、食中毒事故が起こるリスクが非常に高まります。また、受け入れが長時間に及ぶと、そのあいだ原材料は常温に置かれるため、菌が増殖するおそれもあります。原材料の受け入れは、食材の状態や使用期限などの確認を確実に行い、すぐに冷凍・冷蔵保管するようにしましょう。

タイミング2|冷蔵庫・冷凍庫の温度が適切でない

食中毒菌は20℃~50℃の温度帯で活発に増殖するため、食材を常温にさらしておくのは大変に危険です。食材の温度管理は食中毒予防の三原則である、菌を「増やさない」の最重要項目になります。食材によって適した保存温度があるので、必ず指定温度に従って保管をしてください。適正温度を外れると、たとえ冷蔵・冷凍保管していても、菌の増殖や品質の劣化に繋がります。

また、食材を保管するすべての冷蔵庫、冷凍庫は温度の記録が必須になるので、温度を記録する時間、頻度を決めておき、必ず記録もしましょう。そうすることで、機器に異常が起きた際には早めに気付き、食材の温度上昇を未然に防ぐことができます。庫内温度が基準を外れていた場合は、中の食材をどのように処理するかもあらかじめ決めておきましょう。

タイミング3|保管や調理の仕方が適切でない

食中毒予防の三原則は菌を「つけない」「増やさない」「なくす」ですが、食材の保管や調理は三原則のすべてに関わります。食材の保管、調理を行う際は、特に場所・温度・時間に注意しましょう。

場所に注意(つけない)

食材を保管する際、同じ冷蔵庫内の上段に生肉、下段に野菜を入れると、生肉から出るドリップ(赤い血のような液体)が下の野菜に落ち、野菜が汚染されてしまうことがあります。汚染された場合、サラダ用の野菜は加熱工程がないため食中毒のリスクが大幅に高まります。生肉は下段へ、加熱工程のない食材は上段で保管しましょう。同様に、加熱前(殺菌前)の食材を上段に、加熱後(殺菌後)の食材を下段に保管することも危険です。また調理中も、生肉の調理に用いた器具には食中毒菌が付着している可能性が非常に高いので、その器具を他の食材に使用すると汚染を広げるおそれがあります。必ず使用する調理器具を分けるようにしましょう。

温度に注意(増やさない・なくす)

食中毒菌は20℃~50℃で増殖が活発になるため、食材の保管、調理時にこの温度帯を外すことが重要です。
加熱工程では、O157対策は食材の中心温度で75℃1分加熱、ノロウイルス対策は90℃90秒加熱をし、確実に殺菌しましょう。毎年発生するするカンピロバクターによる食中毒事故は、鶏肉の加熱不足が主な原因です。また、加熱した食材を冷却する際、常温で冷却すると食中毒菌は爆発的に増えます。冷却機を使用したり、清潔な場所で調理品を小分けするなどの工夫をして、30分以内に中心温度を20℃付近(または、60分以内に中心温度10℃付近)まで下げるようにしましょう。

時間に注意(増やさない)

加熱工程、冷却工程では、温度と合わせて時間も管理しましょう。

加熱工程
75℃1分加熱(O157対策)、90℃90秒加熱(ノロウイルス対策)

冷却工程
30分以内に中心温度を20℃付近、または、60分以内に中心温度10℃付近

作業時間が長くなるほど食中毒のリスクは高まるので、食材を冷蔵庫・冷凍庫から取り出したあとは、速やかに調理、提供をしましょう。特に、テイクアウト・デリバリーを始めた事業所に関しては調理から喫食までの時間が普段より長くなるので、より時間と温度の意識をしましょう。

タイミング4|器具の洗浄が不十分

器具の洗浄が不十分だと、器具についていた菌やウイルスが食材に移り、食中毒事故に繋がるおそれがあります。器具の洗浄マニュアルを作成し、常に清潔な器具を使うようにしましょう。また、生肉を切った後の包丁でサラダ用の野菜を切るといった行動も大変危険です。包丁、まな板などの器具は、用途や食材別(魚介類用、生肉用、野菜用、加熱調理済み食品用など)に専用のものを用意し、混同しないようにしましょう。

器具に傷が付いていると、洗浄しても汚れが残ることがあります。傷を直すことは難しいため、新しい器具に買い替えるといった定期的な「リセット」も必要です。同様に、洗浄器具も定期的に取り替えましょう。

タイミング5|トイレの汚染などによる感染

ノロウイルスは感染者の糞便、嘔吐物に非常に多く含まれまれるので、ノロウイルスによる食中毒事故のほとんどが、トイレ後の手洗い不足が原因です。用便後は、想像以上の範囲まで汚染が広がります。

出典;長野県北信保険福祉事務所

出典:長野県北信保険福祉事務所

写真のような範囲まで洗えるような手洗いを実施しましょう。また、トイレ掃除を行うときは、手すりなどの汚染度の低い場所から始め、便器のような汚染度の高い場所の順に行うのがポイントです。反対の順で実施すると、逆に汚染を拡げてしまうおそれがあります。

ノロウイルスの特徴

ノロウイルスによる食中毒は、感染者の糞便、嘔吐物から排出されたノロウイルスを口から取り込むことで発生します。そのため、トイレが最もノロウイルスが潜んでいる可能性が高く、感染者がトイレで用便した際、手洗いが不十分だと、調理場にノロウイルスを持ち込んでしまいます。

ノロウイルスは感染力が高く、ウイルスを数個取り込んだだけでも感染してしまう場合があります。しかも、ノロウイルスはアルコールでは効果が低く、次亜塩素酸ナトリウムなどの特定の薬剤か、90℃90秒加熱をしなくては除去できません。ただし、食材に付着しても増殖することはありません。
そのため、食中毒予防の三原則のうち、「つけない」を徹底する必要があります。また、ノロウイルスは一定の割合(※100人に1~2人程度と言われています)で、感染しても症状の発生しない、「不顕性感染者」が存在します。

全員が「ノロウイルスにかかっているかもしれない」という気持ちで手洗いを実施しましょう。

タイミング6|体調不良者が調理に従事する

体調不良者が触れたところは全て汚染源となり、食中毒のリスクが急激に高まるので、体調不良者が調理場内に入ることは絶対に禁止してください。実際に、体調不良を隠して調理作業に従事したことが原因で起きた食中毒事故も多数あります。
また、手に傷がある人も黄色ブドウ球菌によるおそれがあるため、調理作業に従事させないでください。出社時に下痢・嘔吐・発熱の症状はないか、手に化膿した傷はないかなど確認を行い汚染リスクを低減しましょう。
その他に、身だしなみが乱れている場合も食中毒や異物混入クレームのおそれがあります。汚れは菌のエサです。汚い調理服は菌の温床となりますので、常に清潔な身だしなみを心がけましょう。

タイミング7|手洗いが不十分

手洗い不足が原因の食中毒事故は非常に多いです。
食中毒菌やウイルスは、食材にもともと存在しているか、人の手を介して付着する場合が多いです。手洗いをしっかり行うだけで、食中毒リスクは格段に下がります。調理開始前やトイレの後、生肉を触った後などは確実に「衛生的手洗い」を行い、菌を「つけない」ようにしましょう。また、手洗いの大切さや正しい手洗い方法などを定期的に従業員に教育し、全員がもれなく行える環境を整えましょう。

飲食店で食中毒を起こさないための対策

食中毒予防の三原則は菌を「つけない」「増やさない」「なくす」です。

まずは、食品に食中毒菌を「つけない」。
そもそも食材が汚染されなければ、食中毒は発生しないので、菌を「つけない」ことが一番大切です。また、最初から食材に存在する菌、付着してしまった菌は、「増やさない」ようにしましょう。特に、生食用の食材は加熱による殺菌工程がないため、「増やさない」ことが防衛線です。そして、加熱により菌を「なくす」。食品の中心まで火が通るようにして、確実に菌を除去しましょう。この三原則を徹底することで、食中毒のリスクは大幅に減らせます。

対策1|調理器具や手指から食品に菌を付着させない

食中毒予防の三原則、菌を「つけない」に当たります。食中毒事故の多くは、手指や調理器具、他の汚染された食品から菌、ウイルスが付着して発生するので、その入り口を押さえることは非常に重要です。手洗い方法や調理器具の洗浄・消毒方法、食材の取扱い方を従業員に周知徹底させ、菌を「つけない」ようにしましょう。特に、ノロウイルスは食材に付着すると、除去するには次亜塩素酸ナトリウムの使用や90℃90秒加熱が必要です。食中毒菌に比べて除去が難しいため、「つけない」ことを徹底しましょう。

手洗いで手指からの汚染を防ぐ

手指からの汚染を防ぐには、衛生的な手洗いが最も効果的です。調理の前やトイレの後などは、図のような衛生的な手洗いを心がけましょう。

手洗い手順

調理器具の洗浄

調理器具は、生肉などに潜む菌の汚染源になりやすいです。調理器具は用途や食材別(魚介類用、生肉用、野菜用、加熱調理済み食品用、生食野菜用、生食魚介類用など)で専用のものを用意しましょう。
また、洗浄不足により、器具表面に菌や汚れが残っていると、器具表面で菌が増殖する恐れがあります。使用前には洗浄、使用後も洗浄、可能ならば消毒も行いましょう。
調理器具の洗浄・消毒については、マニュアルを作成することをお勧めします。

包丁の洗浄消毒

使用する洗剤も、中性洗剤(通常の汚れ)やアルカリ洗浄剤(ひどい油汚れ)、次亜塩素酸ナトリウム(消毒)など、目的に応じて使い分けましょう。スポンジやブラシも、劣化したものは洗浄効果が下がるので、定期的に交換しましょう。

食材の保管場所

食材を管理する時は、生肉や加熱前食品は下の方に、生食用食材や調理済み食品は上の方に保管すると、二次汚染のリスクが減ります。

できるだけ蓋つきの容器で保管し、他の食材と触れ合わないようにするのもポイントです。

対策2|適切な温度管理によって増殖させない

食中毒予防の三原則、菌を「増やさない」に当たります。食中毒菌は、20℃~50℃の温度帯で増殖し、特に30℃付近で急速に増殖します。

菌の温度帯別増殖速度の図

食材を冷蔵庫、冷凍庫で保管する時は、毎日時間を決めて温度の記録を取り、基準から逸脱しいないようにしましょう。
加熱後の食材を冷やすときは、冷却装置を使ったり、容器に小分けするなどして、30分以内に中心温度を20℃付近(または、60分以内に中心温度10℃付近)まで下げましょう。常温冷却は厳禁です。同様に、冷凍食品を回答する際も、常温解凍せず、冷蔵庫内で解凍させましょう。

毒素による食中毒事故

また、菌によっては増殖する際に毒素を作る種類も存在します。毒素は加熱ではなくならないため、加熱工程で菌は死滅しても毒素が残り、食中毒事故が起こるおそれがあります。2000年に発生した雪印集団食中毒事件は、毒素を作る黄色ブドウ球菌が原因の食中毒事故です。毒素による食中毒は温度管理でしか防ぐことができないので、確実に温度管理を実施しましょう。

加熱しても生き残る芽胞菌(ガホウキン)に注意

食中毒の中には、通常の加熱では死なない芽胞菌が存在します。芽胞菌の仲間であるウェルシュ菌がカレーの中で生き残り、食中毒事故が発生した事例もあります。カレーやシチューなどの煮込み料理にはウェルシュ菌が、チャーハンなどの米料理にはセレウス菌がいるおそれがあります。調理後はすぐに提供するか、速やかに冷却しましょう。

テイクアウト・デリバリーの温度管理

テイクアウトやデリバリーを行う場合は、店内で食事を提供するよりも喫食までの時間が長くなることが多く、特に温度管理に気をつけなくてはいけません。20℃~50℃の温度帯を少しでも外すように、調理時間を少しでも短くしたり、冷たいものと温かいものを同梱しないなどの工夫を施しましょう。

対策3|加熱処理をきちんと行う

食中毒予防の三原則、菌を「なくす」に当たります。食中毒菌を死滅させるには、中心温度で75℃1分加熱が必要です。(ノロウイルスを死滅させる場合は90℃90秒加熱)

全商品の中心温度を測るのは難しい為、火の強さや時間、肉汁、見た目などの基準をあらかじめ決めておきましょう。また、加熱は菌を取り除ける最後のとりでなので、加熱後の商品に菌を再度つけないように管理をしましょう。

リスク回避のため鶏肉料理などの生食提供を避けることも必要

鶏肉の生食や、加熱不足が原因で、カンピロバクターによる食中毒事故が毎年発生しています。リスク回避のため、食中毒の起こりやすい夏場や、喫食までの時間が長いテイクアウトでは、生・半生の鶏肉の提供を無くすことも選択肢の一つです。

飲食店こそ注目!2020年6月から義務化される「HACCP」とは?

2018年6月に食品衛生法が改正され、2020年6月から飲食店を含むすべての食品事業者でHACCPの義務化が始まりました。完全施行までに1年間の猶予期間が設けられたため、2021年5月31日までに、HACCPを導入しなくてはなりません。HACCPの導入は食中毒事故の防止に直結するので、「法律で義務化されたから」ではなく、「食中毒事故を起こさない」ために取り組みましょう。

世界中で採用されている衛生管理方法

HACCPとは、調理工程内に潜む危害(食中毒菌など)を見つけ出して対策を講じることで、未然に健康被害を防止する工程管理のシステムです。近年、世界中で衛生管理の機運が高まっており、HACCPを導入する国が増える中、日本でも義務化の運びとなりました。

HACCPの導入で食中毒予防徹底が促進できる

飲食店におけるHACCP導入は、基本的に厚生労働省が発行する「多店舗展開する外食事業者のための衛生管理計画作成の手引き~HACCPの考え方を取り入れて~」を参考にするとよいです。

その手引書の中では、以下の8項目の衛生管理項目が挙げられています。

  1. 原材料受入れ(受入れ時の検品など)
  2. 原材料の保管(原材料の保管温度の管理など)
  3. 調理(洗浄・殺菌など)
  4. 加熱する食品(適切な加熱など)
  5. 加熱後に冷却する食品(適切な冷却など)
  6. 交差汚染・二次汚染の予防(手洗いのルールなど)
  7. 盛り付け(テイクアウト/デリバリー時の注意など)
  8. 機器の確認(温度計の確認など)

これらの衛生管理項目は、今回の記事で紹介した注意点、対策が全て網羅されているので、HACCPを導入は必ず食中毒のリスクを減らせます。

株式会社折兼の「衛生スタイル」でHACCP導入をお助け!

HACCPを導入するにあたって、分からないことや疑問点があれば、ぜひ動画「5分でわかるHACCP」シリーズをご覧ください。

HACCPに基づく正しい知識周知で食中毒発生を予防できる

HACCPの導入により、食中毒をはじめとする危害を未然に防ぐことができます。2021年5月31日までにHACCPを導入し、食中毒事故ゼロの飲食店にしていきましょう。

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