シュリンクの包装のメリットや機械について紹介
近年、梱包材や緩衝材の代わりに製品を固定するものとしてシュリンク包装を目にするようになっています。この記事ではシュリンク包装のメリットや機械について紹介していきます。
シュリンク包装とは
シュリンク包装とは、熱を加えると縮むフィルムの性質を利用して、容器の形に沿ってフィルムを収縮させる包装の事で、PETボトルのラベル、書籍やCD、DVD、化粧品、生活用品など幅広い分野で使われています。シュリンクとは、「縮む」や「縮小」を意味しており、英語の「shrink」をカタカナ語にしたのが語源です。
次の章ではシュリンク包装のメリットや種類、よく使われている業界について説明していきます。
シュリンク包装のメリット
シュリンク包装のメリットは主に①デザイン性 ②製品の保護 ③作業の効率化の3つがあります。
①デザイン性
・表示面積が広いため商品PRがしやすい
・透明感と光沢性が優れているため、鮮やかな多色印刷ができる
②製品の保護
・耐寒性、耐水性が高く、傷、汚れなどから製品を守る
・破いたら元に戻らない為、新品や未開封の証明になる
・製品劣化や色褪せから守る
③作業性の効率化
・ヨーグルト3個など、複数の製品をまとめることができる
・大きさの異なる物でもまとめることができる
シュリンク包装の種類
容器全体を覆うシュリンク
シュリンクフィルムで製品全体を覆い、全面をシュリンク包装する方法。
L型シュリンク包装
包装方法:製品の角に沿った形で覆う包装
特徴 :箱物の包装に適している
使用例 :箱、ポンプボトルなど
ピローシュリンク包装
包装方法:枕のように製品の周りを覆う包装
特徴 :デザイン性を持たせることができる
使用例 :カップ麺、紙パックのお酒など
容器の一部を覆うシュリンク
シュリンクフィルムで製品表面、底面、キャップなど一部をシュリンク包装する方法。
ラベルシュリンク包装
包装方法:キャップ部を除く側面を覆う包装
特徴 :ラベルの表示範囲を広げられる
使用例 :食品、PETボトル、生活用品など
キャップシュリンク包装
包装方法:キャップ部分のみを覆う包装
特徴 :未開封の証明になる
使用例 :食品、瓶など
Rシールシュリンク包装
包装方法:容器の底面以外を覆う包装
特徴 :底面のみシュリンクがされていない
使用例 :食料品、生活用品など
シュリンク包装がよく使われている業界
通信販売
製品発送時の梱包時に製品のズレを抑えたりするためや、複数の商品をまとめたりするのに使われています。段ボールと製品をシュリンクすることにより緩衝材の削減と補強性が期待できます。
出版業界
雑誌や漫画などの外装を包み、製品全体を密着して包みます。製品の外装を汚れから守るだけでなく、開封されていないことや購入前の閲覧を防ぐ効果があります。
業務用スーパー
PETボトルや食品など複数をまとめるのに使われています。6本入りのPETボトルや、3個入りのヨーグルトなど、まとめることによって包装がかさばらず、運搬が楽になる効果があります。
シュリンク包装機の種類
シュリンク包装ができる機械は大きく分けて2つあります。
・トンネル式
・ドライヤー式
シュリンクしたい製品の大きさや数量などによって扱う機械が変わってきます。この章ではトンネル式、ドライヤー式それぞれの特徴やメリット、デメリットについて説明していきます。
トンネル式シュリンク包装機
トンネル式シュリンク包装機とは、シュリンクフィルムで包んだ製品を熱風が吹いているトンネル内に通すことによって収縮させる方法です。均一的に熱を当てられるため、ドライヤー式に比べると綺麗にシュリンクすることができます。
シュリンクさせる方法は、蒸気熱で収縮させる蒸気式、熱風を当てて収縮させる熱風式、そして近年広がってきている熱旋風式(トルネードシュリンク)があります。
熱旋風式は熱風をムラなく旋回させて当てる方法です。
<熱旋風式シュリンク装置 TORNADO(トルネード)>
【工程】
1.シュリンク包装したい製品をシュリンクフィルムに入れて、余分な部分を切り落とす
2.シーラー機で溶接と裁断を行う
3.製品をトンネル内に通すことによりフィルムが収縮して完成
【メリット】
・大量生産に向いている
・細かな熱量調整が可能
・ドライヤー式に比べるとシュリンクのムラが少ない
【デメリット】
・導入コストが高い(約10万円~)
・トンネル内に入る製品しか対応できない
・大型機械が多いため、場所を取る
シーラー機と一体型になったシュリンク包装機
ドライヤー式シュリンク包装機
ドライヤー式シュリンク包装機のシュリンク方法は熱風式になります。
製品が入ったシュリンクフィルムに熱風を当てて収縮させる方法で、トンネル式より導入コストは低く手軽に始められますが、シュリンクするのに少し手間と時間が掛かります。
【工程】
1.シュリンク包装したい製品をシュリンクフィルムに入れて、余分な部分を切り落とす
2.シーラー機で溶接と裁断を行う
3.製品をフィルムの真中に置き、工業用ドライヤーの熱風を当てるとフィルムが収縮して完成
【メリット】
・導入コストが低い(約5,000円~)
・少量生産に向いている
・省スペースで活用可能
・トンネル式に入りきらないものや、形状が複雑なものに対応可能
【デメリット】
・シュリンク包装するのに時間が掛かる
・手で持ちながら熱を当てるので、シュリンクにムラが出る
・風量の調整が効かない機械が多い
シュリンクフィルムとは
延伸処理をしたプラスチックフィルムは、分子が引張り方向に配向しており、これを再加熱すると分子配向に基づく応力が緩和されて延伸前の寸法に収縮しようとする性質を持っています。
このようなフィルムを「シュリンクフィルム」と呼びます。
素材ごとの特徴
シュリンクフィルムは用途によって素材を使い分けます。主な素材を紹介していきます。
・PVC(ポリ塩化ビニール)
透明性、光沢が良く美しく仕上がります。低温収縮性も良く、扱いやすい反面、自然収縮を起こすことがあります。現在は環境問題からあまり使われません。
用途:オーバーラップ、シュリンクラベル、シュリンクキャップなど
・OPS(ポリスチレン)
透明性が良いのですが、耐衝撃性が劣ります。シュリンクキャップでミシン目を入れる場合、開封性が良く便利です。
用途:シュリンクラベル、シュリンクキャップなど
・PET(ポリエステル)
透明性が良く、粘りがあるため強度が強く、寸法安定性が良いフィルムです。しかし収縮温度が高く、扱いにくいといわれております。また、強度が強いゆえ開封性が悪くなります。
用途:シュリンクラベルなど
・PP(ポリプロピレン)
透明性が良く、低温に強いため冷凍食品にも使われます。しかし、強度に不安があり、空間シール面が破れやすく、自然収縮に気をつける必要があります。
用途:オーバーラップシュリンク
・PE(ポリエチレン)
シール強度が強く、収縮率も大きいため重量物、集積包装に適しています。
しかし、透明度が劣ります。
用途:オーバーラップシュリンク
・PO(ポリオレフィン)
PE/PPの多層品や架橋フィルムと呼ばれるポリエチレン系のものがあります。透明性が良く、強度が強く、収縮率が高いため仕上がりが美しく、低温収縮性が良く製品に優しいのも特徴です。
しかし、PPやPEと比較して価格が高く、強度が強いため開封性が劣ります。
用途:オーバーラップシュリンク
シュリンク包装を始める方法
シュリンク包装機やシュリンクフィルムには様々な種類があり、選び方が難しいかと思います。
そのような時は折兼にお任せください。折兼では機械やフィルムを得意とする専門部隊が、お客様の要望を聞きながら、最適な機械とフィルムをご提案致します。その他の機械も取り扱っておりますので、お気軽にご相談下さい。
導入にはシュリンク包装機とフィルムが必要
シュリンク包装についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
包装したい物によって適している機械やフィルムが異なってくるため、それぞれ選ぶ必要があります。
本記事を参考に是非一度シュリンク包装についてご検討ください。