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選ばれるのには理由がある。ニトリル手袋の特徴について解説

2023.07.21

新型コロナをきっかけにニトリル手袋の利用シーンが拡大

ニトリル手袋

新型コロナウイルスの感染拡大によって、使い捨て手袋が世界規模で不足する事態が発生し、大混乱を招きました。
使い捨ての手袋にはさまざまな種類がありますが、なかでも作業性や耐久性に優れたニトリル手袋は、新型コロナをきっかけに医療現場だけでなくあらゆる場所で使用されるようになりました。

さらに衛生管理の意識が一層高まったことで、ニトリル手袋の需要は今後も手堅く推移すると予想されます。
本記事では、新型コロナで手袋不足が発生した理由や今後の業界動向について解説していきます。

新型コロナの流行で使い捨て手袋の需要が急増

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、世界中で使い捨て手袋が不足する事態となりました。そのなかで、ニトリル手袋の不足が深刻化した背景には、日本がほとんどを輸入に頼ってきたことが挙げられます。
この輸入依存の危機的状況から脱却するため、国内製造に舵を切ったメーカーも出ています。

この章では、ニトリル手袋の不足が深刻化した理由と国内製造に向けた動向について解説します。

ニトリル手袋の不足が深刻化した理由

手袋

1. ほとんどが海外製
ニトリル手袋は、マレーシアが世界の約3分の2を生産しています。
ニトリル手袋などの医療用手袋は、家庭用などと製造工程や原料が異なるうえ、薄さと強度の基準を満たした高品質の製品を安定供給するには、技術とノウハウが必要になります。
 
2. ロックダウンによる生産の減少
新型コロナの流行に伴って、主要な生産国であるマレーシアなどではロックダウンが実施されたため、従業員が出勤できず、生産ができなかった時期がありました。
さらに、従業員の集団感染によって工場が一時的に閉鎖したことで納品にも遅れが生じました。

3. 世界的需要の拡大
新型コロナの感染防止のため、医療用手袋の需要は通常の3倍程度まで拡大しました。
さらに医療従事者だけでなく、個人レベルでも衛生意識の高まりから手袋を使いたいという人が増え、飲食店の従業員やスーパーのレジ担当者が手袋をしているのは当たり前の光景になりました。

日本国内初!?ニトリル手袋の製造工場を建設中

世界的に不足した医療用のニトリル手袋ですが、日本で使われる手袋のほとんどは海外製です。
このような輸入に依存した状況から脱却するため、作業用手袋大手の「ショーワグローブ株式会社」は2020年8月、ニトリル手袋の国内初となる製造拠点を、香川県坂出市に建設することを発表しました。

「ショーワグローブ株式会社」は産業用や家庭用の手袋など2,000種類以上を扱うメーカーですが、医療用の手袋は国内で製造しても採算が合わないため、これまでは提携先のマレーシアのメーカーからすべて仕入れてきました。
しかし、新型コロナの感染拡大によって価格が高騰し、まとまった数量を仕入れることができなくなったため、国内製造に踏み切りました。
当初、工場の操業は2023年春頃を予定していましたが、2024年夏以降にずれ込んでいるようです。

使い捨て手袋にはどんな種類があるの?

新型コロナの感染拡大で需要が急増した使い捨て手袋ですが、現在、一般的に使用されている使い捨て手袋には下記のような種類があります。

  • ポリエチレン手袋
  • 塩化ビニル(PVC)手袋
  • TPE手袋
  • ラテックス
  • ニトリル手袋

まずはそれぞれの種類の特長や材質、作業性について解説します。

ポリエチレン手袋

ポリエチレン手袋 PS画像なし

最も安価な使い捨て手袋です。手や指先のフィット感や強度はないですが、着脱が簡単なので、盛り付けや短時間の軽作業、頻繫に手袋を交換する作業などに向いています。
指先が絞ってあり抜けにくいフィットタイプや、手袋の表面に細かい凹凸をつけて食材が付着しにくいエンボスタイプなど、バリエーションも豊富です。

塩化ビニル(PVC)手袋

塩化ビニル(PVC)手袋

PVC手袋やビニール手袋などとも呼ばれています。
生地が薄めのタイプが多く、指先の感覚が残るので、細かい作業に向いているというのがメリットです。油や薬品への耐性もあるので、業種を問わず幅広い用途で使用できます。
ニトリル手袋やラテックス手袋と比べて価格が安いです。
ただし、同じ塩化ビニル手袋でも、食品衛生法に適合しているものといないものがあるので注意が必要です。
そのため、食品の調理・加工など、食品に触れる場合には「食品衛生法適合」の手袋を選ぶ必要があります。

TPE手袋

TPE手袋

TPEとは、熱可塑性エラストマーのことで、PVC手袋・ポリエチレン手袋と比較すると、2つの特徴のちょうど間をとったようなタイプです。
PVC手袋までのフィット感と細かい作業へのしやすさはないですが、ポリエチレン手袋よりは伸縮性があるため、細かい作業がしやすいです。

ラテックス手袋

ゴム手袋には、天然ゴム製(ラテックス手袋)と合成ゴム製があります。
ラテックス手袋は強度に優れており、長時間使用時に用いられる、いわゆるゴム手袋です。

ラテックス手袋は、伸縮性が高く指先にフィットするので、細かい作業をするのに最適です。
グリップ力が高く、つるつるとした材質(フィルムや食器など)もしっかりと掴むことができます。
ただし、まれに天然ゴムにアレルギー反応を起こす(ラテックスアレルギー)場合があることや、天然ゴム特有のニオイがするなどのデメリットもあります。

ニトリル手袋

ニトリル手袋

ラテックスアレルギーの方でも使用ができ、強度が強く、フィット感もある万能型のタイプがニトリル手袋です。
ニトリル手袋の箱には「粉あり」「パウダーフリー」などと書いてありますが、これはトウモロコシからできるコーンスターチで、手袋を着脱しやすくしたり、手袋を製造する際に鋳型から外しやすくするという役割があります。
粉ありタイプは着脱はしやすいですが、手が荒れたり、ほとんど目には見えない粉でも食品などに付着するおそれがあるため、最近では粉なしタイプが主流になっています。
使い捨て手袋の中では価格が高めです。

ニトリル手袋の特徴

今やニトリル手袋は医療や介護業界だけにとどまらず、小売店や飲食店、さらには個人レベルでも、使用が急増しています。
新型コロナをきっかけに、日常生活でも衛生管理の意識が高まったことは明らかですが、使い捨て手袋のなかでもニトリル手袋が選ばれているのはなぜでしょうか?
ここからはニトリル手袋の特徴や製造工程などについて解説します。

使い捨て手袋の比較表

ポリエチレン 塩化ビニル TPE ラテックス ニトリル
耐油性 ×
耐熱性 × ×
伸縮性 ×
作業性 ×
突き刺し強度 ×
コスト 安価 高価

※コストは、ポリエチレン、塩化ビニル、TPE、ラテックス、ニトリルでの比較
 
上記の通り、ニトリル手袋は強度が優れており、引っ張り、突き刺しにも強いです。さらに耐水、耐薬品性があり、伸縮性にも優れているため、指先までぴったりフィットします。
これらの特徴から、医療、介護の現場だけでなく、食品工場や油や薬品を扱う機械作業などにも利用されています。

ニトリル手袋はどこで作られている?

2021年のゴム手袋世界シェアの第1位はマレーシアで、全体の約60%を占めており、第2位はタイで約18%です。
これらの国はいずれも天然ゴムの産地で、天然ゴム手袋の製造をしてきました。
しかし、ラテックスアレルギーなどが問題となって天然ゴム以外で作られた手袋が必要になり、ゴム手袋を製造してきたノウハウを生かし、ニトリル手袋の一大生産拠点となっていったのです。

ニトリル手袋はどうやって作られている?

ニトリル手袋の生産

原材料などの液体に手型を浸漬して乾燥・浸漬・乾燥を繰り返す、浸漬成形(ディッピング方式)と呼ばれる生産方法です。
ラインには大量の手型が並んでおり、順次それぞれの原料浴槽に浸漬し乾燥されていきます。
この時のラインスピードが早くなると薄い手袋となって生産量が増えますが、逆に遅くなると厚い手袋となって生産量が減ります。

<リーチング工程>
洗浄する工程のことを指します。
手袋表面についている不純物を洗い流すことにより、より精度の高い製品になります。
 
<ビーディング工程>
手首の巻きを作る工程のことを指します。
手首に巻があることにより、手袋が装着しやすくなります。

ニトリル手袋のスペック

ニトリル手袋のスペックは一般的に「厚み」や「重量」で表記されます。
厚みについては製造上、指先や手のひらで若干異なるため(原料などの液体に手型を浸漬して成型するため、下になる指先に液体が溜まり、いちばん肉厚となる)、表記されている厚みの測定部位は確認した方がいいでしょう。
 
下記は厚みのスペックの使用例の目安になります。
※あくまで目安となりますので、実際の作業強度に合わせてお選びください
 
【厚み別の使用例(目安)】

  • 極薄(60μm以下):軽作業向け
  • 薄手(70~90μm):食品工場、調理、軽量物の検品、清掃作業など
  • 標準(100~120μm):食肉水産加工、印刷業など
  • 厚手(130μm以上):塗装作業、畜産、工業など
  • 極厚(200μm以上):金属加工、自動車やバイク整備、工業など

パックスタイルのニトリル手袋はラインナップが豊富

ニトリル手袋の厚み比較

パックスタイルはニトリル手袋で国内初のHACCP認証を取得

「HACCP製品認証」とは?
オーストラリアに本社を置く国際認証機関「HACCP INTERNATIONAL」社が、食品製造現場で使用する資材・器具などについて、国際的な食品安全の基準に適合しているかを厳正に評価し、合格した製品にライセンスが与えられる認証制度です。
認証された製品は、HACCPに基づく衛生管理を行う食品施設で、安全にお使い頂ける資材です。

対象商品の詳細(ニトリル手袋スタンダードシリーズ)

対象商品の購入はこちらから

パックスタイルのニトリル手袋を是非ご検討ください!

新型コロナがきっかけで利用シーンが拡大したニトリル手袋の特徴について解説しました。
新型コロナの世界的流行は時代の転換点となり、私たちの生活においても特に衛生管理が徹底され、マスクや手袋などの日常的な着用が定着しました。
パックスタイルでは、ニトリル手袋のラインナップを豊富に揃えているので、お客様のご要望に沿って最適な商品をご提案します。

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