
生鮮食品の鮮度を保つ一番のポイントとは?

生鮮食品を購入したものの、気が付けば冷蔵庫の中でしおれていたり、腐ってしまっていたりすることは、どこの家庭でもよくあることではないでしょうか。
しかし、食べられるはずの食品が廃棄される「フードロス」は、地球環境の悪化や食糧危機などにつながる深刻な社会問題となっています。
農林水産省の調査によると、日本では年間約600万トンもの食品が廃棄されており、その半分近くは家庭から出ているというデータもあります。食品を廃棄してしまう理由としては、「賞味期限・消費期限切れ」「購入したことを忘れていた」「必要以上に買い過ぎた」などが挙げられますが、適切な保存方法により防げるケースも少なくありません。
そこで今回は、お客様に食材をより長く楽しんでいただくために、野菜、魚、肉といった代表的な生鮮食品を例に挙げ、食材別に適切な保存方法と、食材を長持ちさせるためのコツを紹介します。
ぜひ、お客様へのアドバイスにお役立てください。
食材長持ちは「微生物繁殖の抑制」がカギ
生鮮食品を保存する上で最も重要なのは、食材の鮮度を保つこと、そして、鮮度を保つために大切なポイントは「微生物の繁殖抑制」です。食材の腐敗は、食材中のタンパク質など窒素を含んだ有機物が微生物によって分解されることで起こります。
この腐敗を引き起こす微生物の代表例が「腐敗細菌」です。腐敗細菌は食材に付着して増殖し、不快な臭いにつながる硫化水素やアンモニアなどを発生させます。
腐敗の進み具合によっては食中毒の原因になることもあるため、食材のおいしさを保つだけでなく、健康的な食卓を守るためにも、食材保存の工夫は欠かせません。
食材に付着した微生物の繁殖を防ぐには、温度を下げたり、水分を取り除いたりといった方法がありますが、食材によって最適な方法は異なります。
ここからは、生鮮食品の特性を解説しながら、それぞれの具体的な保存方法を紹介します。
野菜の保存方法

根菜や葉物野菜、キノコ類など、さまざまな種類の野菜がありますが、種類により適した保存方法が異なるため、それぞれの特性を知っておくことが大切です。
ここからは、野菜保存のポイント、種類別のおすすめ保存場所について解説します。
育った環境をイメージする
収穫後も成長を続ける野菜は、どのように育ってきたのかをイメージすると保存方法がわかりやすく、鮮度をキープしやすくなります。
例えば、根菜類は土の中で育つため、日の当たらない乾燥した涼しい場所で、新聞紙に包むなどして保存するのが最適です。
一方、葉物野菜は地面から出て育つため、立てて保存することが基本です。
新聞紙などで包み、冷蔵庫の野菜室など一定の湿度がある場所で保存することで、シャキッとした食感を保つことができます。
乾燥を防ぐ

野菜は収穫後も呼吸を続けており、その過程で水分が失われていきます。
水分が失われると、みずみずしさがなくなりしおれてしまうため、乾燥を防ぐことが大切です。
まず、野菜は購入後すぐに冷蔵庫に入れて低温で保管しましょう。
冷蔵庫の野菜室は適度な温度と湿度が保てるよう設定されているため、多くの種類の野菜にとって適した環境となります。特に乾燥しやすい葉物野菜は、新聞紙やラップ、専用の保存袋などで包んでから冷蔵保存するのがおすすめです。
また、密閉性の高い保存容器を使用するのも有効です。水分の蒸発を防ぐだけでなく、冷蔵庫内のにおい移りも防ぎます。
水分を拭き取る
野菜の表面に水分が残っていると、そこから微生物が繁殖しやすくなってしまいます。
そのため、保存する前には、野菜に付いた水分を丁寧に拭き取るようにしましょう。
特に、葉物野菜は水洗い後に水分が残っていると傷みやすくなってしまいます。
キッチンペーパーなどで包んでから冷蔵庫に入れると、過剰な水分を吸収してくれるでしょう。
野菜別おすすめの保存場所
野菜は、原産地や収穫時期によって適した保存場所が異なります。
野菜の生育環境をイメージしながら、最適な保存場所を選びましょう。
野菜の種類別におすすめの保存場所を紹介します。
保存場所 | 野菜の種類 | 保存方法のポイント |
---|---|---|
冷蔵庫の野菜室 | トマト、きゅうり、ナス、大根、にんじん、ピーマン、キノコ類など | ・夏野菜や水分の多い根菜、キノコ類、カットした野菜は冷蔵庫の野菜室が最適 ・新聞紙やポリ袋、ラップなどで包み乾燥を防いで保存 |
冷蔵庫の冷蔵室 | 葉物野菜、もやしなど | ・葉物は低温保存によりビタミンCをキープ ・もやしは野菜室よりも低温の冷蔵室が最適 |
風通しの良い冷暗所 | じゃがいも、玉ねぎ、さつまいも、里芋、かぼちゃなど | ・低温が苦手な根菜やイモ類は風通しの良い冷暗所へ ・新聞紙に包んだり、かごやネットに入れ吊るしたりすることで通気性を確保 ・泥付き野菜は土がついたまま新聞紙で包むとより長持ち |
鮮魚の保存方法

鮮魚は、肉を分化する「自己消化酵素」の働きが活発で、肉質が弱く水分量が多いため、精肉に比べ傷みやすい食材です。
しかし、下処理や加工の方法によっては非常に長い期間おいしさを楽しめる場合もあります。
ここからは、鮮魚の保存方法におけるポイントについて解説します。
魚は鮮度を見極め「密閉」「低温」で保存する
鮮魚は、水揚げされてから店舗に並ぶまでの日数や、家に持って帰るまでの温度変化などが鮮度に大きく影響します。
そのため、パックに記載されている消費期限だけでなく、個体ごとの鮮度を見極めながら購入したうえで、加工状態に応じた保存方法を心がけることが大切です。
まず、丸身の魚は透明感がある澄んだ目をしているものを選びましょう。
白く濁っていたり血が混じっていたりすると鮮度が低い可能性があります。
購入後はなるべく早く下処理をして、ラップなどで密閉して酸化を防ぎながら、チルド室で保存するのが長持ちのコツです。
切り身の魚は、「ドリップ(旨味を含む水分)」や血合いが少ないものを選びましょう。
パック内にドリップが出ていると鮮度が低下している可能性があります。
血合いの多い身は鉄分が多く酸化しやすいため、味が落ちやすいからです。
切り身の消費期限は大体2~3日に設定されていることが多いですが、丸身の魚と同じくラップなどで酸化を防ぎ、低温のチルド室で保存すると、期限が近づいてもおいしく食べられます。
水分を拭き取る
鮮魚を保存する際は、表面の水分をしっかりと拭き取ることが重要です。
食材の表面に水分が残っていると微生物が繁殖しやすくなり、鮮度が落ちるスピードが速まってしまいます。
購入した鮮魚はそのまま冷蔵庫に入れず、まずは表面に付着した水分をキッチンペーパーなどで丁寧に拭き取りましょう。
特に内臓付近から腐敗が進みやすいため、内臓を取り除いた部分の水分もしっかりと拭き取ることが大切です。
下処理・味付けをする

鮮魚は、下処理と味付けをすることで、より長持ちさせることができます。
丸身の魚は内臓を取り除き、エラや血合いをきれいに洗いましょう。
切り身は、血合いがあれば取り除き、水分を丁寧に拭き取ることで劣化を防げます。
味付けとしておすすめなのは「塩漬け」や「味噌漬け」といった塩味を加える方法です。
塩漬けは魚の水分を抜き、微生物の繁殖を抑える効果があります。
さらに味噌漬けでは、味噌に含まれる酵素が魚のタンパク質を分解し、旨味を引き出す効果が期待できます。
下処理や味付けをした魚は、ラップで包むか密閉容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
保存期間は魚の種類や処理方法によって異なりますが、調味料によって加工した場合は、以下の期間が保存の目安となります。
- 塩漬け:1週間ほど(塩辛くなるので3~5日が食べごろ)
- 味噌漬け:5日〜1週間ほど
- 粕漬け:1~2ヶ月ほど
- 塩こうじ漬け:1週間ほど(塩辛くなるので3~5日が食べごろ)
- 醤油漬け:3〜5日ほど
精肉の保存方法

スーパーや精肉店で取り扱う精肉は、肉の種類や加工法にもよりますが、大体1~3日程度の消費期限が設定されています。
精肉の種類は主に牛肉、豚肉、鶏肉ですが、身体の大きな家畜の精肉ほど日持ちするといわれています。
そのため、消費期限が同程度の精肉が数種類ある場合は、鶏肉、豚肉、牛肉の順番で食べていくのがおすすめです。
おいしさを保ち劣化を防ぐため、さらに具体的な保存方法のポイントについて解説します。
チルド室を活用する
精肉は、適切に保存しなければ品質が劣化しやすく、食中毒のリスクも高まりやすい食材です。
精肉の鮮度を保つためには、冷蔵庫の「チルド室」を有効活用しましょう。
チルド室は、食材が凍る寸前の温度帯に保たれており、一般の冷蔵保存よりも食材の発酵や熟成を遅らせる効果が期待できます。
精肉の保存温度は0~2℃程度が理想とされていますが、チルド室であれば簡単に最適な環境をキープできます。
冷凍する場合に比べ、味や食感を維持できるメリットもあるため、消費期限内に使う予定の場合はチルド室での保存がおすすめです。
ドリップを拭き取る
精肉のパック内に溜まる赤い液体「ドリップ」は、肉の旨味成分を含む水分です。
ドリップは微生物が繁殖しやすい環境をつくり、肉の鮮度を落とす原因になります。
パック内に水分を吸収する「ドリップシート」が入っている場合もありますが、持ち帰り時に常温にさらされ、ドリップがさらに溢れてしまうケースも少なくありません。
冷蔵庫に入れる前のドリップを拭き取るひと手間が、精肉の劣化を防ぎおいしさを長くキープするポイントとなります。
冷凍時は小分けする

一度で使い切れない場合やまとめ買いした際など、精肉を冷凍保存するケースも多いでしょう。
そんな時は「小分け冷凍」で保存するのがおすすめです。精肉を小分けにして冷凍すれば使い勝手がよく、1回の調理に必要な量だけ解凍して使えるため、食材を使いきれずに廃棄するといったことも少なくなります。塊肉の状態で冷凍したりまとめて大量に冷凍したりするのに比べ、小分けなら精肉を素早く凍らせることができ、解凍時間も短縮できます。
解凍ムラを防げるといったメリットもあります。
小分け冷凍する際は、ラップでぴったりと包んでからフリーザーバッグに入れると密封性が高くなり、風味を損なわず保存できます。冷凍焼けや霜付きを防ぐだけでなく、冷凍庫の中で食材が迷子になるといった事態も起こりにくくなります。合わせて、フリーザーバッグのメモ欄に保存日を記載すれば食材の管理がしやすく、消費するタイミングの目安になります。
生鮮三品のフィルム包装なら、折兼にお任せ
野菜、魚、肉などの生鮮食品をより長く、より新鮮な状態で保つためには、ラップやポリ袋、フリーザーバッグなど、食品に合わせた適切な包装が欠かせません。
フードビジネスのインフラを支える「折兼」では、生鮮食品の包装に最適なフィルムを多数取り揃え、お客様のニーズに合わせた最適な包装ソリューションを提供しています。
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生鮮食品の鮮度保持、品質向上、フードロス削減に向けた取り組みをお考えなら、折兼までぜひお気軽にご相談ください。
生鮮食品を長持ちさせるための正しい保存方法
食材を新鮮でおいしく保つためには、それぞれに適した保存方法を取り入れることが大切です。
最適な保存場所や温度を守るだけでなく、ラップや新聞紙で包む、水分をしっかり拭き取る など、ひと工夫を加えることで、酸化や劣化、微生物の繁殖 を防ぎ、鮮度をキープできます。
野菜の保存:湿度調整をしながら冷蔵庫の野菜室で保存する。葉物は新聞紙で包むと◎
魚の保存:余分な水分を拭き取り、密閉できる容器やラップで包んで冷蔵・冷凍。
肉の保存:一回分ずつラップで包み、冷凍保存すると劣化を防げる。
食材に適した保存方法を実践すれば、新鮮でおいしい状態を長く保つことができるだけでなく、フードロス削減にも貢献 できます。