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環境にやさしいプラスチックとは?バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違いについて紹介

2020.12.03

レジ袋有料化がスタート

レジ袋有料化イメージ画像

2020年7月1日、日本全国でレジ袋の有料化がスタートしました。

プラスチックごみ全体に占める廃棄レジ袋の割合は2%程度※1と言われていますが、環境問題の解決に向けプラスチックの使用量を減少させると共に、レジ袋という身近な存在から生活の変化を促すことを目的としています。
レジ袋が有料化された結果、コンビニエンスストアのレジ袋辞退率は有料化前の約23%から約75%に伸びました。※2
 
また、レジ袋有料化制度の中には、無料配布が可能(法令の対象外)となるレジ袋があります。

  1. バイオマス素材の配合率が25%以上
  2. 海洋生分解性プラスチックの配合率が100%の素材
  3. 繰り返し使用が可能とされるプラスチックフィルムの厚みが50ミクロン以上のもの

上記の通り、条件により無料配布が可能なレジ袋はありますが、実際には大手スーパーやコンビニなど多くの事業者が、無料配布から有料配布に切り替えた上で更に環境に優しい素材のレジ袋を採用しています。
 
今回は、環境に優しい素材とされる「バイオマスプラスチック」生分解性プラスチック」とは一体どんな素材なのか紹介していきます!

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違い

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックはどちらも環境に優しいプラスチックです。
しかし、この2つにはハッキリとした違いがあり、区別する必要があります。

バイオマスプラスチックは「生物由来の資源を原料にした」プラスチック、
生分解性プラスチックは「使用後に分解されて自然に還る」プラスチックのことです。

それぞれの名称について、「バイオマス」とは「原料」のことを指し、「生分解性」とは「機能」のことを意味しています。
そのため「バイオマスプラスチック」かつ「生分解性プラスチック」で、生物由来で分解する場合もあれば、「バイオマスプラスチック」でも「生分解性プラスチック」ではない、またはその逆もありえます。

次の項目で、それぞれの特徴を、もう少し詳しく説明します。

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの図

バイオマスプラスチックとは?

バイオマスプラスチックとは「再生可能な生物由来の資源を原料にした」プラスチックのことです。
トウモロコシやサトウキビ、トウゴマなど、大部分の製品が植物の「非可食部分」から作られており、見た目は通常のプラスチックと変わりません。

使用している原料は再生可能なので石油資源のように枯渇する可能性が低く、カーボンニュートラルの考え方により温暖化の原因とされるCO₂(二酸化炭素)の排出も抑えることができます。

また、バイオマスプラスチックは100%バイオマスプラスチックを原料とした「全面的バイオマス原料プラスチック」と、原料の一部にバイオマスプラスチックを原料とした「部分的バイオマス原料プラスチック」に分けられます。

一般社団法人日本有機資源協会(JORA)では、製品中のバイオマスプラスチックが10%以上、日本バイオプラスチック協会(JBPA)では製品中のバイオマスプラスチックが重量比25%以上の認定製品に対して、ロゴマークの表示を認めています。

JORAバイオマスプラマーク
JBPAバイオマスプラマーク

生分解性プラスチックとは?

生分解性プラスチックとは、「使用中は通常のプラスチックと同じ機能を持ち、使用後には『一定の条件』の下で分解されて、最終的に水と二酸化炭素に分解される、自然に還るプラスチック」です。

ごみとして焼却処理する必要がないので環境負荷が少なく、意図しない形で排出された場合でも自然に分解されるため、海洋プラスチックごみの削減などに貢献できます。

ただし、完全に分解されるには数ヵ月単位の時間がかかること、分解が進行する条件下にない場合は分解が進まないのが問題点として挙げられます。
また、100%生分解性プラスチック素材でなければ、一部は分解されずに残ってしまいます。

生分解性プラスチックが分解されるためには、自然界に存在する微生物や酵素の働きが不可欠です。
環境によって種類や密度が違うため、生分解性プラスチックは、海洋や土壌の中などそれぞれの環境下で分解されやすいように種類が分かれています。
現在製品化されているものとしては、土壌、コンポスト(高温多湿)、水環境(海洋)の3種類で、全ての環境下で分解される万能な生分解性プラスチックは存在しません。

また、ロゴマークについては、日本バイオプラスチック協会(JBPA)が一定の条件を満たした製品について、「グリーンプラ・シンボルマーク」の表示を認めています。

JBPAグリーンプラ・シンボルマーク
土壌分解性レジ袋の生分解の様子

バイオマスプラスチックや生分解性プラスチックの資材

この項目ではバイオマスプラスチック、生分解性プラスチックでできた製品をご紹介します。

バイオマスプラスチックの資材

①【弁当容器】バイオデリカ シェルBOX

バイオマスプラスチックを数%配合した、スタンダードなサイズ・仕切りの一体型弁当容器です。

バイオデリカ シェルBOX

②【カップ】バイオPETカップ

バイオマスプラスチックの配合率が5~30%の透明深型カップです。
ドリンクをはじめ、サラダやカットフルーツなどの容器としても使用できます。

バイオPETカップ

③【レジ袋】バイオマスレジ袋

バイオマスプラスチックを30%配合したレジ袋です。
レジ袋有料化の対象外商品です。
縦長(レジ袋)と横長(弁当バッグ)2タイプの形状があります。
横長タイプは弁当容器を入れても傾きにくく、安定して持つことができます。

バイオマスレジ袋30

生分解性プラスチックの資材

①【弁当容器】ニュートデリカ

植物由来の樹脂80%とタルク(石灰)20%から作られた、100%自然由来原料の容器です。
耐熱温度は約110℃です。
本体・蓋の一体型で、在庫管理が簡単です。

ニュートデリカ

②【惣菜容器】ニュートカップNTF

100%植物由来の樹脂でできた、生分解性の容器です。
コンポストでの生分解性に優れています。
耐熱温度が約50℃のため、ご使用の際は注意してください。

ニュートカップNTF

③【カトラリー】CPLAスプーン・フォーク

パックスタイルのCPLAカトラリーは、生分解性のトウモロコシ由来原料を70~80%配合しています。
耐熱温度は約85℃です。

PS CPLAスプーン

素材の特徴を正しく理解して、環境問題の解決に貢献しよう

プラカップイメージ画像

バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックは同じように扱われることが多いですが、このように実際には全く違う特徴を持っています。

バイオマスプラスチックは「再生可能な生物由来の資源を原料にした」プラスチックのことで、CO₂を削減することで地球温暖化問題の解決に貢献することができます。

生分解性プラスチックは「最終的には水と二酸化炭素に分解されて自然に還る」プラスチックのことで、海洋プラスチックごみ問題などの解決に貢献できます。

それぞれの特徴を正しく理解して資材を選択し、環境問題の解決に貢献できると良いですね。

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