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100%自然に還る、バガス製の釣り餌容器を紹介

2022.06.01

海でプラスチックごみが問題になっている?

近年、海洋ごみ問題が世界で深刻化しています。
海洋ごみの中にもさまざまな種類がありますが、特にプラスチックごみは海洋ごみの半数近くを占めており、最も問題視されております。
通常のプラスチックは生分解性がなく、滞留時間が非常に長いため、一度流れ出てしまうと半永久的に海に滞留してしまうことがわかっています。
 
毎年海に流出するプラスチックごみのうち、2~6万トンが日本から発生したものだと推計されております。(環境省調べ)
このままプラスチックごみが流出し続けることで、2050年には、海に蓄積されるごみが魚の重量を上回ってしまうことも懸念されています。

また、プラスチックごみを誤って飲み込んで亡くなる生き物が増えており、さまざまな海洋生物の絶滅にも影響しており、ウミガメや海鳥、クジラなどの海洋哺乳動物など、少なくとも700種程度に被害が出ていると言われています。

これらの問題を解決するためにも海洋ごみ削減に向けた取り組みが必要となっています。
今回は、釣り業界でのプラスチックごみ問題と、共同開発した釣り餌容器についてご紹介します。

釣り業界で関係するプラスチックごみ問題

釣りを行う中で、切れてしまった釣り糸に絡まってしまったり、誤って飲み込んでしまうことで亡くなってしまう魚や鳥が数多くいることが話題になっています。また、ルアーや鉛のおもりが海中に残留し、プラスチックごみ増加の問題が発生していました。
 
そこで、天然素材の釣り糸や、生分解性のあるルアーが開発されるなど、環境にやさしい素材の釣り具が増えており、環境にやさしい素材の商品が次々と開発されています。

プラスチック製釣りエサ容器について

最近では環境にやさしい釣り具の開発が進んでいますが、釣り場で最も問題になっているのが、ルアーなどの資材、釣り餌に使われる容器包装であると言われています。大半がビニールやプラスチックから作られており、生分解性を持っておりません。さらに、軽量なものが多く風で飛ばされやすいため、海に漂流する可能性が非常に高いです。

海へ流れ出たプラスチックごみは、風や紫外線で劣化して小さく砕けることでマイクロプラスチックが発生し、魚がエサと間違えてマイクロプラスチックを誤飲してしまいます。最終的にマイクロプラスチックを体内に蓄積した魚を食べることで、人体に悪影響を及ぼすなど、さまざまな問題が発生します。
            
しかし、釣り糸やルアーのように直接釣りに関わるものではなく、コスト面も影響して生分解性素材への移行が進んでいないのが現状でした。
そのため、自宅で処分するまで釣り人は注意を払うか、飛ばされにくい容器を入れ替えるほか、対策がありませんでした。


そこで、折兼は海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、関西大手釣具小売店のフィッシングマックスと環境にやさしい商品の共同開発を行いました。

フィッシングマックスについて

フィッシングマックスは、大阪湾を取り囲むように店舗を展開する大型釣り具チェーンです。釣りの楽しさを伝えるため、まずは魚を釣ってもらうため、スタッフが毎日釣り場を訪れ、リアルタイムの正確な釣り情報をHPや各SNSで発信し続けています。
 
店頭やオンラインショップでは、さまざまなメーカーのアイテムはもちろん、日々釣り場に行っているスタッフが考案したプライベートブランドの商品も販売し、リーズナブルな商品から本格的な商品を取り揃えています。
 
また、釣り場保全やSDGsへの取り組みにも熱心に取り組んでおり、マナー啓発も同時に発信をし続けています。

フィッシングマックスの主な取り組み

プラスチックごみの削減

プラスチックごみ削減を目指し、レジ袋有料化でプラスチック袋の使用枚数削減に取り組んでいます。その他にも環境にやさしいベイトバガスパックを使用することで、海洋プラスチックごみ削減に取り組んでいます。

救缶鳥プロジェクトへの参加

「救缶鳥プロジェクト」は、非常食を備えることで世界の飢餓救済の活動に参加できるプロジェクトです。パン・アキモトが世界の飢餓対策支援活動として取り組むこの活動に参加しています。

リレーフォーライフへの参加

がん患者やその家族を支援し、地域全体でがんと向き合い、がん征圧を目指すチャリティー活動へ参加しています。

健康経営優良法人 2022年度認定を取得

職場内の一切禁煙を進めるほか、従業員の健康に配慮した経営を心掛けることで、より良い労働環境を整備しています。

釣り場周辺のごみ回収・清掃活動

釣り場周辺の環境保全を目的として、ごみ回収・清掃活動を積極的に行っております。

環境にやさしい釣りエサ容器

生分解性のない容器包装によって、海洋プラスチックを助長してしまう問題を解決するため、フィッシングマックスと折兼は、生分解性のある釣りエサ容器「ベイトバガスパック」を共同開発しました。

「ベイトバガスパック」は、サトウキビの搾りかすと竹を混ぜて作られており、廃棄される植物原料を再利用した原料が使われております。
本来、バガス素材は食品容器に使われることが多いですが、海における生分解性の機能を活かして、生分解性のある釣りエサ容器を開発いたしました。

生分解性で海に残さない

「ベイトバガスパック」の最大の特長として、生分解性があります。
バガス素材は植物由来原料から作られているため、海洋下で自然に還る性質を持っております。
本容器は、フィッシングマックスが行った試験結果によると、約90日で完全分解されました。

このように自然に還る性質を持っているため、万が一、海中に容器が流れ出てしまっても一定期間で完全に分解されて無くなるので海洋プラスチックごみ削減に貢献することができます。
※生分解性はありますが、意図的に海へ容器を捨てることはご遠慮下さい。

二酸化炭素排出量の削減に貢献できる

本来、プラスチック容器であれば石油から製造されるため、製造から廃棄までに二酸化炭素を多く輩出します。しかし、バガスは石油資源を全く使用しておらず、製造において二酸化炭素の排出量を大きく削減することができます。
また、使用後に処分して燃やされた際に発生する二酸化炭素は、光合成で吸収した二酸化炭素であるため、カーボンニュートラル(※1)が成り立ち、LCA(※2)の観点でバガスとプラスチックと比較すると、二酸化炭素を80%以上削減できます。
 
※1カーボンニュートラル…CO2(炭素)の総量に変動が無い状態のこと。素材ではバイオマスプラスチックや生分解性プラスチックなど植物由来の商品にカーボンニュートラルが成り立つと言われている。

※2 LCA…Life Cycle Assesmentの略で、製品やサービスに必要な原料の採取から、使用後の廃棄されるまですべての工程での環境負荷を定量的に表そう、という考え方のこと。
 
このように、バガス素材へ切り替えることで製造から排出の過程でも環境問題の課題解決に貢献することができます。

植物由来で石油資源の使用量削減に貢献

二酸化炭素の排出量削減に貢献していることはもちろんですが、原料に石油を一切使用していないため、切り替えによって有限資源である石油の使用量を削減することができます。
また、本容器の製造で使用するバガスはボイラーの燃料として使われて余剰分となったもの、竹は竹害の問題で廃棄されるものを使用しており、廃棄植物の有効活用に繋がっていると言えます。

容器に刻印されたプラスチックスマートロゴで啓発にもつながる

本容器は、蓋裏面にプラスチックスマートのロゴが刻印されており、環境にやさしい商品であることをユーザーにアピールできます。

プラスチックスマートとは、持続可能な社会・自然環境の構築に向けて正しい処理やリサイクル方法を広めるとともに、バイオマスプラスチックや代替素材などを理解しながら、プラスチックと賢く付き合っていくための取り組みを推進し、広げていくために実施されているプロジェクトです。

機能面でもばっちりのベイトバガスパック

環境にやさしい虫エサ容器として作られた「ベイトバガスパック」ですが、ユーザーが虫エサに注意を向けることなく、思い切り釣りに集中できるよう、釣りのプロの意見を元に使いやすさにもこだわった商品開発が行われました。「ベイトバガスパック」の機能について紹介します。

釣りに思い切り集中できる嬉しい機能満載

つまみによって嵌合性UP

本容器は本体と蓋が一体型の容器です。 本体と蓋それぞれにツメが付いており、嚙み合わせることで隙間を減らし、しっかり封をすることができます。一度、嵌合させると蓋が開いてしまう事はないため、輪ゴムで蓋を留める手間がなく、片手で扱うことができます。

内側にくぼみがあるため虫エサが逃げにくい

容器の内面にくぼみがあり、釣りエサが上りにくい構造となっています。そのため、虫エサが元気に動いていても容器を登ってくる心配は無く、外に逃げ出さないように注意を向ける心配は無用です。

頑丈なつくりで液漏れを防ぐ

容器はコンパクトサイズであるものの、しっかりとした厚みがあるため、液漏れしづらい構造となっております。 実際に、釣りエサを入れて1日経過した状態でも釣りエサの液染みなどは発生せず、一般的に釣りを楽しむのには十分な強度を備えています。

元気な状態で釣りエサを維持できる

本来、釣りエサ容器はプラスチック製で中身が見えることがメリットでしたが、直射日光に当たって釣りエサが弱ってしまうというデメリットがありました。
一方、バガス素材は中身こそ見えないものの、直射日光を遮る事ができ、一定時間経過しても虫エサが弱ることなく、元気な状態を保つことができます。

環境にやさしい釣りエサ容器を開発した想い

これまで、「ベイトバガスパック」について紹介してきましたが、従来のプラスチック製虫エサ容器と比べると、コストアップしてしまう現状があります。
また、釣り業界のフィッシングマックスと食品業界の折兼が全くの異業種でありながら、釣り餌容器を共同開発いたしました。
全くの異業種である企業同士が、なぜ環境にやさしい「ベイトバガスパック」の開発に至ったのか、製作背景についてインタビューしてみました。

フィッシングマックスの想い

フィッシングマックスでは、全店合計で年間約25万枚の虫エサ容器を使用しておりました。しかし、釣りエサ容器は軽量なため、故意でなくとも風で海に飛ばされて海中に流されてしまい、海洋プラスチックごみ問題を助長してしまうリスクがありました。
 
そこで、次の世代に向けてきれいな海を守り続けるために、たとえコストがかかっても万が一、風で飛ばされてしまった際に、海洋分解100%で完全に自然に還る素材の釣りエサ容器を採用することで、少しでも海洋プラスチックごみを削減できると考え、開発いたしました。
 
今後、「ベイトバガスパック」の導入で海洋プラスチックごみの削減に取り組むことはもちろん、ユーザーの環境意識の向上や啓発にもつながることを期待しています。

折兼の想い

折兼は食品包装資材の専門商社として、弁当容器や食品トレーをはじめとする食にまつわる資材を販売する企業です。
食品業界におけり環境問題への課題解決を目的に、2019年にバガスシリーズを発売しました。これまで、バガス容器は使い捨て食品容器として活用されてきましたが、海に還る性質を活かし、フィッシングマックスとの「ベイトバガスパック」の共同開発に至りました。
 
折兼は食品業界にとどまらず、新たな業界でも共同開発に取り組むことで、より幅広い分野に関わることで、社会全体でさらなる環境問題の課題解決に貢献することを目指します。

また折兼では、お客様のご要望に合わせたバガス別注商品の提案・製造も承ります。

一人一人の心がけで海を守ろう

今までと変わらず釣りを楽しみながらも、環境にやさしい原料へ切り替えることで海洋プラスチックごみを削減できることがわかりました。
また、フィッシングマックスと共同開発した、世界初(※当社調べ)のバガス製釣りエサ容器「ベイトバガスパック」について紹介してまいりました。
 
しかし、ただ環境にやさしい商品を使うだけで海洋プラスチックごみ問題が完全に解決するわけではありません。
ごみを意識して持ち帰る、環境にやさしい釣り具へ切り替えるなど、一人一人が小さなことに取り組んで、環境問題の解決に取り組んでまいりましょう。

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