海洋プラスチック問題
世界の海に既に存在しているといわれるプラスチックごみは、合計で1億5,000万トンと推計されていて、海洋プラスチック問題が深刻化しています。
また、毎年800万トンもの新たなプラスチックごみが海洋に流出しているとも言われています。これはなんと重量にして、ジャンボジェット機5万台分にも相当します。
プラスチックごみは、地球のあらゆる地域で海洋の生態系を脅かし、世界中の隅々まで流れ着いて海岸を汚染しています。
このままでは、遠い未来ではなく近い将来に、海洋がプラスチックゴミで埋め尽くされて、多くの海洋生物が絶滅してしまうかもしれません。
海洋生物がこれらのプラスチックごみによって傷つけられたり、マイクロプラスチックが思わぬところから高濃度で発見されたりするニュースが報道されており、この問題に対する消費者の関心は今までになく高まっています。
この問題に取り組むことは、地球上で生活する私たちにとっての責務です。それとともに企業としては消費者へ良いイメージを与えることにつながるので、取り組みには大変メリットがあるのではないでしょうか。
本記事では、この問題にどのように対処していったら良いかを、紹介します。
海洋プラスチックごみ問題とは
海洋プラスチックごみは、先ほどもお伝えしたとおり、毎年800万トンが海洋に流れ込んでいると言われています。
日本で発生しているこの6万トンのうち実に80%近くが街で捨てられた廃棄ごみが、水路や川を伝って海洋に流れ込んでいます。
この中には、ごみ集積施設からの漏洩や、災害での住居・農業系資材の流出など、意図せずに発生しているものも含まれています。
また、30年後にはプラスチック生産量は現在の約4倍となり、このままプラスチックごみの流出が続けば、「2050年の海は、魚よりもごみの量が多くなる」とも言われています。
海洋プラスチックごみ問題の影響とは
海洋に流出したこれらのプラスチックごみは、様々な問題を引き起こしています。その中でも大きな問題は下記の3つです。
①海洋生態系への影響 ②経済的な損失 ③マイクロプラスチック問題
この章では3つの問題について説明していきます。
海洋生態系への影響
海洋生物が海洋プラスチックごみをエサと間違えて飲み込んでしまい、胃や腸に詰まって死んでしまう事例が報告されています。陸に打ち上げられたクジラの胃から、大量のプラスチック製品が発見されたことがありました。
また、海の底に堆積した古い魚網や釣り糸に体が絡まって身動きが取れず死んでしまったり、
堆積するプラスチックごみで体を傷つけられることも報告されています。プラスチック製ストローが鼻に刺さったウミガメや、魚網に絡まって亡くなった海鳥やアザラシが発見されています。
経済的な損失
今や海洋プラスチックごみは、北極や南極、深海のマリアナ海溝など、世界のあらゆる場所で発見されています。美しい海岸に漂着するゴミによって景観を阻害され、観光業にとっても大きな打撃となっています。
また、漁業にも影響が出ていることが報告されています。漁獲用の網にプラスチックゴミが絡まって漁獲量が減少したり、網が使い物にならなくなるという損害が発生しているそうです。
また、これらに加えてプラスチックごみを回収したり、処分するための費用もかかります。日本では「海岸漂着物処理推進法」の基づき、2018年には30億円もの予算を投じてプラスチックごみの回収・処理事業をすすめています。
マイクロプラスチック問題
マイクロプラスチックとは、5mmより小さな破片のプラスチックくずのことです。これは海洋に流れ出たプラスチックごみが長い期間をかけて劣化して細かくなったり、もともと洗剤や研磨剤などに含まれていた成分が海洋に流れ出たものです。
このマイクロプラスチックが漂流中に化学物質を吸着して、それを生物が意図せず体内に取り込むことにより、様々な悪影響があると言われています。決定的な証拠が見つかったわけではありませんが、大きな懸念材料として世界中で研究がすすめられています。
なぜプラスチックが問題になるのか
プラスチックは安価で丈夫な素材なので、さまざまな分野、用途で使われています。丈夫なために、一度ごみとなって海洋に流入してしまうと、なかなか分解されずに、長期間漂い続けます。
また、一度流れ込んでしまうと、回収が容易ではありません。
5mm以下のマイクロプラスチックとなってしまうと、回収はほとんど不可能です。
現状では、プラスチックの使用量が増えれば増えるほど、環境中に蓄積していくと考えられます。
解決のためにできることとは
2018年の国連の報告書『シングルユースプラスチック』(※1)によれば、世界における日本のプラスチックごみの量は5位(1位中国、2位EU、3位アメリカ、4位インド)です。ただし一人当たりの廃棄量でみれば、アメリカに次いで、なんと世界第2位となります。
こうした大量のごみを生み出している国際的な責任を果たすためにも、解決のための取り組みが必要となります。
また、環境省の資料(※2)によれば、2018年の日本では891万トンの廃プラスチックが排出され、うち91万トンが海外にリサイクル資源として輸出されています。
一見、廃プラスチックは正しく再利用されているように見えますが、しっかりした処理体制が整っていない海外の途上国に送り込むことによって、プラスチックごみが現地で海洋に流出する恐れがあります。こうしたことから、少しでもプラスチックごみの量を減らす努力が必要となります。
それには、「3R」の徹底が必要です。
・リデュース(Reduce)
例)買い物へ行く時はマイバッグを持参し、レジ袋の使用を減らす。(ごみを減らす)
・リユース(Reuse)
例)洗剤やシャンプーなどの詰め替えを利用し、本体ボトルを再度使用する。(再利用)
・リサイクル(Recycle)
例)資源の再利用ができるよう、ごみの分別などに協力をする。(再資源)
特に廃プラスチックの半数を占める、「包装・容器類」をリデュースすることが有効です。
一人ひとりのプラスチックごみ削減量はわずかかもしれませんが、それが積み重なることで解決へと繋がります。
世界で広がる取り組みの動向
この章では、世界各国で取られている、海洋プラスチックごみ問題への対策や方針を紹介します。この問題への取り組み意識が高い欧州をはじめとして、アメリカ、中国、そして日本の動きを紹介します。
イギリスでの取り組み
イギリスでは、2020年10月から使い捨てプラスチック製のストロー、マドラー、綿棒の軸の3アイテムについて、有償か無償かを問わず供給が禁止となりました。
毎年、プラスチック製のストロー約47億本、マドラー約3億1,600万本、綿棒の軸約18億本が消費されており、環境に深刻な悪影響を与えている廃棄プラスチック製品による海洋汚染を、この規制により抑制することが目的です。
他にも、既に洗顔用化粧品などへのマイクロビーズへの使用が禁止となっており、今後はウェールズ地方で使い捨てプラスチック製のスプーン、皿などの供給を禁止する法案が検討されています。
フランスでの取り組み
フランスでは、2020年1月1日から、使い捨てプラスチック製のコップ、グラス、皿について、使用が禁止となりました。
さらに2021年には対象商品が拡大されて、ストロー、ステーキ用ピック、コップ用ふた、プラスチックのフィルムが付いた皿、ナイフ・フォークなどのカトラリー、マドラー、発泡ポリスチレンの容器、発泡ポリスチレンのボトル、風船用スティックも使用禁止されております。
アメリカでの取り組み
アメリカではこれまでリサイクルを促進してきましたが、中国が廃プラスチックの輸入を強化したのを機にリデュースへと大きくかじを切り始めています。
カリフォルニア州では、2016年末から大手小売店でのプラスチック製レジ袋の配布を禁止し、たい肥化可能なプラスチックや紙製レジ袋の課金を義務付けています。
ハワイ州では、2011年から、たい肥化できないプラスチック製レジ袋の配布が禁止されました。
さらに2022年以降は、ボトルやストロー、カトラリーを含む使い捨てプラスチック製品と発砲スチロール製容器の購入・販売・使用・配布が禁止され、2023年以降はすべてのプラスチック製レジ袋、2025年以降はすべてのプラスチック製使い捨て飲料容器に対象が拡大される予定です。
また、ほとんどの州で2020年中にプラスチックレジ袋の配布が禁止となりました。
アメリカではバイデン大統領がパリ協定への復帰を表明したため、こうした取り組みについても加速していくことが予想されています。
中国での取り組み
中国は1980年代以降、主に日本や欧米など、世界で輸出された廃プラスチック資源ごみの約半量を輸入して、再利用してきました。しかし、実際には分別できないものが含まれていて、資源化できずに不法投棄されたりしていました。また、国内では急速な経済成長によりごみの発生量が急増したことに加えて、ごみ処理やリサイクルの体制が十分に整っていないため、大きな環境問題が発生していました。
そのため、2018年から、生活由来の廃プラスチックごみの輸入が禁止となりました。
また、国内に向けても2020年に「プラスチック汚染対策の一層の強化に関する意見」を発表し、2022年末までに使い捨てプラスチックを著しく減少させていくこととしています。具体的には使い捨ての発泡スチロール製食器や、マイクロビーズ、非生分解性プラスチック製のレジ袋やストローの生産や禁止などの対策が予定されています。
日本での取り組み
海洋プラスチック問題の解決に向けた日本の取り組みについては、次の3つの対策を基本としてすすめていくことが、環境省から発表されています。
海岸漂着物処理推進法 (2018年6月15日 成立)
海岸の景観や環境保全を目的として、海岸漂着物の円滑な処理と発生の抑制を図るために制定された法律です。
国や地方公共団体の義務、すなわち、海岸漂着物処理のために適切な予算をとること、発生原因を定期的に調査すること、不法投棄防止に必要な措置を取ることなど、が明確に規定されています。
また、マイクロプラスチックについても、国際協力を推進しながら、事業者に抑制のための対策を講じていくこと、などが定められています。
プラスチック資源循環戦略(2019年5月31日 策定)
海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化、アジア各国による廃棄物の輸入規制等の幅広い課題に対応することを目的として策定されました。
3R+Renewable(※)を基本原則として、次の6つの目標が示されています。
※再生材(リサイクルプラスチック)や再生可能資源(紙、バイオマスプラスチックなど)への置き換え
リデュース
① 2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制
リユース・リサイクル
② 2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
③ 2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
④ 2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利用
再生材利用・バイオマスプラスチック
⑤ 2030年までに再生材利用を倍増
⑥ 2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入
この具体的な施策については、既に2020年7月に施行された「レジ袋有料化法案」が該当します。
今後も政府として「プラスチック資源循環促進法」を制定して、飲食店などを対象に、プラスチック製のストローやスプーン、フォークなどを削減する取り組みを義務付けていく方針となっています。
プラスチック・スマート-for Sustainable Ocean-
海洋プラスチック問題の解決に向けて、わが国が国内で取り組んできた様々な取り組みを国内外にアピールして、国内外の更なる取り組みを促して行こうという活動です。
消費者など個人を始めとして、自治体・NGO団体・企業など、あらゆる主体の取り組みが対象となります。
個人は『#プラスチックスマート』とタグをつけてSNSに投稿し、団体は環境省のプラスチックスマートの専用サイトに実際の取り組みを登録、参照することができます。
取り組みに対してはロゴの使用も自由で、優れた取り組みに対しては表彰があり、国内外に発信されます。
各企業での取り組み
それでは、みなさんが知る企業が、海洋プラスチック問題に対して、どんな取り組みをしているか事例を紹介していきます。
スターバックス
スターバックスは、2020年末までに全世界のスターバックスにおいて使い捨てのプラスチック製のストローが廃止され、2020年1月から、FSC®認証紙を使用した紙ストロ―の供給を開始しました。この素材変更により、年間約2億本分のプラスチックストローの削減に繋がるそうです。
また、2020 年11 月からは、現在プラスチックカップで提供しているアイスビバレッジの一部を、ホット・アイス兼用のFSC®認証紙を用いた新たなペーパーカップと、ストロー不要のリッドで提供を始めて、現在では日本国内1,500店全店で導入がされています。
この取り組みを通じて、1杯あたり重量比で約6割のプラスチック使用量が削減でき、年間を通じて約6,100万杯分のプラスチックカップ削減効果を生む見込まれています。
すかいらーく
すかいらーくグループでは、ドリンクバーに常備しているプラスチック製のストローを、2019年7月末に全店で廃止を完了しました。ストローの要望があった際は、トウモロコシ原料の生分解性ストローを提供しています。
また、2019年12月にはテイクアウト用のレジ袋を、2020年2月にはテイクアウトや宅配用カトラリーもさとうきび由来のバイオマスプラスチックへ変更を開始しました。
さらに年間4,900万膳を使用中の竹割箸についても、個包装をプラスチックから紙に変更し、環境に配慮した素材への切り替えをすすめています。
セブン&アイホールディングス
セブン&アイグループでは、持続的な発展と環境問題解決のために環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を発表しました。その中で「プラスチック対策」として2030年までにグループ全体で、プラスチック製レジ袋の使用量をゼロにして紙素材に切り替えすることや、セブンプレミアムなどオリジナル商品に使用する容器の半分以上を環境配慮型素材(バイオマス・生分解性・リサイクル素材・紙など)に切り替えることを目標に挙げています。
また、三井物産と合弁でPETボトルリサイクル工場を新設し、2022年稼働を目指して建設がすすんでいます。店舗で回収した廃PETボトルを供給したり、セブンプレミアム等のオリジナル商品の容器でリサイクルPET素材を使用することを目指しています。
ネスレ日本
世界 190ヶ国で事業を展開する世界最大級の食品飲料企業・ネスレは、製品の包装材料を 2025年までに 100%リサイクル可能、あるいはリユース可能にするというコミットメントを発表しています。
その具体的なアクションとして、2019年9月から、世界で最も「キットカット」を販売している日本市場で、主力製品である大袋タイプ 5 品の外袋を、現在のプラスチックから紙パッケージに変更することを決定しました。この切り替えにより、ネスレ日本では、年間約 380 トンのプラスチック削減を見込んでいます。
紙にすることでプラスチック使用量を削減するだけでなく、消費者が紙パッケージを使い、
日本伝統の想いや願いを伝える象徴の「折り鶴」などをつくって大切な人に想いを伝える、という新しいコミュニケーションを開始しています。
他にも「受験生応援パッケージ」として外袋をお守りとして使えるようなパッケージの製作をするなど、紙パッケージであることを活かした商品展開にも取り組んでいます。
プラスチック問題に取り組むメリット
このように、日本をはじめとして世界中の国々で、プラスチック問題に対する規制や政策が、より厳しくなってきました。
国内においては、大手外食チェーン、食品メーカー、コンビニ、スーパーなど、幅広い業種や規模の企業で、プラスチック問題への対策として、エコ容器・エコ資材の採用が非常に速いスピードで進んでいます。
プラスチック問題に取り組むことは、一人当たりのプラスチックごみ排出量が世界2位のわたしたちにとっての責務ではありますが、同時に企業として取り組む場合にメリットもあります。
ここでは、エコ容器を導入した際に得られる5つのメリットを解説していきます。
① 環境への配慮
1つめは、環境への配慮です。
エコ容器導入による1番のメリットは、いうまでもなく環境保護に大きく貢献できることです。海洋プラスチックごみの削減だけでなく、地球温暖化防止や資源の枯渇防止につながるなど、さまざまな面で環境保護に貢献できます。
② 企業イメージの向上
テレビ番組やネットニュースで環境問題について取り上げられることが増え、消費者にとって身近な話題になり、以前に比べ関心が高まっています。
消費者の関心が高まると環境問題に取り組むことが当たり前という認識が広まり、環境破壊をもたらすような商品を取り扱う企業は消費者から非難されたり、信頼を失う事にも繋がりかねません。
その反面、環境問題に取り組むことで消費者からの信頼を獲得し、企業のイメージアップに繋がります。エコ容器へ移行する事はコストがかかる場合もありますが、その分エコ容器を導入した事例を発信することで、この取り組みが広告となり、集客効果や大きな収益に繋がることもあります。
③ おしゃれなイメージの打ち出し
中食化が進み、飲食店や惣菜コーナーのテイクアウト需要が高まっています。さらにSNSの影響から料理に美味しさだけでなく見栄えやおしゃれさを求める若者が急増しており、今後、容器選びがさらに大切になるでしょう。
エコ容器は低コスト大量生産のプラスチック容器に比べ、クラフト紙や木材、天然素材などを使用しており、材質の特徴をそのまま表現できるため、ナチュラルな雰囲気を出すことができます。それが、商品によってはオシャレにもつながります。お店や料理のテイストに合わせて材質だけでなく、数多くの形状から容器を選ぶこともできます。中身にあったエコ容器で見栄えを良くし、集客率のアップにもつながります。
④ 経営リスクの回避
環境問題は地球上全ての生き物に影響があり、レジ袋の有料化など日常生活に関わることも多いため、関心を示す人が増えてきました。そのため、大手企業だけでなく様々な規模、業種で環境問題への取り組みが進んでいます。つまり環境保護やSGDsへの取り組みに注力しなければ、社会からの信頼を失うだけでなく、ビジネスパートナーを喪失することに繋がりかねません。
社会の流れに遅れを取らないためにも、小さなことから少しずつ環境問題に取り組んでいく必要があります。
⑤ ビジネスチャンスの拡大
環境問題への取り組みが世界中で広まっており、日本でも環境に優しい取り組みを進めることが重要視されるようになっています。
しかし、いきなり利便性の高いプラスチック容器から全てをエコ容器へ切り替えることや、環境保全の取り組みを進めることは難しいと考えます。そのため、自分達に合った、自分達でもできる環境問題から取り組みましょう。
環境問題に取り組む姿勢で、新たな事業や取引先の獲得に繋がりビジネスの拡大を期待することができます。
エコ容器にはどのようなものがあるか
環境問題への取り組みが世界中で広まっており、日本でも環境に優しい取り組みを進めることが重要視されるようになっています。
しかし、いきなり利便性の高いプラスチック容器から全てをエコ容器へ切り替えることや、環境保全の取り組みを進めることは難しいと考えます。そのため、自分達に合った、自分達でもできる環境問題から取り組みましょう。
環境問題に取り組む姿勢で、新たな事業や取引先の獲得に繋がりビジネスの拡大を期待することができます。
バガス容器
バガスとは、「さとうきびの搾りカス」です。従来から主にボイラーの燃料などで使われていましたが、使いきれない場合は廃棄していました。
それを食品容器の原料として再利用するため、非常に環境に優しい容器です。
100%天然素材から作られるため100%生分解できるだけでなく、耐水・耐油性があり、製品によっては電子レンジを使用することもできます。
ただし、一般的なプラスチックに比べるとコストが高く、多少強度が劣る点や、長時間の耐水・耐油性はありませんので、注意が必要です。
FSC認証の紙容器
FSC認証とは、FSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)の基準に則り、適切な森林管理を認証する制度です。
世界中で森林の破壊や劣化が大きな問題となっていますが、木材などの材料は私たちの生活に不可欠なため、森林をまったく使用しないということはできません。 そこで、適切な管理が行われている森林の木を使い、破壊や劣化を招くことなく木材消費を促進しようという取り組みです。このFSC認証の紙から作られた製品を使うことで、プラスチックごみ全体の削減に貢献ができます。
生分解性プラスチック
生分解性プラスチックとは、使用中は通常のプラスチックと同じ機能を持ち、使用後には『一定の条件』の下で分解されて、最終的に水と二酸化炭素に分解される、自然に還るプラスチックです。
ごみとして焼却処理する必要がないので環境負荷が少なく済み、意図せず環境中に排出されても自然に分解されるので、海洋プラスチックごみの削減などに貢献できる素材です。
ただし、現状ではコストが高いことと、分解される条件が非常に厳しい点が弱点です。
このことについては、下記の記事で解説をしています。
バイオマスプラスチック
バイオマスプラスチックとは、トウモロコシやさとうきびなどの生物由来資源を原料にしたプラスチックで、見た目は通常のプラスチックと変わりません。
再生可能なので石油資源のように枯渇することがありませんし、さらに温暖化の原因とされる「CO₂(二酸化炭素)」の排出も抑えることができます。
これは、原材料の植物が、育成過程の光合成によりCO₂を吸収するからです。
仮にバイオマスプラスチックを焼却処分しても、排出されるCO₂は原料として植物が吸収した量と同じということになり、結果的に大気中のCO₂の増減に影響を与えていないという考え方です。
この性質のことを「カーボンニュートラル」と言います。
ただし、バイオマスプラスチックでも、生分解性がないものもあります。この製品では、地球温暖化対策(CO2削減)では有効ですが、海洋プラスチック問題に対しては解決策となりませんので、注意が必要です。
プラスチックに代わる素材・パッケージを導入することでビジネスチャンスを拡大しよう
今回は、海洋プラスチックごみ問題の解決策や、国や企業の取り組み、代替素材の種類について解説しました。
海洋プラスチック問題解決のためには、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の3Rが有効です。
意図せず海洋に流れ込んでしまうプラスチックも一定数あるため、この3Rによって少しでも全体の使用量を抑えることが重要です。
また、世界の国々については、プラスチックごみ問題に対して、非常に厳しい政策を取るようになってきました。プラスチック製のレジ袋やストロー、使い捨て容器やカトラリーなど、対象商品がどんどん拡大しています。
代替素材については、バガス、FSC認証の紙、生分解性プラスチック、バイオマスプラスチックの4種類をご紹介しました。
全ての環境問題を一気に解決してしまう素材はありませんので、それぞれの特徴を生かした用途で使う事が大切です。
プラスチックに代わる素材のパッケージを導入して、ビジネスチャンスの拡大につなげてください!