SDGsとは?
SDGsとは「Sustainable Development Goals」を略したもので、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ぶ、国際社会共通の目標です。
2015年9月に、150カ国を超える世界のリーダーが参加して開催された「国連持続可能な開発サミット」で決められました。
このサミットでは「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。
2015年から2030年までの長期的な開発の指針で、「誰ひとり取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指しています。
そのために2030年を達成期限として定められたのがSDGsで「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」で構成されています。
17の目標には、貧困や飢餓などから、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、21世紀の世界が抱える課題が包括的に挙げられています。
ひとつの問題が、複数の課題につながっていることも少なくありません。
例えば、海洋プラスチックごみ問題は、廃棄物の大幅削減を求める「目標12:つくる責任 つかう責任」だけでなく、温室効果ガス削減を求める「目標13:気候変動に具体的な対策を」海の生態系保全を求める「目標14:海の豊かさを守ろう」などさまざまな課題に関わります。
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」
「SDGs」という言葉は世間一般に浸透し、地球環境に配慮した生産と消費活動が、国や地方自治体、企業だけでなく、私たちひとりひとりに求められています。
SDGsには、私たちが達成すべき「17の目標」が掲げられていますが、ここでは12番目の目標「つくる責任 つかう責任」に焦点を当て、日本のごみ処理問題やリサイクルの現状について解説します。
またSDGsの意識の高まりによって、リサイクルを含めた「3R活動(リデュース、リユース、リサイクル)」の取り組みがより一層強化されるなかで、あらゆる現場において大量に捨てられている素材にも目が向けられるようになりました。
この記事では今まで廃棄されていた素材を有効利用したおすすめのリサイクル商品についてもご紹介します。
SDGs達成にはリサイクルが必要不可欠
SDGsの認知度は年々向上していますが、そのなかの「17の目標」の中身については、よく知らない方も多いのではないでしょうか?
SDGsの17の目標のうち、12番目の「つくる責任 つかう責任」では、リサイクル活動を推進しており、私たちの生活と密接な関わりがあります。
ここからは、SDGsとリサイクルとの関連について解説していきます。
SDGsとリサイクルの関係は?
SDGsの目標12には「つくる責任 つかう責任」が定められており、「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」ということがテーマになっています。
現在の大きな問題点のひとつとして、食品ロスや使えたり売れたりする価値あるモノの投棄が挙げられます。
これらの問題を解決するために、より少ない資源でより多くの良質なものを世界中の人々が享受できる持続可能な生産&消費の形態の実現を求めています。
具体的に「つくる責任」として、生産者側には
- 高品質な資源開発
- 生産過程での廃棄物抑制
- 化学物質などの放出量低減
- 消費者へリユースやリサイクルの呼びかけ
などが求められています。
一方で「つかう責任」として、消費者には
- 無駄遣いの撲滅
- リユースやリサイクル
- 生産者から提供された資源を最大限有効活用していくこと
などが求められています。
このように、生産者には消費者にリサイクルを呼びかけることなどが含まれ、消費者にはリサイクルに協力することなどが求められています。リサイクルはSDGs、特に「つくる責任 つかう責任」を達成するうえで必要不可欠なものなのです。
日本のごみ処理問題とリサイクルの現状
SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」によって、リサイクルが改めて注目されるようになり、世界各国が力を入れて取り組んでいます。
「持続可能な社会」を実現するために解決しなければならないのが、世界のごみ問題です。
廃棄物がリサイクルされずに行き場を失くしてしまえば、気候変動、海洋資源、生物多様性など、さまざまな問題に影響を及ぼします。
そのため、リサイクルを含めた「3R(リデュース、リユース、リサイクル)」を一層強化していくことが求められています。
ここからは、日本のごみ処理問題やリサイクルの現状について解説していきます。
日本のごみ処理問題
「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)」によれば、日本の年間ごみ総排出量は4,272万トン(東京ドーム約115杯分)、1人あたりの1日のごみ排出量は約920グラムになります。
そして、リサイクルが推進される現在でも、ごみの最終処分場の確保は厳しい状況にあります。
最終処分場の残余年数は21.4年と減少しており、ごみ処理場や埋立地が不足すると、新たに敷地を確保するために森林伐採などの自然破壊が必要となります。
また、ごみ処理施設の新設は、近隣住民からの反対などもあるので容易ではありません。
このままごみが増え続けると、ごみの行き場がなくなってしまう恐れがあるのです。
さらに、ごみを処理するには費用もかかります。
ごみ処理には税金が使われており、日本の年間ごみ処理費用は約2兆円にも及びます。
そこで、上記のような問題を軽減するためにも可能な限りリサイクルをして、ごみを減らすことが求められます。
では、日本ではリサイクルがどのくらい進められているのでしょうか。
日本のリサイクルの現状
「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)」によれば、令和元年度の日本におけるリサイクル率は、19.6%で840万トンです。
EU諸国やアメリカ、日本などの先進国35か国が加盟するOECD(経済協力開発機構)により発表されているリサイクル率の統計(2013年度)では、
- ドイツ :65%
- 韓国 :59%
- オーストラリア:58%
となっており、これらの数字と比較すると、先進国の中では日本のリサイクル率は高くはないことがわかります。
日本においては、焼却、破砕・選別などの中間処理されるごみのうち、焼却されるごみが約80%を占めており、ごみを燃やす際に発生するCO2の排出が大きな問題になっています。
このように、日本のごみの処理に関しては焼却処分が主流となっており、ほとんどリサイクルできていないのが現状です。
捨てられていた素材を再利用!おすすめのリサイクル商品
このように、日本のごみ処理問題は深刻化しており、リサイクルへの取り組みは他先進国に比べて遅れを取っているという現状から、各企業や自治体では、リサイクルを含めた「3R活動」を積極的に推進しており、SDGsの目標達成と持続的な社会の実現を目指しています。
そんななかで、今まで大量に廃棄されていた素材にも注目が集まり、それらを有効利用した画期的なリサイクル商品が多数登場しています。
ここからは、主に食品残渣から生まれたおすすめのリサイクル商品を紹介します。
バガスを使用した「BBランチ ラミ」
バガスとは、サトウキビから砂糖を作る際に残る搾りかすのことです。
サトウキビは世界70カ国以上で栽培されている植物で、年間生産量は約12億トン、世界第7位の農作物です。そのうち、世界全体で約1億トンがバガスとして排出されます。
本来は捨てられてしまうはずのバガスを有効利用したのが、バガス容器「BBランチ ラミ」です。
こちらの容器は、バガス・竹を原料とした100%植物由来の容器で、温かみのある風合いのため、ナチュラル感を演出できます。
耐熱温度は110℃で電子レンジが使用でき、表面にはPLAフィルムがラミネートされているため、耐油・耐水性に優れ、さまざまなメニューにご使用いただけます。
また、仕切があるのでおかず同士が混ざりにくく、味移りを防ぐことができます。
※ラミ製品で使用しているPLAフィルムは、コンポストなど一定の条件下で生分解されます。
コーヒー殻を使用した「コーヒーバイオカトラリー」
コーヒーは世界中で愛される嗜好品ですが、コーヒーを抽出後の「コーヒー殻」の大量廃棄を生んでいることが問題視されています。
やなぎプロダクツ株式会社では、今まで捨てられていた抽出後の「コーヒー殻」を特殊技術でプラスチックと合成し、カトラリーとして製品化しています。
バイオマスマーク認定商品であり、包装資材も紙を使用しているので、カフェなど店舗で採用すれば環境活動への取り組みをアピールできます。
お米を使用した「ライスレジンカトラリー」
「ライスレジン」とは、米(非食用)由来の国産バイオマスプラスチックです。
食用に適さない古米、米菓メーカーなどで発生する破砕米など、 飼料としても処理されず、廃棄されてしまう米を、プラスチックへとアップサイクルすることによって、石油系プラスチックの使用量を大幅に下げることができます。
原料の生産、製造とも100%国内で安心感があるのに加え、高品質かつ安定した供給が可能です。
ホウケン産業株式会社の「ライスレジンカトラリー」は、お米が25%含まれており、バイオマスマーク25を取得しています。
これまでの石油由来の製品に比べ、CO2や石油資源を約25%削減し、更にフードロスの削減により、SDGsに貢献します。製品は、強度があり折れにくく、耐熱性(耐熱温度120度)もあります。
卵の殻から生まれた「シェルミン」
「シェルミン」とは、廃棄される卵の殻を使って作られた次世代バイオマス食器です。
「シェルミン」の主成分の半分以上が卵の殻である炭酸カルシウムなので、プラスチックには該当せず、一般廃棄物として処理できます。年間25万トン発生する卵の殻を再利用した環境に配慮したリサイクル商品です。
陶器のような質感で耐久性にも優れ、また軽くて扱いやすく食洗器も使用できるので、ホテル、レストラン、社員食堂での利用が増えています。
廃棄する素材を紙に混ぜ込んだ「スマートパピエ」
「スマートパピエ」とは、株式会社クラウンパッケージが開発した混抄紙で、廃棄する素材を紙の原料として再利用したエコロジーペーパーのことです。
「リサイクルもファッショナブルに」が開発コンセプトで、今までのリサイクル素材の概念を一新するカラフルな色と風合いのパッケージ素材です。
廃棄する素材の再利用は、廃棄物燃焼における温室効果ガス排出の抑制や資源の節約にもつながります。実際にパッケージなど商品化することによって、お客様にも環境活動への取り組みが伝わりやすくなるでしょう。
この章では「スマートパピエ」のラインナップをご紹介します。
ベリーミックス
サプリメントを製造する際に生じるブルーベリーの搾りかすを紙原料に配合しています。
パームヤシックス
パーム油を搾った後に捨てられていたヤシカサを紙原料に配合しています。
カカオミックス
チョコレートを製造する際に生じるカカオ豆の皮(カカオハスク)を紙原料に配合しています。
ティーミックス
茶殻に含まれる有効成分により、抗菌、抗カビ、消臭効果があります。
ササックスグリーン
笹のお薬を製造する際に排出される笹の葉繊維を紙原料に配合しています。
セサミックス
ゴマ製品を製造する際に生じる「ゴマ表皮」を紙原料に配合しています。
ベニックス
食用色素を製造する際に排出される紅花の花びらを紙原料に配合しています。
廃棄素材を利用したリサイクル商品の広がりに注目!
今回はSDGsの17の目標のうち、12番目の「つくる責任 つかう責任」に注目し、日本のごみ処理問題やリサイクルの現状、そして残渣を有効活用したおすすめのリサイクル商品の紹介をしてきました。
SDGsの目標達成に向けて取り組むことは、地球環境の改善だけでなく企業自体の評価を高めるという視点もあるため、今まで捨てられていた残渣の有効な使い道は今後も広がりをみせ、それに関連した技術や商品の開発が進められることでしょう。
そして、環境に配慮した商品のマーケットがすでに主流になりつつあることに注目し、私たちひとりひとりが、SDGsに貢献できる取り組みを積極的に行っていきましょう。