
ナプキン(紙ナプキン)とナフキンの違いとは?

食事の際に利用するナプキンですが、ナフキンと呼ばれることもあります。
両者に違いはあるのでしょうか。
結論からいうと、どちらも英語の「napkin(食事用の小さな布)」という単語から来た言葉であり、呼び方のほかに大きな違いはありません。
英語の発音から考えると「ナプキン」が正しいものの、日本語の「布巾」と混同されて「ナフキン」という呼び方が広まったと考えられています。
英語の「napkin」が布を表すとおり、もともとナプキンは布製が基本です。
日本の飲食店でしばしば目にする紙ナプキンは、日本発祥といわれています。
ちなみに、ナプキンというと女性の生理用ナプキンを指すケースも多いため、区別するために食事に使うものを「ナフキン」と呼び分けるケースもあります。
ナプキンの歴史
今では、食事の場で当たり前のように用いられるナプキンですが、いつ頃から使われているのか歴史を紐解いてみましょう。
ナプキンの発祥は中世ヨーロッパといわれています。
古代から中世にかけてのヨーロッパでは、まだカトラリー類が登場しておらず、手づかみで食事するのが主流でした。
これは身分に関係なかったようで、貴族など位の高い人であっても手づかみで食べていたようです。
こうした食事スタイルに変化が現れるのは12世紀頃のことで、次第にフォークをはじめとしたカトラリーが使われるようになります。
手や口、フォークが汚れたときには、大きなテーブルクロスの端で拭っていました。
現在のような個人で使うナプキンが登場するのは、さらに時代を下った16〜17世紀頃のことといわれています。
当初のナプキンは布製の大きなものでしたが、時代を経て食器が進化していくのに伴い、徐々に小型化していきました。
ナプキンの利用シーンと役割

ナプキンはもともとヨーロッパ発祥であることから、特に布製のものはフレンチやイタリアンなどの洋食店で使用されるケースが多くなっています。
カジュアルな日本料理店で使用されるケースも少なくありません。
また、結婚式をはじめとしたフォーマルな食事の場には、必ずと言っていいほどナプキンが用意されています。
こうした場でナプキンが果たす役割は大きく2つあります。
食事中の汚れを防いだり拭ったりする
ヨーロッパでナプキンが生まれた理由は、食事中についた汚れを拭くためでした。
今でも、口元についたソースや汚れを拭うのがナプキンの大きな役割です。
テーブルマナーとしては膝上に置くのが正しいとされており、ナプキンを膝上に広げることで洋服に汚れがつくのを防ぐ機能も果たします。
食事の終わりを告げる
ナプキンが果たすもう一つの役割が、食事の終わりを告げることです。
膝上のナプキンを食卓の上に置くことで「食事を終えた」という合図になります。
レストランにおける接客時、ナプキンを卓上に置いているお客様を見かけたら、片付けの声がけをしてもよいでしょう。
ナプキンはたたみ方によって、食事や店に対する満足度を表すこともできます。
本来のテーブルマナーでは、くしゃくしゃにならない程度、ラフにたたんで卓上に置くのが正しいとされています。
もし、きれいにたたんでいるお客様がいた場合、不満に思った点があるというサインかもしれません。
ただし、日本ではヨーロッパ式のテーブルマナーが正しく浸透しきっていないため、単にきれいにたたんでいるだけのケースも多いでしょう。
ナプキン(紙ナプキン)の選び方
布製ナプキンや紙ナプキンにはさまざまな種類があり、利用シーンやお店の雰囲気に合わせて適切なものを選ぶのがおすすめです。
以下では、ナプキンの3つの選び方を紹介します。
素材で選ぶ
布製ナプキンは、素材によって格式が変わってきます。
最も格式が高いとされるのはリネンのナプキンです。
肌触りが良く、使っていてもシワが寄りにくいため、結婚式などのフォーマルな場や高級レストランでの使用に最適です。
リネンのナプキンは耐久性が高いのも特徴で、繰り返し洗濯しながら使っても高級感を損なうことがありません。
高級レストランからカジュアルダウンしたいなら、コットン素材のナプキンを選ぶとよいでしょう。
リネンほど高級感はないものの、織り方の種類が多いのが特徴で、ナプキンそのもので個性を出すことも可能です。
また、コットンは吸水性が高く、食べ物や飲み物をこぼしてしまったとき、お客様が服やテーブルを拭くのにも役立ちます。
普段使いの飲食店であれば、紙ナプキンを多く用意しておくのがおすすめです。
紙ナプキンならお客様が遠慮せずに使えるうえ、店側においてもいちいち洗う必要がなく、手間をかけずに済みます。
加えて、紙ナプキンはシーンに応じて、手軽に使い分けられるのもポイントです。
ちょっとした軽食やサービスのお菓子などを提供する際、お皿やカトラリーに色柄の入った紙ナプキンを添えるだけで、ワンランク上のサービスを演出できます。
同じく色柄のきれいなナプキンで食べ物を包めば、お客様用の簡単なお土産にもなります。
サイズで選ぶ
ナプキン選びにおいてはサイズも大切なポイントです。
布製ナプキン、紙ナプキンそれぞれのサイズについて見ていきましょう。
布製ナプキン
結婚式や高級レストランなどでは、ディナーナプキンと呼ばれる50cm角程度の大きめなナプキンが使用されます。
大きめのサイズが好まれるのは、こうした格式高い場はコース料理で品数が多く、服を汚してしまう可能性が高いうえ、お客様が着ている衣服もフォーマルなものが基本だからです。
よりフォーマル度の高い晩餐会などの場では、さらに大きな75cm角のナプキンが使用される場合もあります。
カジュアルレストランでは、ディナーナプキンより一回り小さい、35〜40cm角程度のランチナプキンを使用するのが一般的です。
カジュアルな場ではフルコースほどの品数がなく、アラカルトで注文するケースも多いため、カジュアルダウンした小さめのナプキンが好まれます。
ドリンクをメインとするオーセンティックバーや格式の高いカフェなどでは、さらに小さなハンカチ大のカクテルナプキンを選ぶとよいでしょう。
フィンガーフードをつまんだ指先を軽く拭うのに適しているほか、ドリンクを置くコースター代わりとしても使えます。
紙ナプキン
紙ナプキンが布製のナプキンと異なるのは、折り方の違いによってサイズが分かれていることです。
一般的に飲食店で使われるのは六つ折りサイズで、25cm角程度の紙ナプキンが使用されます。また、同じサイズの紙ナプキンを4つ折りにしたものを用いることもあります。
紙ナプキンの中でも布製ナプキンの代わりとして使えるのが、紙が2層になった「2プライナプキン」です。
一般的な紙ナプキンよりも厚手なので、上質感や高級感の演出にも効果的でしょう。
2プライナプキンでよく使用されるのが、45cm角程度のものを8つ折りにしたタイプです。
大判サイズのため、布製ナプキンと同様に膝上に置いたり、ちょっとしたお皿代わりとして使ったりできます。
他に、25cm角程度や32cm角程度のものを4つ折りにしたものを使うケースもあります。
色で選ぶ

ナプキンといえば白のイメージが強いかもしれませんが、実際にはさまざまな色があります。
ナプキンを用意する場のムードや店の雰囲気・テイストに合わせて、色を変えてみてもよいでしょう。
清潔感やフォーマル感を大切にしたいなら、やはり定番の白がおすすめです。
クリスマスなどのお祝いムードや高級感の演出にこだわりたい場合には、グリーンやレッドのナプキンを用意するのも効果的です。
また、色のあるナプキンはあくまでも装飾用として準備し、膝上に置いたり口元を拭いたりする白ナプキンは別に用意するという方法もあります。
お店の雰囲気やシーンに合わせて選ぶナプキンの折り方
ここまでナプキン自体の選び方を見てきましたが、ナプキンを用意する際には折り方にもこだわりたいところです。
ナプキンは折り方も豊富にあり、折り方次第でテーブルの上の印象が大きく変わります。
素材・サイズ・色に加えて、折り方も、お店の雰囲気やシーンに合わせて好きなものを選ぶとよいでしょう。
以下では、ナプキンの代表的な折り方5種類を簡単に紹介します。
デルタ折り

デルタ折り(三角折り)は、多くのレストランで用いられる最もスタンダードな折り方の一つです。
シンプルかつスタイリッシュながら、立体感があって高級な場にもふさわしいことから、さまざまなシーンで選ばれています。
折り方は次のとおりです。
- 半分に折って、真ん中に折り目をつける。
- 上下の端を折り目に沿うように折る。
- 下半分を上半分に重ねるように折る。
- 上辺の中央を中心として、左右を下側に折る。(紙飛行機のような形にする)
- 上半分の三角になっている部分を下におり、折り目をつける。
- 三角の部分を起こして、下半分の左右の四角を重ねるように折って形を整える。
王冠折り

王冠折りも立体的で高級感を演出できることから、フォーマルな場や高級レストランなどでよく採用される折り方です。
アレンジメントの幅が大きいのが王冠折りの特徴であり、応用編として独自の折り方で特徴を出すこともできます。
折り方は次のとおりです。
- 上から下に向けて半分に折る。
- 左下の角を上辺の中央に向けて、右上の角を下辺の中央に向けて折って、平行四辺形にする。
- 平行四辺形を裏返して真ん中で折ったら、折り込まれた三角形を表に出して2つの山を作る。
- 右側の山を半分に追って、左側の山の折り込み部分に差し込む。
- 折り返して、反対側も④の手順を繰り返す。
- 下部にできた袋部分に手を入れ、立体的に整える。
扇子折り

扇子折りは華やかな印象を与えるため、お祝いの場で特に人気の折り方です。
その形状から「スター(末広)折り」「サンライズ折り」などとも呼ばれます。
2つの異なる色のナプキンを使用して、華やかさを増す演出もお祝いの場に効果的です。
折り方は次のとおりです。
- ナプキンの両端を中央に向かって折る。
- さらに半分に折って、1/4の幅の短冊状にする。
- 山が4つできるようジャバラ状に折る。
- 布が多く重なっているほうを上にして持ち、ジャバラの間から布を引き出す。
- 扇形になるよう形を整える。
花折り(バラ折り)

テーブルナプキンをバラの花に見立てて折るのも、高級感やお祝いムードを演出できておすすめです。
少し手間がかかるものの、ほかの飲食店と異なる雰囲気を演出したいなら、この折り方を取り入れてみるのもよいでしょう。
折り方は次のとおりです。
- 半分に追って真ん中に折り目をつける。
- 上下の端を折り目に沿うように折る。
- 裏返して、上から下に向けて半分に折る。
- 左右の辺を真ん中に向けて折る。
- 左右の下の角を上辺の中央に向けて折り、下向きの三角形を作る。
- 外側に曲げつつ、三角形の右角を左角のポケットに差し込む。
- 重なっている部分を引き出して形を整える。
ナプキンリングを使用する方法も

ナプキンを丸めるナプキンリングを使用して、華やさを演出するという方法もあります。
ナプキンリングは、シンプルなものから豪華な装飾が施されたものまでデザインのバリエーションが豊富で、テーブルを特徴づけるインテリアの一つとして使うのも効果的です。
また、折らずに丸めるだけで見栄えが良くなるため、誰でも簡単にセットできるというメリットもあります。
雰囲気に合ったナプキンでお客様をもてなそう
レストランや冠婚葬祭の場で用いられるナプキンには、お客様が汚れないようにしたり、食事の終わりのタイミングを告げたりする役割があります。
それだけでなく、ナプキンの素材、サイズ、色や折り方にこだわれば、店の格式やムードを表現することができるでしょう。
店の雰囲気に合ったものを選んで、お客様へのおもてなしの気持ちをナプキンで表現してみるのもおすすめです。