表示回数:9491

地球のことを考える研究所

この記事の研究テーマ

  • 衛生
  • エコ
  • 機械
  • フィルム
  • 店舗備品
  • パックスタイル
  • 容器・消耗品
  • その他

プラスチックの代替素材として注目のバガスとは?

2022.07.22

プラスチックごみが深刻化

現在、世界的にプラスチックごみ問題が深刻化しています。プラスチックは安価で大量生産に向いていることから、食品容器やカトラリーなどの使い捨てプラスチックが多く使用されています。
しかし、使い捨てプラスチックは石油から作られてた有限資源であるため、枯渇してしまう恐れや、製造から焼却までの過程で大量に二酸化炭素を排出してしまうことが問題視されています。
また、使用済プラスチックが適切に処理されず、海に流されることによって、海洋プラスチックごみ問題が深刻化してしまうことが懸念されています。

海洋プラスチック

これらの問題を解決するためにも、使い捨てプラスチックの使用量を削減していくことが求められています。
そこで、容器に使用する使い捨てプラスチックの代替素材として、折兼が力を入れて開発に取り組んでいる素材が「バガス」です。

この記事では、バガスがどんな素材なのかや、バガスのメリットをわかりやすくご紹介します。

食品業界でのプラスチックごみ問題

この章では、食品業界のごみ問題や使い捨てプラスチックの社会背景についてご紹介します。

過剰包装

プラスチックごみ問題が深刻化する原因の一つとして、食品を二重三重に包装する過剰包装が挙げられます。
特に日本では衛生に厳しく、外袋の他に小袋に入れるといった過剰に包装された商品が多くあります。小分けになっていることで食品を保存するには適していますが、プラスチックごみを増やしてしまうデメリットがあります。
また、何か贈り物をする際に、包み紙やラッピング袋できれいにラッピングした状態でプレゼントする日本の包装文化も、過剰包装の原因の一つとなっています。

テイクアウト需要の高まり

お弁当を温める

新型コロナウイルス感染症による外出自粛で、テイクアウトやデリバリーの需要が高まりました。テイクアウトでは、使い捨て容器が使用されることが多く、大半の素材がプラスチックからできており、プラスチックごみ増加の問題につながったと考えられております。
 
今後、自粛が緩和されて外出が増える見込みですが、共働きの増加や、お店の味を自宅で楽しめる手軽さから、継続してテイクアウト需要が続いていくことが予想されています。

プラスチック資源循環促進法

プラスチック資源循環促進法

2022年4月1日より、使い捨てプラスチックの使用量削減を目的として、プラスチック資源循環促進法が施行されました。この法律は、政府が全国チェーンの大手スーパーマーケットやコンビニエンスストア、飲食店、ホテル、クリーニング店を対象に、年間5トンの使い捨てプラスチック製品の使用量削減を義務付けています。
この法律によって、各企業は使い捨てプラスチック製品の有料化やエコ素材への切り替えることが求められるようになりました。

削減の対象となるアイテムは、以下の通りです。

  • 【飲食店・小売店】プラスチックストロー・マドラー・スプーン・フォーク・ナイフ
  • 【ホテル】歯ブラシ・シャンプーキャップ・カミソリ・ヘアブラシ・クシ
  • 【クリーニング店】ハンガー・衣類カバー

実際に、各企業は対象アイテムのエコ素材切り替えや有償配布に取り組むほか、ストローが要らない飲み口の蓋を採用したり、初めから蓋を付けずに提供したりする店舗も増えています。
また、ホテルでもアメニティを部屋に置かず、受付近くにアメニティコーナーを設置するホテルが増えてきました。
その他にも、クリーニング店では使用済みハンガーを回収し、リサイクルに協力してくれたお客様にポイント還元するなど、使い捨てプラスチックの削減に取り組んでいます。

環境に優しいバガスとは?

折兼では、使い捨てプラスチックを削減する目的で、エコ素材商品の開発に取り組んでいます。中でも、100%植物由来原料で作られるバガスシリーズの商品開発に力を入れています。
 バガスとは、さとうきびを圧縮した後に出る搾りかすのことで、さとうきびから糖汁を搾り取り、排出される茎や葉などの繊維部分を指します。
 
この章では、実際にバガスがどのように環境に貢献しているのかを紹介していきます。

二酸化炭素排出量の削減に貢献

植物を原料に製造されたバガス容器は、石油資源を使用しないため、二酸化炭素排出量の削減に貢献することができます。
また、原料となる植物は成長段階で光合成をしており、使用後の燃焼時に発生する二酸化炭素は光合成で体内に吸収したものであるため、カーボンニュートラルが成り立つと考えられております。

当社調べの研究によると、バガス容器が製造されてから使用後に処理されるまでのLCAの観点で、プラスチック容器と比較して80%以上の二酸化炭素削減効果があると言われています。この結果から、紙やバイオマスプラスチックなどその他のエコ素材と比べても、特に二酸化炭素排出量を削減できていることがわかります。

廃棄される植物を有効的に活用

さとうきびは、世界70か国以上で栽培されており、1年間で約12億トン生産され、そのうち1億トンがバガスとして排出されています。排出されたバガスはボイラーの燃料や製紙などに活用され、折兼では余ったバガスを容器の製造に活用しています。

また、竹は成長が早く竹害につながるもの、麦は非可食部である皮の部分を容器として使用しているため、廃棄される植物の有効活用に繋がっています。

バガスの説明

バガスの特長や製造工程などは、以下の動画で詳しくご紹介しております。

自然に還る特徴を備えている

バガス容器はすべて植物由来の原料から作られ、成型時も接着剤等を使用していないため、万が一自然界に流出しても微生物による分解で自然に還る生分解性を有しています。
2020年10月の北九州市立大学の研究発表によると、土中に埋めたバガス容器は76日、海洋では156日、コンポストでは1日で分解されたことがわかりました。

一方で、プラスチックは自然界に流出した場合、長い年月を経て衝撃や劣化によって微細化はするものの、完全に分解することは無く、半永久的に自然界に残り続けてしまいます。
 実際に、海では釣り糸やルアー、釣り餌容器などが海に流され、生き物の生命を脅かす危険も発生しています。

この問題を解決するために、折兼は関西で釣り具店を展開するフィッシングマックス様と共同で「バガス製の釣り餌容器」を開発しました。
この容器は、2022年6月1日より各店舗において順次切り替えが進んでおり、環境にやさしいだけでなく、直射日光を防ぐため元気な釣り餌で釣りができるメリットがあり、多くの方に好評をいただいております。

魚と釣り餌容器

バガス容器の機能

使い捨てプラスチック容器の代替品となるバガス容器ですが、植物由来の容器になることで、油染みが発生したり、水漏れにつながってしまうのでは、という不安の声があります。
しかし、折兼グループであるパックスタイルのバガス容器は、耐熱性、耐油・耐水性などさまざまな面において、食品容器として問題無く使うことができます。

ホットメニューにも冷凍メニューにも使える耐熱・耐寒性

パックスタイルのバガス容器は電子レンジに対応しており、温めなおして召し上がることができます。(オーブンでの使用はご遠慮ください。)
さらに、十分な厚みがあるため熱が伝わりにくく、ホットメニューを入れて手に持っても火傷しにくいというメリットもあります。
そのため、お年寄りや小さなお子様がいる家庭でも安心して使用できます。

また、冷凍にも向いており、プラスチックと比べて衝撃を加えても割れにくく、最近では冷凍弁当や冷凍自販機で販売する食品容器としても活躍しています。
プラスチックであれば、耐寒温度を超えて耐え切れず割れてしまった場合、破片となって異物混入する危険性がありますが、バガスであれば割れる恐れも無く、安心して使用することができます。

油分や汁気の強いメニューでも安心の耐油・耐水性

バガス容器は、紙容器と比較すると耐油・耐水性に優れています。
食材を入れた状態で24時間経過しても、容器の変形や破れ、容器裏への水気浸透は発生しませんでした。※弊社調べ
 
また、容器にお米がこびりついてしまうことに抵抗感があるというお客様の声をもとに、日本市場に合わせてPLAラミネートコーティングがされた容器も開発し、お客様のニーズに合わせた選択ができるようになりました。

お米の付着を防ぐPLA加工の説明

アウトドアにも相性が良い、バガス容器の使い方

バガス容器はアウトドアやSNS映えにも相性の良い容器です。
この章では、おすすめのバガスシリーズの使い方をご紹介します。

SNS映えを意識したランチボックスに

エコなテイクアウト容器とカトラリー

SNSが普及して、料理に対して美味しさだけでなく、見栄えも重視されるようになりました。
 
バガスシリーズは、プラスチックと比べて植物由来の自然な色味で柔らかい風合いを演出できるため、おしゃれで見栄えのいいランチボックスを作ることができます。
 
手作り弁当にバガスを取り入れてみたり、テイクアウトしたお弁当をピクニックで撮影すると、ナチュラル感が出ておしゃれな雰囲気を出すことができます。

キャンプやピクニックなどのアウトドアに

ECO COLLECTION

2021年11月より、5枚入りパック「ECO COLLECTION」の発売を開始しました。
このパックは一般消費者向けの小売りパックとして、どんぶりやカレー容器、弁当容器、などのさまざまな種類展開をしながら、ホームセンターを中心に販売が進んでいます。

ECO COLLECTION使用例

使い切りできる5枚入りで、使用後は燃えるごみとして簡単に処理できることから、ピクニックやキャンプにぴったりな容器となっています。

ラッピングをすることでオリジナルのギフトに

バガス容器は食品容器としてだけでなく、ラッピング用の容器としてもおしゃれな演出ができ、非常に相性が良い素材です。
 
例えば、容器の梱包にシールやリボンを合わせることで、バレンタインやクリスマスのラッピング容器として使うことができる他、紙パッキンを敷いて雑貨を入れることでプレゼント用のラッピングボックスにすることもできます。
 
通常のラッピングボックスを使用するよりもナチュラル感が出て、SNS映えすると評価をいただき、実際にコスメショップや雑貨店でのラッピングボックスとしての採用も増えています。

環境に優しい素材を意識して探してみよう

普段、テイクアウトや食品包装を目にしたとき、どんな素材が使われているか意識して目を向けてみると、環境にやさしい素材やプラスチック素材について勉強することができます。
これから商品を購入するとき、少しでも環境にやさしい商品を意識して選ぶことが大切です。
 
小さなことから、1つずつ始めてみませんか。

この記事をシェアする

Related Post

関連記事

Theme Index

研究テーマ一覧

記事一覧へ戻る