ドギーバッグとは?
SDGsの取り組みの一環として、食品ロス削減は世界的な問題となっています。まだ食べられる食品が捨てられてしまうのを防ぐには、飲食店と消費者両方の行動を変えることが重要です。
食品ロス削減に繋がる行動のひとつとして、「ドギーバッグを使用して食べ物を持ち帰ること」が挙げられます。
ドギーバッグとは、レストランなど飲食店で外食した際に食べきれなかった料理を持ち帰るための容器・袋のことです。
もともとは「食べきれなかった料理を家にいる犬のために持ち帰る」という建前で使われていたため、このような名称で広まったとされています。
最近では、「box」や「to-go box」という言葉で持ち帰り容器を指すことも多いようです。
今回は、ドギーバッグを使用するメリット・デメリットや、海外や日本でのドギーバッグ事情についてご紹介します。
ドギーバッグのメリット
ドギーバッグを使用して食品を持ち帰るメリットは数多くあります。
- 残った料理を廃棄せずに済み、食品ロスを削減できる
- 料理の食べ過ぎを防げる
- 食品ロスの処分に伴う環境への負荷を軽減できる
- 飲食店側は廃棄コストを削減できる
- 環境に優しい素材や繰り返し使える素材の容器の使用で環境問題の改善に繋げることができる
このように、食べきれなかった料理を廃棄せずに持ち帰るという行動ひとつで様々なメリットがあります。食品ロスにならないよう気を付けていてもつい注文しすぎてしまったり、予想以上に量が多く食べきれなかった時には、ドギーバッグを活用するのがおすすめです。
ドギーバッグのデメリット
ドギーバッグで食品を持ち帰る際にはデメリットもあります。
- 食中毒のリスクがあるため、衛生管理を徹底しなければならない
- 衛生管理上の問題で、持ち帰りができない場合もある
食べきれなかった料理を持ち帰る消費者は、食中毒のリスクがあることを理解して自己責任で行う必要があります。食中毒予防の知識を付け、食中毒の原因を「つけない」「増やさない」「なくす」を原則に衛生管理に気を付けて持ち帰りましょう。
食べる際にも注意し、安全のためには持ち帰った食品を廃棄するという判断が必要な場合もあります。
飲食店側は、注意事項の説明など食中毒を予防する工夫を行うほか、リスクの高い食品や環境での持ち帰りを断ることも必要です。
食品ロス削減は重要な課題ですが、持ち帰りへの対応は安全を第一にできる範囲で行いましょう。
海外のドギーバッグ事情
日本ではまだ馴染みの薄いドギーバッグですが、海外ではどのような状況なのでしょうか。
ここからは、海外での持ち帰りの習慣を解説します。
ドギーバッグを使用する国
アメリカや中国などの国では、ドギーバッグを使用して食べきれなかった料理を持ち帰る習慣が浸透しています。飲食店側が事前に持ち帰り用の容器を用意し、食べきれなかった際に提供する形式の所が多いようです。
食べきれなかった料理を持ち帰る人が多ければ、ドギーバッグを使って持ち帰るハードルが下がります。もし料理が食べきれなかった時でも、持ち帰って美味しく食べることで食品ロスを防ぐことができます。
ドギーバッグを使用しない国
ドギーバッグでの持ち帰りが普及している国がある一方、ドギーバッグを使用することが一般的ではない国もあります。
フランスでは「食べきれなかった料理を持ち帰るのは恥ずかしいこと」と考える傾向があり、料理を食べきれなかった場合でもドギーバッグを使用することに抵抗があるようです。
2014年の農業省の調査では59%がレストランで食べ残しをし、70%が持ち帰りの経験がないという結果が出ました。
食品ロス削減のため変化も
ドギーバッグの使用が一般的ではないフランスでも、食品ロス削減という課題解決に向けて変化が起きています。
2013年には「2025年までに食品廃棄量50%削減」を目標に掲げ、2016年には延べ床面積400平方メートル以上の食品小売店に対し、販売されなかった食品をフードバンクに寄付または飼料・肥料として再利用することを義務付ける法律を公布しました。
食品ロス削減への取り組みとして、飲食店での食べ残し対策も重視されています。
ドギーバッグではなく「グルメバッグ」という名前を提案したり、グルメバッグのロゴを作り、食べきれなかった料理の持ち帰りが普及するよう働きかけています。
世界的に食品ロス削減への問題意識が高まるなか、人々の行動を変えるために様々な働きかけが行われていることが分かります。
日本のドギーバッグ事情
海外と同じく、日本でも食品ロスは深刻な問題となっています。
ここからは日本の食品ロス、ドギーバッグの現状について紹介します。
日本の食品ロスの現状
日本では、1年間に約522万トン(2020年度推計)もの食品が捨てられています。
日本の人口1人あたりで考えると、毎日おにぎり1個分(113g)の食品を捨てていることになります。
年間約522万トンの食品ロスのうち、売れ残りなどで発生する事業系食品ロスが約275万トン、買った食品を食べずに捨ててしまうなどで発生する家庭系食品ロスは約247万トンです。
食品が大量に生産・輸入されているにも関わらず、その多くが食べられずに捨てられているという現状があります。
日本でも食品ロス削減を促進するため、農林水産省がポスターを作成し啓発月間を定めるなどの取り組みが行われています。
日本でのドギーバッグ普及率は?
食品ロスを防ぐため、日本でもドギーバッグの普及活動が行われています。
2008年時点では認知度1%という結果だったドギーバッグは、「ドギーバッグ普及委員会」設立後の2009年12月には認知度が30%まで上昇しました。
以前は衛生管理などの問題で持ち帰りを断る店も多くありましたが、2019年に施行された「食品ロス削減推進法」以降は持ち帰りを許可する飲食店が増えています。
しかし、前述したアメリカなどドギーバッグの使用が浸透している国ほどの普及率ではありません。
日本でも飲食店と消費者双方に食べきれなかった料理を持ち帰ることが自然な流れとして広がり、安全にドギーバッグを活用していけば食品ロスを削減することができます。
「mottECO(もってこ)」とは
環境省、消費者庁、農林水産省、ドギーバッグ普及委員会が2020年に行った「Newドギーバッグアイデアコンテスト」では、飲食店で食べきれなかった料理を持ち帰る行為の新しい名称として「mottECO(もってこ)」が選定されました。
「mottECO(もってこ)」というネーミングには、「もっとエコ」「持って帰ろう」というメッセージが込められています。
「食べ残しを持ち帰ると、美味しくて笑顔、無駄が無くて笑顔、自分もエコに貢献できたことに笑顔」「人々が笑顔になる」というコンセプトのロゴと共に、ドギーバッグを使用した料理の持ち帰り普及活動に使われています。
「mottECO(もってこ)」導入事例
「mottECO(もってこ)」は、大手飲食店でも導入されています。
ロイヤルホールディングス株式会社が展開している「ロイヤルホスト」、株式会社セブン&アイ・フードシステムズが展開する「デニーズ」です。
関東・関西圏のロイヤルホスト26店舗、デニーズ34店舗を対象として、2021年5月から2022年2月まで実証実験という形で実施されました。
料理を食べきれなかった消費者へ持ち帰り専用の容器を提供して利用できる仕組みを作るだけではなく、環境負荷を考え100%植物由来素材の持ち帰り容器を採用。従業員や消費者への啓発を行いました。
また、2022年5月には上記2社と「和食さと」のSRSホールディングス株式会社、「東京ステーションホテル」などの日本ホテル株式会社が環境省の「mottECO導入モデル事業」へ採択されました。
更なる食品ロス削減に向け、共に普及活動に取り組んでいます。
おすすめの持ち帰り容器を紹介!
最後に、ドギーバッグとして使用するのにおすすめの容器を紹介します。
デリメイト TK125 ブラウン
取手付きで持ち運びに便利な紙製容器。 嵌合容器が付いているので、料理を分けて入れられます。
BBランチ180-130
成長の早い竹とサトウキビの搾りかすを原料にした容器。 耐油・耐水で電子レンジでの温めにも対応しています。
KMランチボックス 未晒 M
カジュアルな雰囲気がおしゃれなランチボックス。 耐油・耐水に優れた特殊紙を使用しており、直接食品を入れても安心です。
ドギーバッグで食品ロス削減!
ドギーバッグのメリットデメリット、世界の食品ロス問題への取り組みとおすすめの持ち帰り容器を紹介しました。
SDGsへの意識が日々高くなっていくなか、食品ロスへの対応策は重要な課題となっています。
飲食店と消費者双方の行動の積み重ねが食品ロスを防ぎます。
まずは小さな行動から、ドギーバッグを使ってみることから始めてみることをおすすめします。