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使い捨て容器に使われている環境にやさしい素材を紹介

2023.03.10

環境問題が深刻になっている

プラスチックごみ

現在、世界中で海洋プラスチックごみ問題や地球温暖化などのさまざまな問題が発生しています。
私達が日常で使っているプラスチックは透明(とうめい)で中身が見える、水や油が染み込みにくいなど低価格なのに高い機能性があり、とても便利な素材です。
 
しかし、プラスチックの製造には二酸化炭素を多く排出する石油を使用していたり、
海にプラスチックごみが流れ、海の生き物の生命に危険を与えるなどの問題が起こっています。
そこで、この問題を解決するために環境にやさしい素材がたくさん開発されています。
 
この記事では、環境にやさしい素材についてご紹介します。

環境にやさしいプラスチック素材

環境にやさしいプラスチックとして、植物やリサイクルされた原料から作られたプラスチック、特定の環境で分解(ぶんかい)されるプラスチックなどが存在しています。
これらのプラスチックは、製造(せいぞう)時に使用する石油の使用量を減らす効果があります。

また、一部の分解するプラスチックはプラスチックごみをへらすことができるため、海洋プラスチックごみ問題の解決にも貢献(こうけん)します。
エコプラスチックは環境に配慮(はいりょ)しながらも、通常のプラスチックとほとんど変わらない高い機能を持っているため、油分の強いメニューや汁物(しるもの)など幅広(はばひろ)いメニューに使用することができます。

一方で、見た目がプラスチックのため、エコ素材であることが伝わりにくいというデメリットもあります。

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチック

サトウキビやトウモロコシなどのような植物を原料として作られているプラスチックをバイオマスプラスチックと呼びます。

【メリット】
植物原料を使用することで石油資源の使用量を削減(さくげん)することができます。また、原料となる植物は光合成(※1)で二酸化炭素を吸収しているため、カーボンニュートラル(※2)が成り立ちます。

デメリット】
必ずしもすべてのバイオマスプラスチックが分解する力を持っているわけではなく、一般消費者に勘違かんちがいされやすい点がデメリットです。

※1光合成:植物が成長するのに、二酸化炭素(CO₂)と水(H2O)を吸って酸素を出すこと。
※2カーボンニュートラル:二酸化炭素をあらゆる方法で吸収し、全体の量をゼロにする考え方。

リサイクルプラスチック

リサイクルプラスチックの容器

リサイクルプラスチックとは、使用したプラスチックトレーやペットボトルなどを回収して、再度生まれ変わったプラスチックのことを指しています。
回収ボックスはスーパーマーケットなどに設置されることが多く、洗浄してきれいにしたものを回収し、選別して再度ペレット化(※)しています。

【メリット】
リサイクルプラスチックを原料として配合することで、新しい石油資源の使用量を削減することができます。また、一般消費者も容器を持ち寄ってリサイクルに参加することで、一般消費者、地域、企業が連携してリサイクルに取り組むことができます。

【デメリット】
リサイクル原料は一度使用した原料を再利用することになるので、新しいプラスチックと同じレベルの品質を保つことが難しい点がデメリットです。

※ペレット化:プラスチックをつぶ状に細かくすること。

石灰石+プラスチック(LIMEX)

LIMEXの容器と袋

石灰石を主原料として作られたプラスチックです。

【メリット】
石灰石は世界中で大量に存在しており、日本でも自給率100%を超えているため、原料として長く使い続けることができます。プラスチックと石灰石によって高い耐久性(たいきゅうせい)(※1)と(たい)油性(ゆせい)(※2)を持っており、レジ袋やコップ、弁当容器などさまざまな用途で使用することができます。

【デメリット】
焼却する際に焼却(しょうきゃく)()を痛めてしまう可能性もあります。

※1耐久性:外部からの力に耐える性質。
※2耐油性:油による影響の受けにくさのこと。

紙+プラスチック(MAPKA)

MAPKAの容器とカトラリー

プラスチックに紙パウダーを混ぜて作られたプラスチックです。

【メリット】
紙原料を50%以上入れているので紙製品に分類され、燃えるごみとして処分することができます。プラスチックが含まれているため、紙製品でありながらプラスチックのような高い強度を備えています。

【デメリット】
見た目がプラスチックであるため紙製品であることが理解されにくく、一般消費者が燃えるごみ、燃えないごみどちらで処分すると良いのか混乱する可能性があります。

でんぷん+プラスチック

でんぷん+プラスチックと容器

成長が早い工業用のとうもろこし原料のでんぷんとプラスチックを混ぜて作られた素材です。

【メリット】
とうもろこしでんぷんを使用することで石油の使用量を削減するほか、焼却する際の二酸化炭素を通常よりも30%以上削減することができます。
食事が終わったら小さくつぶして捨てることができるので、ゴミの減量化にもつながります。

生分解性プラスチック

生分解性プラスチックの容器とカトラリー

生分解性プラスチックとは、特定の環境で時間の経過とともに分解するプラスチックを指します。

【メリット】
生分解性プラスチックは微生物びせいぶつの働きによって土中や海洋、コンポスト(※)において一定期間経過すると分解します。そのため、プラスチックごみの削減さくげん貢献こうけんすることができます。

【デメリット】
耐熱(たいねつ)温度(おんど)が他のプラスチックと比べて低いため、スープのようなホットメニューを入れると変形したり、全ての環境で必ずしも分解するわけではない点がデメリットとして挙げられます。
 
※コンポスト:生ごみを入れて腐敗・発酵させて肥料を作る機械。

プラスチックを使用しないエコ素材

エコ素材の容器

プラスチックを一切使用しないで作られたエコ素材も存在します。
これらの素材は植物原料から作られており、植物の色味が容器本体に現れておしゃれなイメージやナチュラル感を演出できることが特長です。見た目から植物由来で環境にやさしいことが一般消費者にもわかりやすく、環境問題への取り組みが伝わりやすいというメリットがあります。
一方で、プラスチックと同じくらいの耐油・耐水性が無いことが多いため注意が必要です。

バガス

バガスの容器とカトラリー

【メリット】
サトウキビを(しぼり、砂糖を作ったあとの(しぼりかすを「バガス」と言います。
バガスに竹や麦の皮を混ぜて作られた素材でできた容器・カトラリーは、本来廃棄される原料の有効活用につながります。また、海洋・土・コンポストにおいて分解する性質を持っているため、海洋プラスチックごみの解決に貢献(こうけん)します。
さらに石油を使用しないため、パックスタイルのバガス商品は製造から焼却(しょうきゃく)までの間でプラスチックと比較して80%以上の二酸化炭素排出量(はいしゅつりょう)削減(さくげん)することができます。

【デメリット】
プラスチックと比較すると水分や油が染み込みやすく、中に入れたお米がくっつきやすいというデメリットがあります。
パックスタイルでは、この問題を解決するために生分解性のあるPLAラミネートを内側にコーティングしたバガス容器も開発しました。水分や油が染み込みにくく、お米が容器にくっつくことも防げるので、バガスのピザ容器や寿司容器のようなオリジナル商品を作ることができるようになりました。

紙素材

紙の容器と袋

木材パルプから作られた紙素材です。

【メリット】
他のエコ素材と比べると安く大量生産しやすく、印刷が可能です。また、さまざまな形の商品を作る事ができます。使い捨て容器だけでなく、手軽に使える惣菜(そうざい)(ふくろ)なども販売されています。

【デメリット】
油や水が染み込みやすいのと密封性(みっぷうせい)が高くないデメリットがあるため、油や汁気の強いメニューには相性が良くありません。

木製素材

木製の容器とカトラリー

たこ焼きの容器や割り箸などに使われれる素材として木材があります。

【メリット】
木材は種類によっては高級感を演出することができます。また、木材の種類によって香りが異なるため、香りの演出をすることもできます。

【デメリット】
材質によっては油や水分が染み込みやすくなったり、コストが高くなってしまう場合が多いです。
木材は材質によって特長や値段が異なるため、メニューや用途に合わせて適切に使い分けることが大切です。

竹素材

竹の容器とカトラリー

【メリット】
竹は木材と比べて成長が早く、多く栽培(さいばい)することができます。
また、強度があって折れにくいのに木製と比べても軽量のため、容器だけでなく割り箸など幅広(はばひろ)い使い方をすることができます。

【デメリット】
湿気(しっけ)に弱く、湿度(しつど)が高い環境ではカビが発生するリスクがあるため、在庫管理で注意しなければならない点がデメリットとして挙げられます。

世の中にはエコ素材がたくさん

周囲の人と話すイメージ画像

世の中にはたくさんの環境にやさしい素材が存在しています。
それぞれの長所・短所を理解して、切り替えられるところは進んでエコ素材の商品を選ぶことで環境問題の解決に貢献(こうけん)することができます。

教育関係者の方へ

折兼では、子ども達とSDGsを学ぶESDの活動に力を入れております。
現在、地域の小学校、中学校、高校を対象に、環境問題を学ぶ課外授業に対応しています。

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