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ボイル殺菌とレトルト殺菌の違いについて詳しく解説

2023.10.06

食品の菌増殖の原因・その対策である熱処理について

食品の表面や内部には細菌やカビ、酵母などが存在するため、そのまま保存するといずれ腐敗します。食品を安全に保存するには、これらの微生物を除去しなければなりません。
その方法の1つとして、ボイル殺菌やレトルト殺菌をはじめとする「熱殺菌」があります。
本記事では、ボイル殺菌とレトルト殺菌の違いやメリット・デメリット、使い分けのポイントなどについて詳しく解説します。

熱処理について

厨房に並ぶ鍋

熱処理の方法や特徴、有効な食品事例について詳しくみていきましょう。

熱処理とは

熱処理とは、「焼く」「蒸す」「茹でる」などの調理・加工で食品に熱を加え、微生物を除去する方法のことです。熱の入れ方によって食品の味や色、風味などが変化するため、食品の性質に応じて適切な方法で熱処理する必要があります。

熱処理が有効な食品事例

肉類や卵、魚介類は、よく加熱することで表面や内部に存在する微生物を除去できます。
ただし、微生物を除去しても、保存方法に問題があると微生物が再び付着し、時間経過によって腐敗・変性する恐れがあります。

微生物の種類と増殖温度帯

微生物とは、目に見えないほどに小さな細菌やウイルス、原生動物などを指しますが、食品衛生における微生物は、主に細菌のことを指します。
細菌は、増殖に適した温度に応じて次の3つに分かれています。

  • 低温菌……12~18℃
  • 中温菌……30~38℃
  • 高温菌……55~65℃

食品に関連する細菌の代表例は、サルモネラ菌や黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、カンピロバクター、ウェルシュ菌、セレウス菌などです。

ボイル殺菌について

鶏肉をボイル殺菌する様子

熱処理の中でも、ボイル殺菌の特徴やメリット・デメリットについて詳しくみていきましょう。

ボイル殺菌とは

ボイル殺菌とは、包装した食品を茹でて加熱する方法のことで、一般的には「湯煎(ゆせん)」と呼ばれます。使用するのは水の沸点である100℃までの湯のため、100℃未満の加熱が有効な微生物のみ除去できます。100℃以下の加熱でも殺菌できる食品に向いている方法です。

ボイル殺菌のメリット

ボイル殺菌のメリットは次のとおりです。

  • 100℃以下の熱処理が有効な細菌を死滅できる
  • 大がかりな設備が不要なため導入コストが低い
  • レトルト殺菌と比べて必要なスペースが小さい
  • 一度に大量の熱処理ができる

このように、ボイル殺菌は簡単かつ低コストで行えます。

ボイル殺菌のデメリット

ボイル殺菌は、100℃以上の加熱が必要な微生物が付着している食品には適していません。
例えば、ボツリヌス菌を死滅させるには、芯温(中心温度)が120℃で4分以上、または100℃で6時間以上の加熱が必要です。
後者のような長時間の加熱に耐えられるフィルムの用意や調理には多額のコストがかかるため、100℃で死滅しない菌にはボイル殺菌よりも短時間で処理できるレトルト殺菌の方が適しているでしょう。

ボイル殺菌が有効な菌

ボイル殺菌が有効なのは、次のように芯温(中心温度)が100℃以下の加熱で死滅する菌です。

  • 病原大腸菌
  • サルモネラ
  • 黄色ブドウ球菌
  • ビブリオ菌
  • カンピロバクター
  • セレウス菌(芽胞)

細菌の種類や細かい症状などについては下記の記事をご覧ください。

レトルト殺菌について

レトルト食品を鍋で温める様子

続いて、レトルト食品の特徴や殺菌方法、メリット・デメリットなどについて詳しくみていきましょう。

レトルト殺菌とは

レトルト殺菌とは、専用の容器に入れた状態で高温・高圧で殺菌する方法のことです。
使用するレトルトパウチは密閉されているため、加圧高温殺菌後に細菌が再び付着することはありません。包装規格が食品衛生法で定められており、十分な強度や密閉性、遮光性が求められます。
 
また、加圧加熱殺菌によって微生物は死滅するため、レトルト食品に保存料や殺菌料などは使用できないことが食品衛生法で定められています。

レトルト殺菌のメリット

レトルト殺菌のメリットは次のとおりです。

  • 100℃以上の加熱でなければ死滅しない細菌に対応できる
  • 保存料や殺菌料を使用しなくても安全に保存できる
  • 常温保存でも食品が長期間劣化しにくい
  • 湯煎で簡単に調理できるほか、電子レンジで調理できるものもある

さまざまな細菌に対応できて長期間の常温保存ができる点はレトルト殺菌の大きなメリットです。

レトルト殺菌のデメリット

レトルト殺菌は、一般的にカレーやシチューといった液体状のものや牛丼や中華丼の具、煮魚などに用いられていますが、100℃以上の加熱で味や色、香りが変化する食品には向いていません。
また、レトルトパウチを含む「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」は殺菌時間や方法、容器包装などの規格基準が細かく定められているほか、ボイル殺菌と比べて大がかりな設備が必要であるなど、生産体制の確保に手間とコストがかかります。

レトルト殺菌が有効な菌

レトルト殺菌は、芯温(中心温度)が100℃以上の加熱で死滅する細菌に対して有効です。
例えば、ボツリヌス菌(芽胞)を死滅させるには、100℃で6時間以上、もしくは120℃で4分以上の加熱が必要です。つまり、100℃までしか加熱できないボイル殺菌では6時間以上掛かりますが、100℃以上のレトルト殺菌であれば4分で完了するため、後者の方が適しているといえるでしょう。
 
なお、カレーによる食中毒を引き起こすウェルシュ菌は100℃で1~6時間の加熱でも生き残るため、レトルト殺菌でも死滅させることはできません。しかし、ウェルシュ菌は調理後に放置することで増殖するため、密閉容器に入れた状態で調理するレトルト殺菌であれば安全です。

ボイル殺菌とレトルト殺菌の使い分けについて

ボイル殺菌とレトルト殺菌の使い分けのポイントについて詳しくみていきましょう。

ボイル殺菌とレトルト殺菌の主な違い

ボイル殺菌は100℃未満の湯による殺菌、レトルト殺菌は100℃以上の加圧加熱殺菌です。
 
ボイル殺菌とレトルト殺菌は、食品の性質や付着している可能性がある細菌に応じて、以下のように使い分けましょう。

ボイル殺菌 レトルト殺菌
・100℃未満の加熱で死滅できる細菌のみが付着している可能性が高い食品
・100℃未満の加熱でも殺菌できる食品
・100℃以上の加熱が必要な細菌が付着している可能性が高い食品
・100℃以上で加熱しても味や色、香りなどが変化しない食品

各殺菌方法に対応するフィルムとは

ボイル殺菌では、100℃未満の加熱で樹脂が溶けないものを使用します。
その際は、包装内に空気が残らない真空・脱気包装できるものを選びましょう。
中に空気が入ると、パックが浮き上がってきて十分に加熱できなくなったり、袋内の圧力が高まり不可がかかることでピンホールと呼ばれる穴があいたりする恐れもあります。
 
レトルト殺菌では、酸素や水蒸気を通さないうえに、100℃以上の加圧加熱殺菌に耐えうるフィルムを選ぶ必要があります。
使用するフィルムは「アルミ箔を含むもの」「透明なもの」「トレーにフタがついているもの」の3種類です。

使い分けに伴う注意点

ボイル殺菌とレトルト殺菌を使い分ける際は、次の注意点を押さえましょう。

  • 細菌の死滅温度を踏まえて使い分ける
  • 食品の味や色、香りの変化を考慮して使い分ける
  • 設備の導入コストを考慮する
  • 商品がより魅力的に見えるフィルムを選ぶ

フィルムのことなら折兼まで

折兼では、ボイル殺菌とレトルト殺菌のどちらにも対応したフィルムを種類豊富に取り揃えております。フィルム選びを間違えると、加熱・加圧に耐えられず破れたり、中に空気が入って食品が腐敗・変性したりする恐れがあります。
 
また、フィルムは機能だけではなく「中身を見せたい」「賞味期限を延ばしたい」など、希望に応じたものを選ぶことが重要です。
 
殺菌方法だけではなくお客さまのご希望に沿ったフィルムをご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

食品の性質によってボイル殺菌とレトルト殺菌の使い分けが大事

ボイル殺菌とレトルト殺菌は、食品の性質や付着している可能性がある細菌の種類などに応じて使い分ける必要があります。
また、フィルムに求める性能もそれぞれ異なるため、専門業者に相談のうえで適切に選ぶことが大切です。今回解説した内容を参考に、ボイル殺菌とレトルト殺菌を適切に使い分けましょう。

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