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保存食はどのように作られるのか?作るのに必要な設備と機械の紹介

2023.10.20

保存食の概要や種類の定義などを解説

缶詰やレトルト食品に代表される保存食品の製造を手掛ける食品事業者は、食品衛生法やHACCP(ハサップ)を遵守した適切な衛生管理が求められます。

昨今は、災害に備えた非常食の備蓄の重要性が周知されるとともに、コロナ禍の巣ごもり需要の高まりを受け、保存食の需要も多様化しました。
工場の製造ラインや管理体制の適正化、業務効率化や生産性向上を検討している方のために、保存食の概要や種類の定義、製造上の注意点や必要な機械について解説します。

保存食とは

梅干し

 
私たちの身の回りには幅広い種類の保存食があります。
まず保存食の概要や歴史、人気の高まっている現代の保存食について解説します。

保存食とは常温で保存できる食品のこと

保存食とは、長期間常温で置いておいても食べられるように加工や処理を行った食品を指します。
食材を日干しする、塩に漬けるなどして保存性を高めていることが特徴です。
干し椎茸・切り干し大根などの乾物、梅干し・たくあんなどの漬物、燻製食品も保存食に含まれます。
 
缶詰やビン詰、レトルト食品は殺菌と密封技術を用いて作られる保存食です。

保存食の歴史

保存食の歴史は長く、最古は縄文時代だと言われています。
縄文時代には、常温で保存できる木の実を保存食としていました。そのまま保存するだけでなく、苦みや毒性の強い木の実は水でさらしてあくを抜いたり、粉状のでんぷんにしたりして保存していたとも言われています。

【缶詰・瓶詰】

缶詰

1804年にナポレオン軍の食料保存と確保の方法として「瓶の中に調理済みの食品を詰めて、緩く蓋を閉めた状態で瓶ごと加熱殺菌し、蓋を閉めて密封する」瓶詰めが発明されました。

その6年後の1810年には、イギリスで瓶の代わりにブリキ缶を使用した「缶詰」が誕生します。
その後アメリカで本格的に缶詰が製造されるようになり、1861年から始まった南北戦争の軍の食料として使用されたことで、缶詰の需要が一気に高まりました。
 
日本初の缶詰と言われているのが、1871年に長崎の外国語学校に勤めていた松田雅典氏がフランス人教師から教わり試作したイワシの油漬け缶です。
その後、1877~1879年には北海道の5か所にサケやマスの缶詰工場が建設され、急速に缶詰が日本全国に広まります。

一旦は落ち着いたものの、日清戦争時には兵食として、大正時代から昭和前期には輸出品として缶詰の需要が伸びていきました。
1923年の関東大震災後は、コンビーフ缶の輸入が増加し一般家庭でも食べられるようになりました。

【レトルト食品】

レトルト食品

1950年代に缶詰に代わる保存食として開発されたのが、レトルト食品です。
1961年~1972年のアメリカのアポロ計画でレトルト食品が宇宙食として採用されたことで、一気に知名度が高くなりました。
家庭用のレトルト食品を発売したのは日本がはじめてで、1969年に発売されたボンカレーが日本のレトルト食品第1号です。

現代、保存食の人気が高まっている

保存食

冷蔵庫や冷凍庫の誕生により、食材の保存が簡単にできるようになりました。また、レトルト食品やロングライフ食品が誕生するなど、長期保存できる技術も向上しました。必要な食材がスーパーなどですぐに手に入る時代となりましたが、近年、災害に備えた備蓄意識向上やコロナ禍による外出自粛により、保存食のニーズが高まっています。
 
2011年3月の東日本大震災をはじめ、日本では近年、甚大な災害が多発しています。災害時には物流やライフラインが止まってしまうことが多いため、復旧するまでの間の食料を確保するために、「非常食の備蓄」が重要視されるようになりました。
内閣府では、災害時に備えて「最低3日間、できれば1週間分の備蓄を推奨しています。缶詰やレトルト食品などを普段の食事にも使い、使った分を買い足しながら備蓄する「ローリングストック」を実践する家庭も増えました。
 
コロナ禍による外出自粛から食料品や日用品を買いだめし、家で巣ごもり生活を送る人も多くいました。巣ごもり生活により保存食そのものを楽しみたいという人も増え、「備蓄性・保存性・携帯性」に加えて保存食には「味(おいしさ)」も求められるようにもなったと言えるでしょう。

保存食の種類

ツナ缶

厚生労働省の食品別の規格基準では、密閉容器に入った保存食を「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」と定義しています。
「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」は、大きく分けて「缶詰・瓶詰」と「レトルト食品」の2種類に分類されます。
 
ここからは缶詰・瓶詰めおよびレトルト食品について解説します。

缶詰・瓶詰

食品を缶または瓶に詰めて密封し、加熱によって食品の腐敗の元となる微生物を殺菌(加熱殺菌)することで、常温での長期保存を可能としたものが缶詰・瓶詰です。

100℃以上の高温で殺菌する「加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)」が施されたものもあります。
密封性が失われない限り、中の食品は腐りません。
高い保存性を持つものの、食品衛生法で保存料や殺菌料の使用が禁止されているため、保存料や殺菌料などの添加物が使われていないのも特徴です。

レトルト食品

レトルト食品とは、容器包装詰加圧加熱殺菌食品を気密性のある容器包装に入れ密封した後、加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)をした食品のことです。
食品表示基準で、さらに気密性と遮光性がある食品を「レトルトパウチ食品」と定義しています。
レトルトパウチ食品には「製品の四方がシールされた袋」「蓋ごとレトルト殺菌するトレーなどのレトルト容器」「包材の両端をアルミワイヤーで止めた容器」など、さまざまな形状のものがあります。

保存食の作り方

レトルトごはん

缶詰や瓶詰め、レトルト食品の「容器包装詰加圧加熱殺菌食品」は、いずれも保存料や殺菌料が添加されていません。衛生的に高い保存性を発揮する保存食は以下の手順で作られています。

  1. 原料の選定
    新鮮な原料や急速冷凍した原料を選ぶ。
    果物では種類によって、収穫後ある程度追熟させることがある
  2. 洗浄・調理
    原料の異物(農薬や泥など)や食べられない部分(内臓や種子、皮、芯など)を除去し、調理する
  3. 詰込・注液
    原料を規格で決められた内容量に計量し、調味液などとともに容器に詰める
  4. 脱気
    容器の破損や内容物の変化を防ぐために、中の空気を抜く
  5. 密閉
    容器ごとに特殊な機械を使って密閉する
  6. 殺菌・冷却
    微生物を死滅させるために殺菌機によって加熱殺菌する。
    加熱殺菌後、品質の変化を防ぐために水や加圧冷却器で冷却する
  7. 検査・荷造り
    自動検査機、X線や金属探知機などで検査後、ダンボール箱に詰めて倉庫へ搬入する

製造上の注意点

レトルトパック

保存食は長期保存を前提とした食品のため、製造上で留意すべき点がたくさんあります。
保存食の製造上の注意点について解説します。

工場の衛生管理

保存食を含めた食品事業には、「食品の食中毒菌汚染」「食品への危険物の混入」などの危険因子があります。これらの危険因子を除去および低減させるために、食品製造の工程を管理し、食の安全性を確保する衛生管理の手法が「HACCP」です。
2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者へHACCPに沿った衛生管理が義務付けされました。
 
コーデックス委員会が策定した「HACCP7原則」に基づいた計画の策定、および計画に沿った衛生管理が求められています。

商品管理

長期間にわたって品質を維持しなければならない保存食は、製造上の衛生管理だけでなく、製造後の適切な商品管理も重要です。「賞味期限・消費期限ごとに管理する」「品質の変化を防ぐために適切な環境下で管理する」といったことが必要です。

製造に必要な設備

缶詰製造の様子

保存食の製造には、さまざまな専用の機械が必要です。

【缶詰・瓶詰】

・真空巻締機
 缶の内部の空気を抜きながら、蓋を巻き締めて密封する機械です。
 蓋を乗せた缶を機械にセットし、ボタンを両手で押すだけで缶の巻締作業が完了します。

・印字機
 製造した缶詰に賞味期限や製造年月日を印字するための機械です。
 レトルト殺菌前または後に使用します。
 印字する文字の列数、幅など条件によって機種を選ぶ必要が有ります。

レトルト食品

・蒸気殺菌庫
 缶詰容器の事前殺菌、食材の表面殺菌、缶詰の中の空気を抜くために使用する機械です。
 蒸気をあてる事で食中毒菌の発生リスクの低下、空気を抜く事で酸化防止効果が得られます。

・レトルト殺菌機
 レトルト殺菌機は、食材を詰めた瓶や缶、レトルトパウチを殺菌するために使用する機械です。
 常温での長期保存が可能な「レトルトパウチ食品」を製造するためには、加圧加熱による
 殺菌処理をする「レトルト殺菌」が必須です。
 
レトルト殺菌機によって対応できる容器の種類や大きさ、レトルト殺菌の方法(スプレー式・蒸気式・貯湯式)、製造できるレトルト食品の数量が異なります。
製造する保存食や容器に応じたレトルト殺菌機を選定しなければいけません。 
 
製造した保存食のレトルト殺菌がきちんとできていないと、常温で菌が繁殖してしまうため保存食の安全性が失われます。市場に安全なレトルト食品を流通させるためにも、レトルト殺菌機は慎重に選ぶ必要があります。

機械選定にあたって困った場合

缶詰やレトルト食品をはじめとした保存食の製造には、保存性を高めるための適切な処理や加工ができることはもちろん、さらに製造数や容器の形状に合わせた機械の選定が必要です。
適切な機械を選定することで、衛生的かつ適切な保存食の製造につながり、業務の効率化も実現できます。

例えば、「必要以上に保存食を製造してしまい、保管や在庫管理業務の負担が大きい」といった場合には、小ロット対応の製造機械へ見直すなどの対応が必要になります。
 
保存食の製造機械の選定にお困りの際には、機械の専門部隊がいる折兼にご相談ください。
食に関する機械の専門知識を持ったプロとしてお客様と共にさまざまなメーカーと打ち合わせをし、第三者としてアドバイス、機械の比較検討をサポートします。製造ラインの生産性向上や業務効率化を実現する機械のご提案はもちろん、導入後のアフターサポートまで幅広く対応します。

保存食の多様化は進む

保存食の概要や歴史、分類や製造上の注意、必要な機械について解説しました。
保存食は継続的な需要が見込める一方、味を重視するなど需要も多様化しています。
法令やHACCPに準じた保存食の製造や管理を行うとともに、多様化するニーズに対応するための業務効率化や機械の見直しなども必要に応じて行い、安心安全の保存食製造につなげましょう。

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