表示回数:1419

地球のことを考える研究所

この記事の研究テーマ

  • 衛生
  • エコ
  • 機械
  • フィルム
  • 店舗備品
  • パックスタイル
  • 容器・消耗品
  • その他

調理の作業効率を上げる「新調理システム」に必要な機械とは?

2023.06.23

新調理システムとは

「新調理システム」というワードを聞いたことがあるでしょうか。
これは食材を加熱調理し品質をそのままに提供できる状態で保管・保存することをいいます。
今回はこちらを、飲食店から食品工場内まで、広く使用されている機械を用いてご紹介します。

「新調理システム」に必要な機械

加熱調理に必要な機械の代表が「スチコン」、そのスチコンで調理した食品をアツアツのまま
冷却可能な機械が「ブラストチラー」です。
スチコンとブラストチラーの組み合わせは、調理した食品を保管・保存するうえで安全性を向上させます。このような組合せによって、風味や安全性を保ちながら効率よく食材を調理・冷却することを「新調理システム」と呼びます。
これらの機械を最大限活用するために、まずは加熱調理の基本情報からご紹介します。

加熱調理(加熱操作)とは

加熱調理(加熱操作)の目的は、主に下記の2つが挙げられます。

  • 食品の選択や調理操作により、食品の消化、吸収を容易にするため。
  • 有害なもの、不要なものの除去や加熱で安全かつ衛生的に、食品を食べやすくするため。

また、下記のように加熱調理(加熱操作)の方法は大きく4つに分けられます。

加熱方法1 湿式加熱

湿式加熱

「水」を媒体として熱を伝える操作のこと。
加熱温度は100℃までとされています。
主に、ゆでる、煮る、蒸す、炊くの調理方法を指します。
熱せられた水を利用して被加熱物を加熱する方法のため、被加熱物全体に熱が伝わりやすく、
焼きむらが少なく被加熱物が焦げないといった利点があります。

加熱方法2 乾式加熱

乾式加熱

「水」以外を媒体として熱を伝える操作のこと。
主に、焼く、揚げる、炒めるの調理方法を指します。
加熱温度が湿式加熱に比べて高く、100℃を超えます。

加熱方法3 電磁誘導加熱

電磁誘導加熱

電磁波による誘導加熱を利用して調理器具に熱を発生させる操作のこと。
ガスコンロのように火は使わず、電磁力の作用で器具のみが発熱し、段階的な温度調整が可能です。被加熱物の内部全体が一様に発熱する為、均一な加熱ができます。
電力量によって加熱を調整するため、安全かつ衛生的に取り扱いができます。

加熱方法4 誘電加熱

誘電加熱

電子レンジによる加熱操作のこと。
電子レンジ庫内に水分を含んだ食品をおくと、食品中の水分子が振動を起こし、
その運動で熱が生じ食品自身が発熱する仕組みです。
熱に弱い病原菌、寄生虫等を殺菌、殺虫し防腐効果があります。
電気を利用することで、CO2などの排気、排出物を出さないため、衛生的です。
急速かつ均一な加熱が可能なため、エネルギー効率も良好です。

スチコンとは

前述の加熱調理(加熱操作)を効率的に実現する機械が、スチコン(スチームコンベクションオーブンの略称)です。
スチコンとは、オーブンにスチーム発生装置を取り付けて熱と蒸気をコントロールすることにより、1台で複数の加熱調理方法を可能とした多機能の加熱調理機器のことです。
主に蒸し料理や焼き料理に適しており「新調理システム」に役立つ調理機器の代表格と言えます。

スチコンのメリット

スチコンを使用するメリットとして以下が挙げられます。

  • 食材のうまみや水分を逃がさない
    通常のオーブンは、食材の水分を失いやすく、焼き上がり時に乾燥してしまいますが、スチコンは熱風と蒸気の両方を使いながら調理するため、水分を保ちながら食材を加熱でき、うまみを逃がしません。
  • 調理時間の短縮が可能
    加熱に水蒸気を用いることで、熱伝導が良い為、短時間・高温での調理が可能です。
    また、大量調理も可能であるため、調理時間の大幅改善に繋がります。
  • 厨房内のスペースを効率化できる
    温める・焼く・蒸す・炒めるなどの様々な加熱調理を一台で行うことができ、調理器具を最小限に抑えられるため、厨房内のスペースを効率化できます。
  • 難しい調理も失敗しづらく、誰が使っても仕上がりが均一
    操作が簡単なため、火加減の難しいローストビーフでさえ誰でも簡単に作ることが可能です。
    調理方法や温度、時間を設定することにより味や仕上がりを均一化できます。
  • 加熱下処理が可能
    トマトや里芋など下処理で皮むきが必要な食材を、スチコンで加熱することで簡単に皮剥きできます。また、加熱に時間の掛かる食品は大量のお湯を沸かす時間や作業の手間を減らせます。
  • 多種メニューの同時調理が可能 ※一部の機械
    同一温度であれば、スチコン1台で調理時間が異なるメニューを同時に調理することが可能です。
    一般的なオーブンでは「容量が足りない」「オーブンを途中で開ける事になってしまう」
    「匂い移りや味移りが起こる」といった事情から多種メニューの同時調理は不可能です。
    対して、スチコンは多種メニューの同時調理をする前提で設計されています。

スチコンでできる調理方法

スチコンは熱風と蒸気を使うことによって、様々な調理を可能としています。
スチコンでできる調理方法は、以下の3つが挙げられます。

  • ホットエアー調理
    オーブンの熱によって熱風を循環させ、食材をムラなく加熱する調理方法。
    30~300℃の範囲で調理を行います。
    主にお菓子の調理に適しており、ケーキやクッキー、魚の塩焼きまで該当します。

  • スチーム調理
    スチーム装置により蒸気を発生させて食材を加熱する調理方法。
    30~130℃の範囲で調理を行います。
    主に淡白な食材に適しており、パンの発酵、茶わん蒸し、野菜のボイルが該当します。
  • コンビネーション調理
    オーブンの熱風とスチーム装置による蒸気を両方循環させ、食材の水分を保ったまま加熱する調理方法。100~300℃の範囲で調理を行います。
    スチーム装置で蒸気を入れながら加熱することで内部までしっかり熱を通せるうえに、オーブンの機能により、外はカリっと中はしっとりと仕上げることが可能です。
    焼き縮みも少なく、味のみならず見た目も美味しく仕上がる特徴があります。

スチコン導入にあたって

スチコン導入にあたって、導入まででご確認頂きたい点は以下の3点です。

  1. 設置場所について
    設置場所が決まっていても、必要なスペースが確保されているか現地調査を推奨しております。
    ぎりぎりのスペースで検討されている場合、機械の背面や側面からの放熱によって、壁の熱焼けや発火の恐れがあります。
    そのため、現地での十分なスペース確保の確認が必要です。
  2. 必要な工事について
    前述した状況で、熱がこもると誤作動が起こり故障する可能性があるため、スチコン上に
    排気フードを設置します。設置工事が別途必要なため、現地での採寸が必要です。
  3. 調理予定量について
    スチコンは小型の物もありますが、基本的には多種大量調理向けに使用される機械です。
    そのため、小容量の調理には不向きです。
    更に導入コストも決して安価ではないため、調理予定量に対して機械導入費用を検討し、
    費用対効果を検証した上での機種選定が重要です。

スチコンの取り扱いメーカー紹介

株式会社マルゼン

株式会社マルゼン製

7インチカラー液晶タッチパネルを採用した使いやすい機種です。
オート調理をはじめ、新たに搭載したマルチ調理機能、進化した庫内自動洗浄など、
豊富な機能を兼ね備えているため、調理を大幅に手助けします。
予熱機能を使用すると、庫内温度を予め設定温度に立ち上げておけます。
扉を開けた際の温度低下も考慮し、設定温度よりも高めに設定することを推奨しております。

参考価格:2,840,000円(税抜)

タニコー株式会社

タニコー株式会社製のTSCO-2EB

小型卓上スチコンもあります。
タニコー株式会社製のTSCO-2EBは、業務用電子レンジと同じサイズのスチコンです。
スペースが少ない飲食店のバックヤードでも設置可能な機種です。
投入可能なホテルパンは1/2サイズですが、2段で投入が可能です。
ドアパッキンや庫内付属品の取り外しができるため、洗浄も簡単で衛生的です。

参考価格:696,000円(税抜)

スチコン導入決定後の確認点

上記の事前確認事項をクリアし、スチコンの導入決定後、さらに確認点があります。
それが、スチコン使用後の料理の保存方法です。
スチコンで調理したアツアツの食事をすぐに運搬、提供する事は困難なため、加熱調理した料理がアツアツのまま、粗熱とり・急速冷却・急速凍結ができるブラストチラーとの併用を推奨しております。

ブラストチラーとは

安全性・品質保持・業務効率UPが期待できる機械が、ブラストチラーです。
冷凍冷蔵庫と混同されがちですが、ブラストチラーは急速で「冷やす」「凍らせる」ための加工機器で、冷凍冷蔵庫とは使用用途が全く異なります。

冷凍冷蔵庫でも食材を凍らせることは可能ですが、本来の使い方が既に冷えている食材の保管の為の機器のため、食材の温度低下が緩やかになり、菌が繁殖しやすい10~65℃の温度帯を長時間かけ通過します。
対して、ブラストチラーを使用することで、菌が繁殖しやすい温度帯を一気に通過させ、菌の繁殖を防ぎ、安全性・品質保持を高めます。

ブラストチラーのメリット

ブラストチラーを使用するメリットは以下が挙げられます。

  • 安全性の向上
    一般的に、加熱調理した食材では、10℃~65℃の温度帯で雑菌が繁殖しやすくなります。
    この温度帯をいち早く通過させ、冷却・凍結させるため、食材の安全性を向上させます。
    また、スチコンに入れたホテルパンのまま冷却できる為、異物混入のリスクを減らすことが可能です。
  • 作業効率の向上
    ブラストチラーで急速冷却することで食材の保存が可能になるため、計画的に事前調理が可能になります。
    これは、朝早くに事前調理を行っていた従業員の労務工数削減に繋がるなど、一人あたりの拘束時間を削減することで、現場全体の作業効率向上につながります。

ブラストチラーの取り扱いメーカー紹介

フクシマガリレイ株式会社

フクシマガリレイ株式会社のQXF-005SFLT

フクシマガリレイ株式会社のQXF-005SFLTは、ホテルパン5枚を収納可能なブラストチラーです。
電源が単相100Vで、電源増設工事は不要です。また、コンパクトな寸法で、既存厨房に設置しやすいブラストチラーです。
さらに「2022年度省エネ大賞」を獲得するほどの省エネ性を実現しており、同社三相200V機種との比較では、冷却性能は劣りません。

参考価格:1,506,000円(税抜)

機械選定なら折兼へ

スチコン導入には、前述のような導入前の確認点がありますが、他にも、電圧・排水環境などの一次側設備も確認すべき点となります。
ブラストチラーとの併用では、基本的に隣り合わせでの設置となるため、扉の開閉方向や操作パネルの位置を調整しなくてはなりません。
上記を踏まえた機械の選定、設置環境の調査は、折兼の専門チームがお客様との打ち合わせをもとにサポート致します。

「新調理システム」の活用

「新調理システム」の活用によって、お客様に届ける調理のクオリティは大きく変わります。
また、飲食店の従業員の方々の負担も軽減できる可能性を持っています。
機械導入によって様々なメリットをもたらしてくれます。
そんな「新調理システム」活用に必須の機械導入は、様々な選択肢と確認事項がありますが、ご安心下さい。
実現したい調理品の状態から、それを実現できる機械の導入フローをご提案します。
是非、折兼にご相談ください。

この記事をシェアする

Related Post

関連記事

Theme Index

研究テーマ一覧

記事一覧へ戻る