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食品工場の作業従事者の正しい身だしなみのポイントとHACCPの解説

2020.11.04

服装の基準はその環境において自身や取り扱う物を守るために設定される

「正しい身だしなみ」の基準はその環境に応じて変わっていきます。

営業担当の身だしなみは清潔感、アパレル業界の身だしなみはオシャレさが求められ、工場における身だしなみは、「作業者と製品を守る」ことが求められます。

特に食品工場においては、一人が正しい身だしなみを守らなかったために食品事故やクレーム発生につながるおそれがあるので、安心安全な製品を提供するためには、全員が正しい身だしなみを徹底することが重要です。

食品工場では衛生管理が遵守される服装が最優先とされる

食品工場においては健康被害やクレームを起こさせない「正しい身だしなみ」が必要です。
汚い服装には食中毒菌が付着しているおそれがあり、その服装で食品を取り扱うと食中毒事故につながる可能性があります。
また服装が乱れていると毛髪などの異物が混入しやすくなり、クレームが発生する要因になります。

従業員全員が正しい身だしなみをして、食中毒事故ゼロ、クレームゼロに努めましょう。

常に清潔なものを着用する

食品を取り扱う現場では衣服から食品に食中毒菌などが移らないようにするため、常に清潔なものを着用しましょう。
特に作業着を個人管理にしている事業所では、従業員によって清潔度にムラが出やすいので「作業着は必ず毎日洗う」「他のものと一緒に洗わない」などのルールを設け、徹底させるとよいです。
またリネンサプライを活用し白衣レンタルを行うと、従業員間での差がなくなるため、より清潔度が担保されます。

汚染区、準清潔区、清潔区で服を分ける

同じ工場内でも汚染区、準清潔区、清潔区で服装を分けるようにしましょう。
汚染区から準清潔区、準清潔区から清潔区のように汚染度の高い場所から汚染度の低い場所へ移動をすると、服が汚染を持ち込んでしまい清潔な場所が汚染される可能性があります。

汚染度によって帽子や作業着の色を変えるなどして従業員が自由に移動できないようにしましょう。

ゾーニング

休憩時や手洗い時は服を脱ぐ

休憩中やトイレなど、作業場の外に出る時は服が汚染される可能性が高いので、必ず作業着を脱いで、着替えるようにしましょう。
特に、ノロウイルスに感染している人がいる場合、トイレで用を足すと服にウイルスが付着するおそれがあるので、注意が必要です。

作業靴も清潔に保つ

作業靴は直接床に触れ、床から跳ねかえった水などが付着しやすく、ジャケットやズボンと比べて汚れやすいので、特に清潔に保つ意識を持ちましょう。
作業終了後、靴底の食品残さは取り除き、全体を洗浄し、しっかりと乾燥させましょう。
洗浄の際は、靴底洗い専用ブラシや、靴洗浄機を活用することで、より確実に洗浄できます。
また、食品残さのつまりにくい靴を選択することで、洗浄時間の短縮も可能です。

靴の衛生管理

長靴を管理する際は、靴底が乾燥しやすいように底見せタイプのラックの使用をお勧めします。
靴底が見えることで、汚れが残っていても一目で分かるため、衛生意識の向上にもつながります。

底見せ長靴ラック

従業員の服装は目だけが見えていることが理想

作業場では、下の図のように、肌の露出を極限まで減らしましょう。

それでは、作業着や帽子の着用ポイント、選定ポイントについて解説していきます。

帽子

帽子は髪の毛が出ないようにかぶりましょう。また、帽子と顔の間にすき間ができると毛髪が落下する可能性が高いので、すき間を作らないように着帽しましょう。

帽子の選定ポイントとしては、サイズの合った帽子を選ぶことが重要です。帽子のサイズが大きいと、しっかりと密着しないため、すき間ができやすくなります。反対に、サイズが小さいとすき間はできにくいですが、締め付けが強くなるので、作業中に帽子を触る回数が増えて衛生度が下がり、作業効率も悪化します。

また、マスクや眼鏡をつけていると、マスク紐やめがねのつると帽子の間にすき間ができてしまいます。マスク掛けやメガネスリットがついている帽子の着用をおすすめします。

帽子のインナーを併用すれば、毛髪落下防止をさらに強化できます。

衛生帽子

マスク

鼻毛や鼻水などが落ちないように、マスクは鼻までしっかりと覆いましょう。また、マスクの内側は飛沫などで汚染されているため、作業中は触らないようにしましょう。

マスクはあくまでも飛沫を飛ばさないために着けるので、防塵性などはそれほど重視しなくてもよいです。メガネがくもりにくいマスクや、蒸れにくいマスクなどもあるので、導入すれば従業員の働きやすさ改善にもつながります。

快適ソフトマスク、シンガーブリージーマスク

作業着

食品工場における作業着は、体毛落下防止、肌と食品の接触帽子の観点から長袖・長ズボンが基本です。また、ポリエステル100%の生地はケバ立ちが少なく、速乾性も高いため、白衣を衛生的に保てます。

着用時は、体毛落下防止のために、ファスナーをしっかり閉め、上着のインナーをズボンに入れましょう。
特に、袖や裾がしぼってある作業着は毛髪混入対策として非常に有用です。

作業着は薄いと軽いが耐久性が低く、厚いと耐久性があるが重いと、長所短所がはっきりしているので、自社の状況に合わせてどこを重視するか決めましょう。
また、特に女性が着る場合は、透け防止機能があるかも確認するとよいです。

理想の作業着

作業靴

作業靴は直接床に触れるため、服装の中でも最も汚染されやすいです。日々の洗浄を怠らないようにしましょう。

短靴は靴の中に水が入りやすく、水が入らないよう慎重に作業を行うため、短靴と長靴では、短靴の方が衛生意識が高まる傾向にあります。清掃作業など、水を多く使わない場所、工程では短靴の使用をおすすめします。

靴底のパターンによって、食品残さが詰まりにくいもの、油で滑りにくい物、粉の上でも滑りにくいものなど、多くの種類があります。

靴底のパターン

衛生管理を遵守する上で服装以外に身だしなみで注意したいポイント

食品工場における正しい身だしなみは服装以外にも注意しなくてはいけません。
作業服を完璧に身に着けても100%毛髪落下を防げる訳ではないので、日常的に心がけておくべき5つの注意したいポイントについて解説していきます。

  1. 手に傷があるときは調理作業に従事しない
  2. 爪は短く切る
  3. 着衣に粘着ローラーをかける
  4. 時計やアクセサリー類を身に着けない
  5. 作業従事の際に露出しない髪型を心がける

ポイント1|手に傷があるときは調理作業に従事しない

傷口には、食中毒の原因となる黄色ブドウ球菌が潜んでいるので、手に傷がある人は調理作業に従事させないようにしましょう。
従業員の傷の有無を把握するために、出勤した際の健康チェックの一つに「手に傷がある/ない」という項目を作っておくとよいです。

どうしても調理作業に従事しなければいけない場合は管理者の指示のもと、必ず手袋をして作業を行って下さい。
傷が食品や調理器具に触れないよう手袋に切れや破れがないかを常に確認し、定期的に交換や消毒を行いましょう。

ポイント2|爪は短く切る

爪の間は菌が溜まりやすく、また、長い爪は欠けたり割れたりして商品に混入するおそれもあるため、短く切りましょう。 (写真は 爪を培地に置き、1日間培養した様子)

適正な爪の長さは、手のひら側から見て爪が見えない長さです。

出勤した際に、玄関で検温をするのに合わせて爪の長さを確認し、長ければその場で切るというルールを作ると良いでしょう。

ポイント3|着衣に粘着ローラーをかける

正しく粘着ローラーがけをすることで、製造現場内への毛髪の持ち込みを格段に減らすことができます。

ローラーがけは、上から下にかけていくのがポイントです。


  1. 頭頂部、左右の側頭部、後頭部の4面をかけていきます。

  2. 毛髪が肩に落下しているケースが多いです。

  3. 肩側から手の方に向かってローラーをかけます。
    内側と外側を忘れずにかけましょう。
  4. 胸・腕
    面積が広いので、くまなくかけましょう。
  5. 背中
    鏡を見ながら、もしくは二人でかけるようにしましょう。

  6. 腰回りから足先にかけて、外側、内側、後ろ側、漏れのないようにかけます。
    足は床の毛髪を巻き上げて付着していることが多いです。

ローラーがけの後にエアシャワー室を経由することで、さらに毛髪混入のリスクを減らせます。

ポイント4|時計やアクセサリー類を身につけない

時計やアクセサリーをしていると、細かな部品やアクセサリーそのものが食品に落下、混入し、食品事故や異物混入クレームが発生するおそれがあるので、絶対に身に着けないようにしましょう。アクセサリー以外にも、つけまつげや歯のつめものなども食品への混入リスクがあるので気を付けましょう。

また、時計や指輪などのアクセサリーは密着部分が蒸れやすく、菌が繁殖していることが多いので、汚染を広げないという目的もあります。 アクセサリーを外した箇所は、長時間菌に汚染されているものと考えて、作業前の手洗いをより入念に行いましょう。 (写真は指輪を培地に置き、1日間培養した様子)

ポイント5|作業従事の際に露出しない髪型を心がける

食品工場では、髪型に厳しい制限を設けているところは多くありませんが、作業中に毛髪が混入しにくい工夫を凝らすことが必要です。
例)髪が長い従業員は髪をまとめて露出しにくくする、出勤前のブラッシングで抜け毛を取り除く

毛髪以外に、ひげにも注意しましょう。
ヒゲも毛髪と同じく自然に抜けてしまうものなので、マスクで隠れるからと言ってヒゲを放置しすぎると混入クレームのリスクも高まります。
普段からヒゲを剃り、同時に他の身なりにも気を配ると、清潔度がさらに向上します。

HACCPの導入により身だしなみの基準を定められると良い

HACCPとは調理工程内に潜む危害(食中毒菌など)を見つけ出して対策を講じることで、未然に健康被害を防止する工程管理のシステムです。
HACCPを実施するためにはその土台となる「一般衛生管理」が必須です。
従業員の正しい身だしなみは一般衛生管理の一つのため、HACCPに取り組むことで身だしなみも強化することができます。

またHACCPを導入するうえで手順や基準を見える化し、マニュアルにすることが決まりなので、同時に身だしなみについても基準を定めるとよいです。

2020年6月より食品に従事する事業者に義務化

2018年6月に食品衛生法が改正され2020年6月から飲食店を含むすべての食品事業者でHACCPの義務化が始まりました。
完全施行までに1年間の猶予期間が設けられたため、2021年5月31日までにHACCPを導入しなくてはなりません。

HACCPの導入は食中毒事故の防止に直結するので、「法律で義務化されたから」ではなく、「食中毒事故を起こさない」ために取り組みましょう。

HACCPは世界の衛生管理の前提条件

近年、世界中で衛生管理に対する気運が高まっており、HACCPを義務化する国も増えてきております。アメリカやカナダ、オーストラリアなどでは、1990年代という早い段階から一部の業種で義務化が始まっています。
今後、海外に輸出をするためにはHACCPの導入が前提条件となってくるため、日本でも義務化の運びとなりました。

また、HACCPの導入は認証をとる必要はありません。
あくまでも自社の製品、状況に合わせて自分たちでルールを決めていくものです。
(ルールは自分たちで決めますが、基準などを設ける際の根拠は必要です)

株式会社折兼の「衛生スタイル」でHACCP導入をお助け

HACCPを導入するにあたって分からないことや疑問点があれば、ぜひ動画「5分でわかるHACCP」シリーズをご覧ください。

HACCPの導入により工場内の身だしなみに正しい基準を設け事故を予防できる

食品工場において食中毒事故や異物混入クレームを防ぐために「正しい身だしなみ」をすることは必須です。明確な服装の基準やルールを設け周知徹底することで、全従業員が「正しい身だしなみ」をするようになります。

HACCPを導入するには製造工程を見える化しマニュアルを作ることが必須なので、並行して身だしなみの基準書も作ることをお勧めします。

正しい身だしなみ、HACCP導入で食中毒事故をゼロにしましょう。

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