前編のまとめ
前編では、SDGsの17の目標を1つずつ紹介し、私たちにできることについて考えました。
後編では、SDGsに取り組む理由や目的をお伝えします。
また、町中のお店で取り組んでいるSDGsや、みなさんの日常生活でできるSDGsの取り組みに
ついてご紹介します。
SDGsに取り組む理由
SDGsに取り組む理由を考えたことはありますか?
それは、「地球と私たち自身を守るため」に必要なことだからです。
いま地球に起こっていること
地球温暖化という言葉を聞いたことがありますか?
皆さんの暮らしの中で、エネルギーを使うなどによって二酸化炭素が出続けると、地球の温度が
上がっていきます。これを地球温暖化といいます。
地球温暖化が進むと、生き物の住む場所がなくなって絶滅してしまったり、自然災害が
増えたりなど、地球にとって良くないことがたくさん起こる可能性があります。
地球温暖化の原因はたくさんありますが、使い捨てプラスチックの使用も原因のひとつです。
プラスチックは石油から作られており、石油を発掘したり、運んだり、プラスチックを捨てる時
など、いろいろな場面で二酸化炭素が出てしまいます。
ポイ捨てされたプラスチックのゆくえ
みなさんは町中でポイ捨てされたプラスチックを見たことがありますか?
そのようなプラスチックは、風や雨によって海まで流され、波の力や太陽の光で小さくなります。
そして、そのごみは海にたまり続け、海の生き物に絡まって傷つけてしまいます。
さらに、人間にも影響があります。
直径5mm以下になった小さなプラスチックは、魚がエサだと間違えて食べてしまいます。
しかしそのプラスチックは、人間の体にとって悪い海中の物質を吸収しているのです。
プラスチックを食べた魚を、今度は私たちが食べると、魚と一緒に悪い物質の入ったプラスチックも食べていることになります。この物質は体に溜まり、病気を引き起こす可能性があります。
プラスチックは一例ですが、私たちがSDGsに取り組むことで地球を、また私たち自身を守ることにもつながります。世界中のみんなが毎日おいしいご飯を食べたり、将来も安全な町で幸せに、平和に暮らすことができるのです。
町中のSDGsについて紹介
みなさんがよく知っているお店でも、SDGsの取り組みをしている所がたくさんあります。
普段の生活で使っているものや食べている商品がSDGsに関わっています。
レストラン
レストランでは、プラスチックストローの使用量や食べ残しを減らすために、テイクアウトを
すすめるなどの取り組みに力を入れています。
例えば、ファミリーレストランのすかいらーくでは、ドリンクバーにおいてあるプラスチック製の
ストローを2018年12月より順番に無くし、2019年7月末に全店で使用中止となりました。
ストローを使うお客様には、「トウモロコシから作られたエコなストロー」を提供しています。
その他に、2019年12月よりテイクアウト用のレジ袋を「植物から作られたプラスチックの袋」に
変更しました。
さらに2020年からは、カトラリーや弁当容器を環境にやさしい素材へ切り替えています。
ファーストフード
ファーストフード店は、レストランと比べるとテイクアウトのお客様が多いため、
テイクアウトで環境にやさしいものを使用するなどの取り組みが進んでいます。
また、食べずに捨てられてしまう食品を減らすため、余った食材を*フードバンクに寄付したり、
肥料として再利用するなどの取り組みが行われています。
*フードバンクとは、食品の品質には問題ないが、包装の印刷ミスや賞味期限が近いなどで売ることができない食品を、福祉施設などに無料で提供するボランティア活動のこと。
日本ケンタッキー・フライド・チキン
2019年に、閉店後にどうしても残ってしまう、まだおいしく食べられるチキンを、フードバンク経由で「こども食堂」へ寄付したことが話題になりました。
また、チキンを揚げるときに使った油を、鶏を育てるための飼料として再生利用しています。
日本マクドナルドホールディングス
2018年、使わなくなったハッピーセットのおもちゃを回収し、リサイクルしてトレーにする
「おもちゃリサイクル」や、回収したおもちゃをリサイクルして作られたジオラマの展示を行うなど、消費者にとっても楽しいSDGsを心がけています。
また、寄付によって病気の子どもを持つ家族が安心して過ごせる施設を作るなどの活動も
行っています。
環境問題だけでなく、福祉の面でもSDGsの取り組みに力を入れています。
コンビニ
コンビニでは、食品の消費期限を延長して食品ロスを減らしたり、地域と協力した町づくりに貢献するなどの取り組みを進めています。
ファミリーマート
ファミリーマートでは、環境にやさしいパッケージで、食品ロスを減らす取り組みに力を入れています。
また、店舗で提供される使い捨てのスプーンやフォークの代わりに竹製の箸をお渡しすることで、プラスチックの削減にも取り組んでいます。
セブンイレブン
セブンイレブンでは、スマートフォンで商品を注文して、最短30分で商品が届く「デリバリーサービス」が広まっています。
このサービスによって、なかなか外出ができない子育て世代のお母さんや、高齢者が手軽に
買い物できるようになりました。
ローソン
ローソンでは、プラスチック容器を減らすため、紙容器への切り替えに力を入れています。
現在では、紙パックのミネラルウォーターも出ています。
2030年には、2017年と比べて30%のプラスチック使用量を減らすことを目標としています。
おかしメーカー
おかしメーカーでは、使用する包装量をへらしたり、紙など再利用できる材料に切り替え、
環境にやさしい包装を目指しています。
2019年9月には、ネスレの「キットカット」の外袋が紙に変わりました。
キットカットは、2025年までに包装材料を100%リサイクル可能、またはリユース可能なものへ
切り替えることを目指しています。
私たちにできることは何だろう
SDGsの目標を達成するには、企業や国が一生懸命取り組むだけでなく、私たちの日ごろの
取り組みも欠かせません。
私たちの身近な生活でできることを紹介します。
マイボトルを持ち歩こう
マイボトルを持ち歩くと、ペットボトルや空き缶などのごみを減らすことができます。
マイボトルはくり返し使うことができ、ボトルの種類によっては、ホットやアイスなど
長い時間温度を保つことができるメリットもあります。
お気に入りのボトルを見つけて、持ち歩いてみましょう。
環境にやさしいマークについて勉強しよう
生活の中で、エコマークやリサイクルマークなど、環境にやさしい商品であることを示すマークがたくさんあります。それぞれどんな意味を持つマークなのか調べ、環境にやさしい商品を選ぶことを心がけてみましょう。
環境にやさしいマークには、以下のようなマークがあります。
エコマーク
環境のことを考えた商品やサービスにつけられるマークです。
エコマークは、「私たちの手で地球を、環境を守ろう」という願いから、「環境(emvironment)」
「地球(earth)」の頭文字「e」を表した、人間の手が地球をやさしく包みこんでいる様子をデザインしています。
バイオマスマーク
サトウキビやトウモロコシなどの植物から作られた商品に使われるマークです。
植物からできた原料を使うことで、石油の使用量を減らすことができます。
このマークは、プラスチック商品や洗剤などに使われることが多いです。
FSC認証
自然豊かな森を守るために、管理されて育った木で作った商品につけられるマークです。
FSC認証が付いた商品を使うことで、森林を守ることや、気候変動をおさえることができます。
このマークは、紙パックやジュース、ティッシュの箱などの商品についていることが多いです。
ごみや食べ残しを減らす方法を考えて行動してみよう
日本では、今でもごみや食べ残しがとても多いと言われています。
特に、食べ残しは全国民が毎日お茶わん1杯分と同じ量を、食べられる状態で
捨てているといわれています。
この問題を解決するためにも、どうしたら食べ残しを減らせるのか、考えることが大切です。
食べられる分だけの商品を買うこと、またスーパーでは期限の短い商品から買うことを
心がけましょう。
また、くり返し使える商品を選んだり、物を大切に使い続けることでごみを減らせます。
簡単なことから少しずつ取り組むことが大切です。
自分の取り組みをだれかに伝えよう
環境にやさしい取り組みに参加したり、心がけることはもちろん、家族や友達に取り組みを
紹介することも大切です。
家族とエコについて話し合ったり、学校の総合学習でどんなことに取り組んでいるか、
クラスメイトと意見交換を行うと、新しい発見があると思います。
たくさんの人とSDGsの取り組みに参加することで、SDGsのゴールを迎える2030年が
より良い社会になります。
私たちにできることから取り組んでみよう
SDGsと聞くと、むずかしい言葉でなかなか身近に感じにくいかもしれません。
しかし、水を大切にしたり、電気をこまめに消して資源を大切にしたり、物を大切に使うなどの
小さなことでも、世界中のたくさんの人が取り組むと大きな力になります。
また、世界の貧困や戦争などの問題に目を向けて、自分に何ができるか考えることも大切です。
まずは小さなことから、1つずつ取り組んでみましょう。