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子ども食堂とは?役割や取り組み内容について紹介

2022.08.05

子ども食堂とは

2012年から活動として始まり、全国各地で広がりを見せる「子ども食堂」
無料または低額で食事を提供するコミュニティとして、主にNPO法人や地域住民によって運営され、現在では全国で6,000ヶ所以上に存在しています。家族揃ってご飯を食べることが難しい子ども達に、人と一緒に食べる機会や場を提供することや、学生やお年寄りなど幅広い世代が交流する場としても機能しています。

子ども食堂が誕生した理由

食堂の料理

始まりは、東京都大田区で「気まぐれ八百屋だんだん」を営んでいた近藤博子さんが、2012年に「だんだんこども食堂」を始めたことです。
近隣にある小学校の副校長から、「母親が病気で、給食以外の食事をバナナ1本で過ごしている子どもがいる」という話を聞き、ショックを受けた近藤さんは「地域の人が手伝えることはないか」と八百屋の一角に子ども食堂を開設しました。

子ども食堂が広まっている背景

子ども食堂はコロナ禍でも増え続け、毎年1.2倍~1.6倍のペースで全国に普及しています。
では、なぜここまで子ども食堂が増え続けているのでしょうか。
この章では、広まっている背景についてご説明します。

子どもの貧困

2013年に、親から子への貧困の連鎖を防ぎ、育成環境の整備や教育の機会均等を図るための「子どもの貧困対策法」が成立しました。この法律は2019年に改正され、子供の「将来」だけでなく「現在」に向けた対策であること、また市町村に対し貧困対策計画を策定する努力義務を課すなどの明記が増え、現在でも取り組みが拡大しています。

また、内閣府による「令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書」では、ひとり親世帯の過半数が貧困に直面し、食料が買えないことや進学を諦めるなど、貧困の連鎖が生まれやすい状況であることが分かります。
 
さらに日本財団によると、現在の日本では「7人に1人の子どもが貧困状態にある」と言われており、子ども食堂が増加する要因であると考えられます。

マスメディアによる周知とネットワークの整備

子ども食堂について、テレビや新聞などで取り上げられる機会が増え、認知度が高まったと考えられます。また、各地域の法人が独自で子ども食堂のネットワークを持つため、食堂の場所や寄付・手伝い方法など簡単に調べることができ、参加しやすい工夫が施されています。

子ども食堂の役割

地域交流の活性化

交流の様子

子ども食堂の利用者は、子どもだけでなく、大学生やお年寄りなど多岐にわたります。
学校や公民館、カフェなどを利用して開催され、参加条件はなく「誰でも利用できる」地域全体に開かれた空間です。交流型は支援型よりも負担感が生まれにくく、目の前にある問題に当事者意識を持ちやすいという点から貧困者の支援ではなく、お互いに支え合う地域交流が意義・目的とされています。

しかし、子ども食堂という名前から、「貧困家庭の子ども達を集めて食事を提供する」というイメージが先行してしまうことが問題となっています。貧困者対象を強調してしまうと、地域のイメージ悪化や、参加しにくい状況が生まれてしまいます。

そこで、貧困に限らず地域の全ての人が対象とアピールすることで、貧困家庭の子どもや困っている人が参加しやすい環境を作り出しています。
具体的には、子ども食堂とは別の名前を使うことや、交流イベントをメインに食事提供も行うといった工夫がされています。

国全体で推進する食育活動

農業体験

子ども食堂は、国レベルで取り組まれています。
農林水産省は、子ども食堂と連携した地域における食育を推進しています。

子ども食堂の意義として、

①子どもにとっての貴重な共食の機会の確保
②地域コミュニティの中での子供の居場所を提供

が挙げられています。

近年、子どもの貧困問題のほかに偏った栄養摂取、朝食欠食など食生活の乱れや肥満・痩身傾向など、子どもの健康に関する問題も深刻化しています。調理体験や農業体験、季節の食材の利用や伝統料理の提供など、地域における食育が求められています。

SDGsにも関係

SDGs17の目標

また、子ども食堂は近年注目されているSDGsにも関係しています。
SDGsは「持続可能な開発目標」の略称で、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標です 。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない」をスローガンとしています。
その中でも子ども食堂は、

1.「貧困をなくそう」
2.「飢餓をゼロに」
3.「すべての人に健康と福祉を」

などの目標達成に繋がる取り組みです。

取り組み事例の紹介

全国6,000ヶ所以上に存在されている子ども食堂は、地域に合わせた取り組みが行われています。

愛知県知立市「ちりゅっ子かふぇmagocoro」の取り組み

外国人の子どもの食事風景

愛知県知立市で活動する「ちりゅっ子かふぇmagocoro」は、知立団地にある合同会社スタートアイズの任意団体「One day One life」から事務所の一角を借りて、外国にルーツのある子どもを対象としたフードパントリーを開催しています。

フードパントリーとは、食品支援が必要な時に誰でも無償で食の支援を受けられる場所のことです。このフードパントリーは、2021年5月から継続して月に1回程度開催されています。お菓子、調味料、レトルト食品、お米など寄付で貰ったものを中心に配布しています。
 
スタートアイズは、主に外国人就労支援を行う会社で、外国人労働者の多い知立団地で生活のサポートを行っています。コロナ禍以前から食料や物資が足りずに困っている時、2019年から月に1度公民館などで体験教室やイベント兼ねて食事提供を行っていた同市内の「ちりゅっ子かふぇmagocoro」の運営者と知り合い、フードパントリーが始まりました。

愛知県は東京都に続いて在留外国人数が多く、特に知立市周辺には自動車関連企業が多く所在していることから、在留外国人が集中してこの地域で暮らしています。このフードパントリーに来る子どもは全員外国人で、知立団地内で徐々に参加者が増えているそうです。

大阪府堺市「宮園校区まちづくり協議会」の取り組み

大阪府堺市の「宮園校区まちづくり協議会」が主催する子ども食堂では、2016年から「早起きをして朝ごはんを食べよう会」という取り組みがあります。対象者は堺市立宮園小学校全学年児童で、毎月第4金曜日の朝7時~8時の登校前に開催されています。
朝食は、子ども自身で準備するカフェテリア方式をとり、家でも自ら朝食を用意して食べることが身につくように工夫されています。また、食後は歯磨きや食育等の生活習慣について指導を行い、登校時まで読み聞かせを行っています。
 
これは、堺市が行う「地域がともにつながり子育てに参加する場づくり」の取り組みの一環です。自治会に小学校の季節行事での昼食提供や、地域の高齢者に対する朝食の提供といった活動実績がある一方、子どもの虫歯の多さや朝食の欠食の多さなどの問題がある宮園校区が実施対象になりました。
 
来てほしい人や家庭の参加を促すために、小学校を通じて全校生徒に参加募集をかけたり、同市内のフードバンク利用や大学生ボランティアを派遣するなど、地域と連携して取り組まれています。

現状の課題

浸透しつつある子ども食堂ですが、注目される一方で様々な課題を抱えています。

会食形式からフードパントリーに移行

フードパントリー

新型コロナウイルス感染症の拡大で、感染防止対応が難しく、また会場を確保できないなどの問題があります。代わりにフードパントリーで活動を継続し、感染状況を見計らって会食形式を再開したいという声が多くあります。

資金や人手の不足

社会福祉法人や市町村の助成金、フードバンクや寄付を使って運営されています。
スタッフは基本ボランティアとして活動しています。そのため、資金の途絶えやスタッフの欠員など存続の危機に陥る可能性があります。一部の子ども食堂では、クラウドファンディングで資金を集めているところもあります。また、各法人のネットワークを使い、寄付や手伝いを募集している食堂もあります。
 
その他にも、物価高騰や本当に支援が必要な人に届けられていないなどの課題があります。
まずは子ども食堂を正しく理解し、「自分ごと」として地域住民や企業が進んで取り組む必要があると考えられます。

折兼のエコに関する取り組み

エコ(環境配慮)素材商品の開発

折兼では、使い捨てプラスチックを削減する目的で、エコ(環境配慮)素材商品の開発に取り組んでいます。
中でも、100%植物由来原料で作られるバガスシリーズの商品開発に力を入れています。

バガスとは、サトウキビを圧縮した後に出る搾りかすのことで、本来捨てられてしまう素材を使うことで、エコに繋がります。また、バガスシリーズは植物由来の原料から作られ、成型時も接着剤等を使用していないため、万が一自然界に流出しても微生物による分解で自然に分解される生分解性を有しています。

折兼バガスチャレンジ!

折兼バガスチャレンジ!分解の様子

現在「折兼バガスチャレンジ!」という、バガスの生分解性を活かして実際に容器が土に還るのか実験する取り組みを行っており、大学の研究では土中に埋めたバガス容器は76日、海洋では156日、コンポストでは1日で分解されたことが分かっています。

また、キャンプで子ども達が使ったバガス容器を土の中に埋めて、分解される様子を観察する取り組みも行いました。子ども達はこの実験に興味津々で、環境にやさしい商品を選ぶことの大切さを学んだという声もありました。

食事を提供する際、容器が必要です。使い捨て容器なら、使い終わったら処分するだけなので人手不足や感染症予防に対応できます。パックスタイルのバガス容器ならプラスチック使用量を抑えているため、環境に優しくおすすめです。
世界中でSDGsに取り組む中、子ども食堂でもバガスチャレンジを食育として実施してみませんか。

子ども食堂で役立つ資材の紹介

コロナの影響で、フードパントリーを行う子ども食堂が多く存在します。容器やカトラリーなどの資材を統一すれば、コストを抑えて仕入れることができます。そこで、SDGsの取り組みや食育に繋がる容器をご紹介します。

BB弁当N24-20A ラミ

BB弁当N24-20A  ラミ
BB弁当N24-20Aラミ

竹とバガスを使った、100%植物由来の弁当容器です。
容器にはお米が引っ付きにくいPLAラミネート加工が施され、高い仕切りで主食とおかずを分けることができ、耐油・耐水性や電子レンジ可能など、フードパントリーに最適な容器です。蓋は中身が見える透明タイプと、容器と同じ素材タイプの2種類あります。
※ラミ製品で使用しているPLAフィルムは、コンポストなど一定の条件下で生分解されます。

BBフォーク

BBフォーク

日本で初めてサトウキビの搾りかすであるバガスと、成長の早い竹を混合素材にして作った環境に優しいカトラリーです。 耐油性・耐水性があるので油分の多いメニューにもお使いいただけます。

折兼が運営する通販サイト「容器スタイル」では、他にも環境に優しい資材を取り扱っています。

子ども食堂は、子どもの将来を支える大事な仕組み

子ども食堂は、地域の交流を増やし、子どもの将来を支える大きな役割を果たしています。
今後も増加していくなかで、自分事として捉え、行動する必要があります。
まずは、子ども食堂について正しく理解することから始めていきましょう。
また、使い捨て容器を使用する際はエコ(環境にも優しい)素材を使い、子ども達の食事と一緒にSDGsにも取り組んでいきましょう。

参考:むすびえ NPO法人 全国子ども食堂支援センター
https://musubie.org/

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