世界規模で脱プラスチックの動きが加速している
近年、プラスチックを取り巻く環境が大きく変化しています。日本では、2020年7月からレジ袋の有料化が始まり、2022年4月からは「プラスチック資源循環促進法」が施行されるなど、私たちの生活にも大きな影響が及んでおり、関心が高まっています。
世界ではプラスチックごみの増加による環境汚染問題が深刻化しており、国や企業がさまざまな対策に取り組んでいます。
今回の記事では、そもそもプラスチックができるまでの工程から始まり、プラスチックごみやリサイクルの現状と世界各国の取り組み、そして「脱プラスチック」の取り組みの一環として注目されるプラスチック代替素材について解説していきます。
生活に身近なプラスチックと深刻化する問題
私たちの生活に欠かせないプラスチックですが、そもそもプラスチックがどうやって作られているのか知っていますか?そして、なぜプラスチックが問題になっているのでしょうか?
プラスチックは安価で軽くて丈夫などの利便性から急速に普及しましたが、そのプラスチックが及ぼす環境への影響が深刻な問題となっています。
この章ではプラスチックができるまでの工程、プラスチックごみ問題の現状について解説します。
プラスチックができるまで
プラスチックの主な原料は石油です。
日本は石油のほとんどを外国から輸入していますが、そのうち約90%はサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、クウェートなどの中東各国から輸入しています。
プラスチックは以下のような流れで製品になります。
原油 → 石油精製工場 → ナフサ → プラスチック原料 → プラスチック加工 → プラスチック製品
ここからはプラスチック製品ができるまでの工程を少し詳しくみていきましょう。
<原油からナフサまで>
原油は石油精製工場に送られ、蒸留塔と呼ばれる建物の中でいろいろな石油製品に分けられます。
それぞれの石油製品は沸点が異なり、それは逆に気体(石油蒸気)から液体(石油製品)に変化し始める温度も異なるということなので、この性質を利用して、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油、アスファルトに分けられます。プラスチックはこの「ナフサ」から作られます。
日本では、原油から精製したナフサだけでは足りないため、ナフサも輸入しています。この輸入ナフサと原油を合わせた量のうち、プラスチックの生産に使われるのは約6%です。
<ナフサからペレットまで>
ナフサをさらに加熱して、エチレン、プロピレン、ベンゼンなどプラスチックの「もと」になる製品原料が作られます。これらは「水素」と「炭素」が結びついた「分子」です。この分子をたくさんつなぎ合わせてポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック原料が作られます。
これらのプラスチック原料に、柔軟性を高める可塑剤、劣化を防ぐ安定剤、着色剤などの添加剤を加えたものを「ペレット」といいます。ペレットは小さな粒で、このペレットからいろいろな形のプラスチック製品ができるのです。
なぜプラスチックが問題なのか?
プラスチックは軽くて簡単に加工ができるため、プラスチック製品の利用は急速に普及し、私たちの生活には欠かせない存在になっています。しかし、世界中で「プラスチック問題」が深刻になっています。「プラスチック問題」には、以下のようなものがあります。
- プラスチックが燃やされるときに温室効果ガスが発生し、地球温暖化の原因の1つになっている
- プラスチックの原料は、採れる量に限りがある石油資源であり、プラスチックの製造によって資源の枯渇につながる
- 大量のプラスチックが海に流れ出て、海を汚染している
これらの中でも、特に近年問題視されているのが「海洋汚染問題」です。
私たちが生活のために利用したプラスチックは、河川などを流れて大量に海に流出しています。
プラスチックは、自然分解に時間がかかり、例えばペットボトルだと分解するまでに400年以上掛かるといわれています。そのため、海に流れ出てしまうと、そのまま海を漂い続けます。海に流れ出たプラスチックは、漂着した海岸の景観を損ねるだけでなく、エサと間違えて生き物が食べてしまうことがあります。
また、漂流した海洋プラスチックごみが劣化し、細分化した約5mm未満のプラスチック(マイクロプラスチック)は、有害物質を吸着しやすい性質があります。海の魚がマイクロプラスチックを食べ、その魚を人間が食べることによって、有害物質を吸着したマイクロプラスチックが食物連鎖の中に取り込まれる可能性も指摘されています。
深刻化するプラスチックごみ問題
世界のプラスチックの年間生産量は過去50年間で20倍にも拡大しており、その年間生産量は約3.8億トンで、これは全人類の体重に匹敵する重量です。そのうち800万トンは陸地から海へ流出しており、2015年には1億5千万トンが海にあると推定されています。このまま何も手を打たなければ、2050年には海の中のプラスチックごみの量は、海の魚の全重量を超えると推測されています。
日本におけるプラスチックごみの排出量は約850万トン(2019年)、ひとりあたりに換算すると年間32kgをごみとして排出しており、アメリカに次いで世界第2位の多さです。またごみとして回収されたプラスチック類の内訳は容器包装が全体の67.6%を占め、ストローなどの容器包装以外のプラスチック類は16.2%、ペットボトルは14.4%になっています。
プラスチックのリサイクルの現状
プラスチックごみのうち包装容器が半分以上の割合を占めていることから、これを資源として再利用するために日本では「容器包装リサイクル法」が制定され、1997年4月から施行されています。
これによって、ごみ分別の厳格化や技術開発が進み、新しいリサイクル方法やリサイクル製品も次々と生まれたことから、2012年には日本のリサイクル率は80%を超え、それ以降も高水準を維持しています。
数字だけみれば、日本はリサイクルが進んでいるように思いますが、実際はどうなのでしょうか?
次の章では主なリサイクル方法と日本のリサイクルの現状について解説します。
プラスチックのリサイクル方法
プラスチックのリサイクル方法は、以下の3つに大きく分けられます。
1. マテリアルリサイクル
2. ケミカルリサイクル
3. サーマルリサイクル
それぞれのリサイクル方法について、詳しく解説していきます。
- マテリアルリサイクル
廃プラスチックを溶かし、もう一度プラスチックの原料にして、新たな製品を作る技術です。
廃プラスチックを原料にした再生加工品には、コンテナ、ベンチやフェンス、遊具など様々なものがあります。これらのリサイクル製品は、丈夫で軽くて加工しやすいというプラスチックの性質を生かし、鉄やコンクリート、木材の代わりとして使われています。
一方、ペットボトルなど家庭などから出される使用済プラスチックは、繊維製品、包装資材、日用品などに生まれ変わっています。
- ケミカルリサイクル
廃棄物に化学的な処理をして、他の物質へ変化させて再利用するリサイクルことです。
具体的な例として、廃プラスチックを溶かして水素や二酸化炭素などの合成ガスを生み出し、水素をアンモニアの製造に再利用したり、二酸化炭素から炭酸ガスやドライアイスを作り出したりすることが挙げられます。
- サーマルリサイクル
廃棄物を焼却処分するだけではなく、焼却した際に発生する熱エネルギーを回収し、利用することです。
ごみを燃やしても、有害物質を出さない焼却施設で処理することによって、埋め立てごみを減へらすことができます。そこで発生するエネルギーはさまざまな施設で使え、地球環境への負担を小さくできます。
サーマルリサイクルのメリットは、プラスチックなど完全に分別しきれない廃棄物を有効活用できることです。分別する際のコストや設備投資額も少ないため、様々な廃棄物を低コストで一気に処理できます。
日本のプラスチックリサイクルの現状
2019年における日本の廃プラスチックの有効利用率は85%で、3つのリサイクル方法の割合は、マテリアルリサイクルが22%、ケミカルリサイクルが3%、サーマルリサイクルが60%となってます。
実は、日本は2012年以降、プラスチックのリサイクル率は80%以上を維持しており、数字だけをみれば、日本はリサイクル率が高く、環境対策が進んでいると思うかもしれません。
しかし、日本とヨーロッパでは、リサイクル率の計算方法が違っており、ヨーロッパではサーマルリサイクルはリサイクル率に含みません。
実際、海外にはサーマルリサイクルという言葉はなく、「エネルギー回収」や「熱回収」と呼ばれているため、欧米をはじめ海外の多くの国や地域では、サーマルリサイクルを「リサイクルの一種」として認めていません。海外でのリサイクルの主流は、マテリアルリサイクルや、ちゃんとモノに生まれ変わるケミカルリサイクルなのです。
サーマルリサイクルを除いた2018年の日本のリサイクル率は19.6%で、同年のヨーロッパ諸国と比較すると、ノルウェーがいちばん高く約45%、スペインが約40%と続き、日本は相当低い水準にあることがわかります。つまり、日本のプラスチックリサイクルの実態は、ほとんど焼却しているだけということです。
そして、日本のリサイクル率19.6%のうち、ほとんどは中国や東南アジアなどに輸出し、輸出先でリサイクルをしており、実質的な日本国内でのリサイクル率は1割に満たないのです。
海外頼みのリサイクルと行き場を失う廃プラスチック
日本は世界第3位の廃プラスチック輸出大国で、2017年の日本の廃プラスチックの輸出量は143万トンでした。それまでは、日本の廃プラスチックの主な輸出先は中国で、年間輸出量の約半分を輸出していましたが、2017年12月末、中国は生活由来の廃プラスチックの輸入禁止に踏み切り、それ以降、中国への輸出はほとんどなくなりました。
そのため、日本の廃プラスチックは東南アジアや台湾へ輸出されるようになりましたが、これらの国も次々に輸入規制を導入しており、日本国内で処理される廃プラスチック量が増加しています。
ここからは廃プラスチックを取り巻く環境の変化について詳しくみていきましょう。
中国の廃プラスチック輸入規制
日本は2011年以降、廃プラスチックの半分以上を中国へ輸出する状況が続いていました。
中国はこれまで、ヨーロッパ、米国、日本をはじめとする地域から廃プラスチックを輸入し、リサイクルして再び海外へ輸出していました。
経済的に貧しかった中国では、石油を輸入してプラスチック製品を作るよりも廃プラスチックを輸入してリサイクルするほうが安上がりだったからです。海外から輸入されたペットボトルは、中国国内でぬいぐるみやベッドの中綿などにリサイクルされてきました。
しかし、中国が経済的に豊かにつれ、自国のプラスチックごみの管理もままならなくなりました。
また、輸入した廃プラスチックのなかには資源化できないもの(汚れていたり、選別が不十分)が含まれていたり、有害物資などが混入しているケースがあり、そのような資源化できない廃プラスチックや有害物質が不法投棄されるなど環境問題が生じていました。
そのため中国は、海外からの生活由来の廃プラスチックの輸入を2017年12月末から禁止しました。これは中国ショックと呼ばれ、世界中に激震が走りました。
日本の廃プラスチックは中国から東南アジアへ
2017年12月末から、中国が廃プラスチックの輸入を禁止したことで、日本やヨーロッパをはじめとした国々は廃プラスチックの新たな輸出先を検討せざるを得なくなり、その結果、東南アジアや台湾向けの輸出が急増しました。2018年上半期の相手国・地域別の輸出量は、タイが14万トン、マレーシアが11万トン、ベトナムが9万トン、台湾が8万トンで、いずれも前年同期の2倍以上の輸出量となり、これら4カ国・地域への輸出は、2018年上半期の日本の廃プラスチック輸出量の約80%を占めました。しかし、いずれの国・地域も同年7月以降、廃プラスチックの輸入基準を厳格化したため輸出量は減少し、受入拒否も相次いでいます。今後、中国に代わる廃プラスチックの輸出先が現れる可能性はほとんどなく、日本の廃プラスチックは行き場を失いつつあります。
バーゼル法の改正
1989年3月、スイスのバーゼルにおいて「バーゼル条約」が採択され、1992年5月5日に発効されました。バーゼル条約とは、国境を越えたごみの処理に関する条約のことで、欧米の先進国からの廃棄物が発展途上国に放置され環境汚染が生じているなどの問題を受けて作成されました。
さらに近年、世界各国において廃プラスチック輸入量が増加していることを受け、2019年5月スイスで開催されたバーゼル条約第14回条約国会議(COP14)で「リサイクルに適さない汚れたプラスチックごみ」を規制対象に追加する改正案が決議され、バーゼル法の改正が発表されました。
法改正以前は、廃プラスチックは規制の対象外でしたが、改正後は、リサイクルに適したきれいなプラスチックごみの範囲を明確化し、基準に合わない廃プラスチックは「規制対象」とし、輸出する前に輸入国の同意が必要となりました。
バーゼル条約は2021年1月から施行され、プラスチックごみの国境を越えた移動は制限されており、これまで以上に有害廃棄物の削減、自国内で適切に処理するための仕組みづくりに取り組んでいく必要があります。
プラスチックごみ問題への取り組み
わたしたちの身の回りにあるさまざまなモノに使用されているプラスチックですが、プラスチックごみによる環境汚染や諸外国の廃プラスチック輸入規制強化への対応を契機に、プラスチックの資源循環に向けた取り組みが重要視されています。ここからは、日本や世界の主な取り組みについて詳しく解説していきます。
日本の取り組み
2019年5月、「プラスチック資源循環戦略」と「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」が策定され、具体的な戦略と目標値を示しています。
「プラスチック資源循環戦略」
「3R」(リデュース・リユース・リサイクル)とともに+「Renewable」(再生可能資源への代替)を基本原則に据え、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略がまとめられています。戦略の項目として、リデュース、リサイクル、再生材バイオプラ、海洋プラスチック対策などが掲げられており、2020年7月から始まったレジ袋の有料化は、ワンウェイプラスチックの使用削減を図るための取り組みのひとつです。
また下記のような具体的な数値目標を立てています。
<リデュース>
・2030年までにワンウェイプラスチック累計25%排出抑制
<リユース・リサイクル>
・2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
・2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
・2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利用
<再生利用・バイオマスプラスチック>
・2030年までに再生利用を倍増
・2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入
「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」
プラスチックの有効利用を前提とし、海洋の汚染を生み出さないための取り組みを徹底していくというプランです。
具体的には、
①プラスチックごみの回収・適正処理の徹底
②環境中に排出されたごみの回収
③海洋流出しても影響の少ない素材(海洋生分解性プラスチック、紙等)の開発・素材転換
④途上国等における海洋プラスチックごみの効果的な流出防止に貢献
⑤海洋プラスチックごみの実態把握や科学的知見の充実
などが提示されています。
プラスチック資源循環促進法
日本では2022年4月1日から「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」、略して「プラスチック資源循環促進法」または「プラスチック新法」が施行されています。
この法律は、日本国内のプラスチックを規制するものではなく、事業者や自治体が、プラスチック製品の設計から製造・使用後の再利用までのプロセスで資源循環をしていくための法律です。
これまでも日本はプラスチックのリサイクルに取り組んできており、さまざまな法律も存在していました。しかしそれらは「容器包装リサイクル法」や「家電リサイクル法」など、それぞれの製品に焦点を当てたものであり、すでにある製品が廃棄されたあと、どのようにリサイクル(=再活用)するかという点に目を向けていました。
しかし、プラスチック資源循環促進法では、「そもそもごみを出さないように設計する」というサーキュラーエコノミー(循環経済)の考えが取り入れられており、基本原則として3R(リデュース・リユース・リサイクル)+「リニューアブル(再生可能)」を掲げています。
世界の取り組み
世界では、日本よりも早くプラスチック製品の使用禁止が行われています。
例えば、EUでは「EUプラスチック戦略」のもと、リサイクルの推進やプラスチックごみの削減、循環経済実現に向けた投資・イノベーションの拡大などに取り組んでいます。この戦略では、2030年までにEU内の全てのプラスチック包装材をリユース・リサイクルすることを目指しています。
アメリカでは、プラスチックストロー・マドラーの使用禁止や再生プラスチック比率記載が義務付けられています。また、マイクロプラスチックのひとつである「マイクロビーズ」を削減するため、これを含む洗顔料や歯磨き粉の製造・販売が禁止されています。
プラスチック代替素材の紹介
2021年1月以降、バーゼル法改正によって「リサイクルに適さない汚れたプラスチックごみ」が規制対象に加わったことで、世界では脱プラスチックへの取り組みが一層強まっています。
そんななか、日本国内においてもさまざまな企業からプラスチック削減につながるプラスチック代替素材が続々と開発されています。
サトウキビの搾りカス「バガス」
バガスは、サトウキビを搾ったときに出る残りカスです。世界中で年間約12億トン生産されるサトウキビから、約1億tのバガスが発生します。バガスは、砂糖を作る際の燃料などに使われていますが、使い切れない分は破棄されているのが現状です。そんなバガスを貴重なバイオマス資源として活用しようとする動きが広がっています。
ここで、バガスを使用したおすすめの容器を紹介します。
ABランチ230-230
白色のバガスと竹をミックスした素材を使用したエコ容器です。竹は成長が早く、持続可能(サステナブル)な素材として注目されています。色が白いのが特徴で、和洋中どんなメニューにも使え、料理が映えます。機能面では、耐油・耐水性があり、電子レンジも対応可なので、幅広いメニューのテイクアウト容器におすすめです。
高密度厚紙「エリプラペーパー」
大王製紙株式会社が開発した、紙製ナイフやマドラーなどの原紙として必要な剛性を持つ高密度厚紙「エリプラペーパー」は地球環境に配慮した製品として「Eliminate Plastic(脱プラスチック)」頭文字を冠した名称です。
「食品衛生法に基づく食品、添加物等の規格基準に適合」「蛍光染料の溶出がなく食品用一次容器として使用可能」など、食べ物に使用する道具として安心なこともメリットです。
ここでは、エリプラペーパーを使用したおすすめのカトラリーを紹介します。
エリプラペーパー カトラリー 紙マドラー140mm 白 EP
カトラリーの中でも、マドラーは比較的手頃な価格帯なので、プラスチックからの切り替えもしやすい商品です。シンプルな形状で使いやすく、カフェの備品や自宅でのおもてなし、職場など、さまざまなシーンで活躍します。
マドラー以外にもスプーンやフォーク、ナイフなどのカトラリーがあります。
紙パウダー混成の「MAPKA(マプカ)」
株式会社環境経営総合研究所が開発したのが、プラスチック原料に繊細な紙パウダーを混成させた新素材「MAPKA(マプカ)」です。MAPKAの主原料はあくまで「紙」で、世界でも類を見ない、MADE IN JAPANの新素材として“ポストプラスチック原料”と呼ばれるほどに注目されています。
MAPKAは高い剛性・耐熱性、低い伸縮性を有することから、さまざまな用途でプラスチックからの置き換えることができます。プラスチック使用量削減とともに、同形状のプラスチック成形品と比較して、パッケージ由来のCO2排出量は約35%削減が可能となります。さらに紙パウダーを51%含むため、バイオマスマークの付与も可能で、見た目や触り心地が紙素材のもつ風合いと近しいため、消費者への環境配慮訴求にも有効です。
またプラスチックを主原料とする製品の大半はナフサ原料から精製されていますが、供給に限りがあるナフサ原料の価格は高騰しており、価格競争力が求められる製品ではリスクが高くなっていると言えます。一方、MAPKAなら使用する紙パウダー量をコントロールすることで、ある程度のコストコントロールができ、価格面でのリスク回避も可能となります。
ここでは、MAPKAを使ったおすすめの容器を紹介します。
MPK街デリ BOX20-19Y OW
容器の裏面には、バイオマス原料の範囲が全体の50~54%を占めることを指す「バイオマスマーク50」が刻印されているため、店舗のイメージアップにつながります。容器は本体と蓋と一体型のため在庫管理が簡単、また蓋はミシン目で切り離すこともできるので、使用用途の幅も広がります。フタはつまみ付きなので、開閉も簡単です。仕切があり、耐油・耐水素材なので、揚げ物や麺類などのメニューをきれいに盛り付けできます。電子レンジにも対応可です。
石から生まれた「LIMEX(ライメックス)」
株式会社TBMが開発した新素材が「LIMEX(ライメックス)」は石灰石を主原料としています。石灰石は世界にほぼ無尽蔵に存在しており、日本においても自給率100%を超え、安価で入手可能な鉱物資源です。LIMEXの特徴として、以下のような特徴があります。
1.水と木をほぼ使わない
通常紙1tを作るには、木が20本、水が85ℓ 必要とされています。
一方紙の代替にもなるLIMEXは、石灰石が0.6~0.8t、ポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン)を0.2~0.4tのみでプラスチックの代替品になるLIMEXシートを生成することができるので、これまでよりさらに環境負荷を低減することができます。
2.高耐久性、高耐水性
LIMEXは先述のとおり、主原料が石灰石のため経年変化にも強く、「紙とプラスチックの代替」になるので、両方のいいとこどりをした高い耐水性と耐久性を兼ね備えています。
例えば、水中での筆記も可能であったり、雨や屋外での活動の際にも綺麗に保つことができます。
ここでは、LIMEXを使用したおすすめの商品を紹介します。
DIW-209DPLIMEX
紙コップよりも製造工程における水と木の使用量を、プラスチックよりも石油由来樹脂の使用量を大幅に削減できるので、地球環境に配慮したカップです。「このコップは石灰石から生まれた新素材LIMEXでつくられています」の印刷入りなので、企業や店舗のイメージアップにも繋がります。
トウモロコシでんぷん配合の「ReseamST(レジームST)」
株式会社コバヤシが開発した「ReseamST(レジームST)」は石油系材料の使用削減を目的とし、工業用に栽培されたトウモロコシのでんぷんを汎用樹脂に配合したバイオマス素材です。バイオマス素材を60%以上配合することも可能で、環境に優しい素材です。
ここで、ReseamSTを使用したおすすめの商品を紹介します。
エコデリ
簡単につぶしたり手で破くことができ、手で小さく丸めて捨てられるため、ゴミの減容化に貢献します。手で破いたときの断面はプラスチック特有の鋭い断面ではなく、柔らかな質感のため、使う人にやさしい容器です。またトウモロコシ由来のでんぷん粒子によって、表面はマットで落ち着いた風合いとなり、プラスチックよりも紙に近い質感になっています。
脱プラの動きはさらに加速し、代替素材への転換も拡大化
今回はプラスチックごみやリサイクルの現状と世界の動向、プラスチック代替素材について紹介をしました。日常生活のなかでも、プラスチックに関するニュースや記事などに触れる機会が多くなり、環境問題への関心も高まっていますが、プラスチックを取り巻く環境は日々めまぐるしく変化しています。プラスチックは生活に欠かせないものだからこそ、私たちへの影響も決して少なくありません。
そして脱プラスチックの動きは今後さらに加速し、代替素材への転換もどんどん拡大していくことでしょう。