特集 ピック アップ 注目企業 東京ニューフェイス 中食の達人 季節の提案 オリジナル商品


特集北の大地で独自化に挑む
価格競争が激化する北海道エリアにおいて、独自化路線で
対抗する地域密着スーパーパー。


北海道の道東地区において、長い間独壇場とも言える商売を行って
きた地方スーパーが、近年の価格競争激化に対抗するべく独自化
路線への転換を決意した。株式会社東武の生き残りをかけた取り
組みに迫った。


「株式会社東武」

 北海道は、その土地の広大さゆえに、道央、道南、道北、道東といった4つのブロックに分けられる。中でも道東地区は、世界自然遺産の知床をはじめ、納沙布岬や摩周湖、釧路湿原などの雄大な自然と著名な観光スポットが点在する地域。この道東地区において2店のスーパーマーケット、東武サウスヒルズ(中標津町)と東武イーストモール(北見市)を展開している企業が、株式会社東武である。同社の設立は1969年。1995年よりダイエーのフランチャイズとして運営していたが、2006年に契約を解除。以来、独立系のスーパーマーケットとして独自の道を歩むこととなった。

 北海道はもともと、地理的要因から物価は高い傾向にあり、道東地区においても競合は少なく価格競争とは無縁の時代があったという。ところが近年、イオンの進出に加え、地元のアークスグループ、コープさっぽろといった三つ巴の争いにより、価格激戦地区へと変わってきた。こうした環境の変化に対応していかなければ、当然、生き残ることはできない。そこで同社が選択したのが、地域に密着した展開と他社との差別化・独自化を押し進める道、いわゆる独自化路線への転換であった。

 「これまで全国の高質スーパー等を視察し、様々なセミナーなどにも参加させていただいたが、『やる気と感動の祭典』への参加で出会ったサンシャインチェーンさんには、大きな影響を受けた。(大沼次長)」

  サンシャインチェーンは、高質路線への転換で大きな成功を収めた高知のスーパーチェーン。この他にも、ハローデイや阪急オアシスといった各地の高質スーパーを参考にしながらも、同社は北海道という地域性も踏まえた独自化路線へと突き進むのである。

  昨年5月、北見市の東武イーストモールを改装。これを機に、同社が志向する独自化への取り組みを次々と実行に移していった。その取り組みの主なものは、朝採れの新鮮野菜やこだわり商品、手づくり惣菜の導入、顧客へのソリューションとしてのメニュー・レシピ提案といったもの。さらに商品訴求の手法としてコトPOP、ライブ販売の展開にも力を注ぐ。ライブ販売については、専任のスタッフを揃えた「ライブ販売課」を設置し、毎日実施するという徹底ぶりだ。

  「もちろんライブ販売などは、今日やって明日結果が出るというものではないので、スタッフの中にも葛藤がある。しかし、社長は、一人でもファンになっていただければいいと言っている。お客様の要望をお聞きし、レシピ提案をする。こうしたお客様目線に立った取り組みが、これからは大切だと考えている。(大沼次長)」

 どこの企業にもあることだが、新しいことをやろうとすると、必ずそれに抵抗する勢力があらわれる。特に準社員の場合、ルーティンワークからはずれた新しい仕事に対して消極的になりがちだ。こうした問題に対しては、とにかく理解してもらうで根気強く説明をする。また、「各部門から交代でライブ販売に参加させて接客を経験させる」といった全員参加の研修を行うなど地道な努力を続けた。

  コトPOPについては、当初、サンシャインチェーンの研修DVDを見ることからスタートし、先行して実施したチームがその効果などを社内に発信。試行錯誤を繰り返すうちに、やがて、社員の中でPOPの字を書く人、絵を描く人といった具合に自然と役割分担ができてきたという。

  「私がPOPを書くときは字だけを書いて、ライブ販売課の60代のスタッフに絵を描いてもらう。新しい試みを行うと、いろんな取柄を持った人が出てくる。また、年齢に関係なく能力を発揮できるところが、やりがいにもつながっているよだ。(大沼次長)」

 手づくりにこだわっていきたい

 改装を機に行った新たな取り組みは、まだまだ他にもある。「他社がやらない面倒なことをやる」という基本方針のもと、デリカでは、コンビニスタイルのおにぎりを一切やめて、すべて手にぎりに変更した。オホーツクの塩と日高の昆布をブレンドした塩を使用。昔ながらの天然の旨み調味料のみで味付けしたおにぎりを提供している。

  「この、手にぎりのおにぎりは、大変な好評をいただいている。主婦の方などは、買物前に寄っていただいて『何と何を握っておいて』と注文される方もいる。とにかくデリカについては手づくりにこだわっていきたい。たとえば、当店でよく売れているチキンカツなどは、卵をつなぎに使い、パン粉付けまで自分たちでやっている。その甲斐あってか、いまでは土日に100枚以上も売れる人気商品になった。(大沼次長)」

  チキンカツに目をつけたのは、他社を視察した際、ほとんどの店で販売されているのは豚ロースカツだったからだという。ここにも「他社がやらないこと」というコンセプトが貫かれている。

  従来、デリカで販売する商品は、業者がつくったものを仕入れて、店舗ではフライヤーで揚げるだけ、という方法が当たり前だった。ところが、大沼次長は、「店にある素材を活かして手づくりした方がいいのではないか?」と考えていたという。それは、大沼次長が鮮魚の出身で、当時、「北海道のホッケを開いてパン粉をつけて揚げて出したら、すごく売れた」という成功体験があったからだ。いまデリカで実践している手づくり惣菜は、こうした体験が発想の起点となっている。「これからの惣菜というのは、身近なところから素材を探して手づくりをすれば、冷凍素材を使っているところにきっと勝てるはずだ(大沼次長)」という確信のもと、同社の惣菜部門は、試行錯誤の中から売れる商品を一つ、二つと増やして、結果を出しはじめている。

  「今後は、夕方のおかずなどもさらに充実させていきたい。そのためには、スタッフの体制を整えなければならないが、そこがこれからの課題だ。(大沼次長)」

 東武イーストモールの改装を機に、同社が本格的に独自化への取り組みをはじめて約1年が経過。すぐに結果が出る取り組みではないが、「1日1日の積み重ねを経て、振り返ってみると確実にレベルが上がっていると実感できた」と大沼次長は語ってくれた。まだ道半ばと言いながら、株式会社東武のチャレンジは、いま着実に実を結びつつあるようだ。

東武の2号店イーストモール店
(北海道北見市)




カットフルーツのコーナー。
加工度の高い商品づくりに取り組んでいる




対面キッチンが設置された惣菜売り場
(イーストモール店)




陳列に趣向を凝らした精肉売り場
(サウスヒルズ店)




青果売り場のライブ販売。
アスパラを使ったメニュー提案。




アイランドタイプの鮮魚の対面売り場
(イーストモール店)




買い物が楽しくなる大きいサイズのコトPOP



惣菜コーナーの厨房にはピザ専用窯がある。
(サウスヒルズ店)




本店であるサウスヒルズ店は総売り場面積
約6,000坪(内直営約3,400坪)という大型SC。




サウスヒルズ店には、ファースフードや
衣料など各種専門店が揃っている。






 



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